令和2年6月定例県議会【1.(1)医療用物資の提供と備蓄について】

1.新型コロナウイルス感染症対策について

5月の下旬から6月の初旬にかけて山口市内の病院10か所を訪ね、新型コロナウィルスの感染防止に取り組む医療現場の率直な声を聴きました。そして、1.病院が、通常のルートで医療用物資の確保が出来なくなったとき、必要な医療物資を提供できる備蓄体制の構築、2.熱がある人を地域集約的に診る拠点となる発熱外来の設置、3.医師が必要と判断したらスムーズ且つスピーディに実施できるPCR検査体制の確立、4.感染した患者に対応する医療従事者が、安心して仕事できる医療環境(不安がられず宿泊・休息できる場所の確保等)の整備などのことを、共通する声として承りました。いずれも予想される新型コロナウィルスの第2波、第3波に備えてやっておくべき大事なことであると思われます。

また、その他伺った様々な声の中で対応を考慮すべきと思ったことが、2点あります。その一つは、病院や介護施設などの面会禁止に関してです。もう一つは、病院経営への支援についてです。

今議会に提案されている補正予算の内容は、基本的にそうした声に応える内容になっていると評価いたしますが、本予算成立に伴うコロナ対策の諸事業実施が、より実情に即した行き届いたものになることを願い、以下、医療現場の声を踏まえて質問いたします。

(1)医療用物資の提供と備蓄

この度、新型コロナウィルス感染症への対応において医療現場が最も困ったことは感染防止のための医療用物資、マスク、ガウン、フェイスシールドなどの確保が困難になったことです。このため、私が訪ねた病院の多くは、これまでは1日1枚使用していたサージカルマスクを、1週間1枚の使用にするとか、ゴミ袋で臨時のガウンをつくるとかして当面をしのいでいる様子でした。ただ、手術はしっかりした感染防護が求められるので、緊急性のある手術以外は、当面実施を見送る措置がなされていました。医療用物資の不足により、コロナ対応のみならず通常の地域医療も充分提供し得ない状況に多くの医療機関が陥っていました。

現在は、医療用物資の不足は緩和されてきているとは云え、解消はされておらず、医療機関が通常の市場ルートで求めようとすると、例えばマスクが以前は1枚5円程であったのが50円する等、品薄感が続く中で大幅な高値での購入になるようです。そのため、各医療機関は、病院経営との兼ね合いの中で苦慮しています。そうした今日の状況の中で、私が訪ねたある認知症の患者を受け入れている病院の方は、次のようなことを述べておられました。「私たちは、コロナウィルス対策をしっかりやっていますが、万が一院内感染が生じた場合、必要な医療用物資が確実に提供されることになっていれば、少し安心です。」と。同様の思いの医療機関や介護施設は多いのではないでしょうか。

そこで、医療用物資の提供と備蓄について3点お尋ねいたします。
第1点は、本県の医療機関における現時点での医療用物資の確保状況について、県の把握をお伺いいたします。

第2点は、今日、本県の医療機関において医療用物資の不足が生じた場合には、どう対応する仕組みになっているのか、またその際の県の役割についてお伺いいたします。

第3点は、県内の医療機関に、医療用物資を緊急に提供する必要が生じた場合、こうした事態に直ちに応えることが出来るよう医療用物資の備蓄が図られていることが望ましいと思われます。ついては、医療用物資の備蓄に関し県のご所見をお伺いいたします。