NO13 『父の笑顔』

『父の笑顔』

父を思うと、父の笑顔が浮かんでくる。
山口の我が家に来て3年、昨秋、父はにわかに旅立って逝った。
「同じ日本ではないか。」と言って、本籍、墓地を山口にすることを認めてくれた父。
陸士卒の職業軍人であったが、平和の大切さを誰よりも感じていた父。
母が言った年の暮、父は山口に来た。
以来、父妻娘私の4人の生活が始まった。
最初は、父のお世話をしているつもりであったが、父は、私たちの心の中の尊いものを引き出してくれた。
父が熊本から来てくれたおかげで、新しい家が建った。
父が山口に来て、4人兄弟の家それぞれが整っていった。
母が逝って3年7ケ月、父は子どもたちのために、やるべきことをやり尽くして逝った。
90年の人生すべてを包み込んだ笑顔を残して。

(合志栄一)

2011年1月8日