令和2年11月定例県議会【1.トビイロウンカ対策について】

1.トビイロウンカ対策について

今年、山口県の水稲はドビイロウンカによる被害が甚大でした。農林水産省が公表した10月15日現在の本県の水稲作況指数は73で、全国最下位でした。昨年も作況指数は94で作柄は不良でしたが、本年は去年と比べても作況指数が大幅に低下しており、トビイロウンカの被害による水稲の生育不良が広範囲に生じました。水稲の生育不良は、トビイロウンカに加えて9月初旬の台風接近による潮風がもたらした塩害の影響もあるものと思われますが、今回は、トビイロウンカに関して甚大な被害が生じた理由や今後取るべき対応策について、農業者の方々や関係機関を訪ねて私なりに把握したことを踏まえ、県の見解をお伺いいたします。

県の病害虫防除所の調査結果によれば、本年度は水稲作付面積20100haのうちその94%に当たる18578haにおいてトビイロウンカの発生がみられたと推計されています。そのトビイロウンカは、毎年、通常6月下旬から7月中旬の梅雨時期にジェット気流に乗って大陸から成虫が飛来し、その飛来した成虫はイネに産卵し、ほぼ1か月で1世代を送り山口県では3世代過ごすようです。このウンカは、飛来した世代の段階では被害はほとんど見られないが、適切な防除措置が取られないと第2世代、第3世代において急激な増殖が生じ、イネの株元に生息してイネの水分や栄養を吸い取るため、イネが枯死倒伏して稲田における「坪枯れ」等の被害が発生します。

従って、トビイロウンカ被害を発生させないための有効な対策として考えられることの一つは、飛来したトビイロウンカを第2世代幼虫の段階において駆除する防除措置を徹底することであると思われます。そうしたことも含め、トビイロウンカ対策について、以下5点お尋ねいたします。

第1点は、今年、トビイロウンカの被害が甚大であった原因を、どう分析しているのか、またその被害防止にどういう対応をしたのかお伺いいたします。

第2点は、県病害虫防除所は、トビイロウンカに関し7月16日には注意報を、8月3日には警報を発令して防除への取り組みを促しているにもかかわらず、被害の発生を防ぐことが出来なかったのはどうしてなのか、唯今指摘いたしました第2世代幼虫の段階における防除効果が十分でなかった理由等も含め、ご見解をお伺いいたします。

第3点は、今年の事例を教訓にして、来年以降のトビイロウンカ対策に生かしていくべきであると思いますが、具体的にどういう対策を考えておられるのかお伺いいたします。

第4点は、トビイロウンカの被害防止は、どんなに有効な対策が立てられても、農家や農業法人などの農業者にそのことが適時周知され、防除措置が適切に実施される必要があります。

ついては、そうしたことに向けての県及びJAの営農指導体制は充分なのか、改善すべき点はないのか、県の普及指導員は、平成2年には241人であったのが、年々減員されて現在は138人であるが、こうした減員傾向は今後も続くのか、むしろ増員への転換を検討し県の営農指導体制の強化を図るべきではないのか、今年の本県のトビイロウンカ被害に鑑み、以上のこと併せお伺いいたします。

第5点は、ウンカ被害に強いイネ品種の開発と栽培方法の確立についてです。今年のウンカ被害に関して農薬を使わない有機農法や自然農法でコメ作りをやっている方々に聞きますと、私が聞いた範囲では被害はほとんどないとの答えが返ってきました。一方、減農薬のエコ栽培でコメ作りをやっている或る農園は、壊滅的な被害を受けたとのことでした。こうしたことも含め、ウンカ被害に関する様々な実情調査を実施し、農薬による駆除以外の方法によるウンカ被害回避の可能性も追及されていいのではないでしょうか。ついては、そうした観点から、ウンカ被害に強いイネ品種の開発と栽培方法の確立に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 

(部長答弁)