令和2年6月定例県議会【3.教育ICT推進事業について】

3.教育ICT推進事業について

今議会に提案されています補正予算には、「新たな学びを実現する教育ICT推進事業」ということで50億1千万円余が計上されています。学校におけるオンライン授業環境の整備を進めようとするこの事業は、県立学校における1人1台端末の整備などによるICT化及びオンライン学習サービスの導入などを図っていくものです。withコロナの時代に対応した社会変革の推進を、教育の面において実現していくこうした取組み自体は、時宜を得たものとして評価するものですが、この事業の対象から私立高校の生徒たちが、全く抜け落ちていることは、問題点として指摘せざるを得ません。

この教育ICT推進事業予算の7割を占めるのは、県立高校の生徒2万2千名余他、総合支援学校等の県立学校の児童生徒に1人1台のタブレット端末等を整備する事業でして、約35億円の事業費の主な財源はコロナ対応の地方創生臨時交付金であります。元々、この事業は令和2年度から7年度にかけて整備する計画であったものを、その交付金を活用して前倒しで一気に本年度中に整備を完了することにしたものです。

知事は、議案説明でこの事業に触れ、臨時休業等が発生した場合においても、ICTを活用し、学びを保障する環境を構築するためと述べておられますが、withコロナの時代に移行しつつある今日、そのことは、公立であっても私立であっても同様に実現されるべきことなのではないでしょうか。

義務教育課程である小中学校の生徒たちへの1人1台の端末整備は、「GIGAスクール構想の加速による学びの保障」という国の施策により本年度中若しくは早期に実現する見通しであります。従って、何ら施策が講じられなければ、本県においては私立学校の高校生だけが、オンライン教育から取り残されてしまいます。

生徒たちの「命の安全に、公私間格差があってはならない。」ということで、私学の学校施設の耐震化に対しては、公的補助が為されてきました。同様に、withコロナの時代に学ぶ生徒たちの「基本的な教育環境に、公私間格差があってはならない。」との考えから、私学の高校生たちも県立高校の生徒たちと同様に、1人1台の端末が整備され、同様の教育ICTの環境が保障されるべきと考えます。本県においては、私立の高校生は約1万人で、全高校生のおおよそ3分の1です。この高校生たちのためにも、オンライン教育の環境を整える責任が県政にはあります。

そこでお尋ねです。県立学校の児童生徒たちを対象にした教育ICT推進事業は、国の第一次補正予算に措置されたコロナ対応の地方創生臨時交付金を主な財源にしています。この臨時交付金は、国の第二次補正予算にも措置されていますので、本県へのこの新たな地方創生臨時交付金を財源にして私立高校の生徒たちを対象にした教育ICT推進事業に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。