令和3年11月定例県議会【1.施策の基本方針について】

コロナ対応と経済再生

1.施策の基本方針について

我が国で初めてコロナ感染者が確認されたのは昨年即ち令和2年の1月16日でした。政府はその2週間後の1月30日に、「新型コロナウイルス感染症対策本部」の設置を閣議決定しました。以来今日まで1年10か月余、コロナの感染拡大防止の対策徹底と医療提供体制の整備を最優先課題としつつ、国民の暮らしと社会経済活動も可能な限り支え維持し回していくとの方針のもと政府のコロナ対策は推進されてきました。人流抑制のための強力措置である緊急事態宣言の発出も4回ありましたが、概ね国民の理解と協力が得られ、マスクの着用、手洗い、手指消毒、検温、換気、三密回避などコロナ感染拡大防止の生活行動パターンも国全体において徹底してきていることの上に、ワクチン接種が進み今年の10月からはコロナ感染者数は大幅に激減して今日に至っております。

本県で、コロナ感染者が初めて確認されたのは昨年の3月4日で、陽性者が1名あった旨公表されています。以来、これまで全国的に第一波から第五波まであったコロナ感染拡大の波と本県も無縁ではなく、ことに昨年末から年明けの間の第三波の時は、高齢者医療施設でのクラスター発生もあり感染ピーク時には、1日88名の感染者が確認されました。また、今年の7月から9月の間の第五波は、コロナウイルスが感染力の強いデルタ株に置き換わったことからピーク時の8月は感染者が全国で2万名を超える日が続き、本県でも8月19日に119名の感染者を確認しています。これは、本県における一日当たり感染者確認数の最高値であります。

我が国のコロナ感染者累積総数は、本年12月1日現在172万7081人でそのうち1万8361人の方が亡くなられています。山口県では感染者累積総数は5792人で93人亡くなられています。こうした感染者数、死亡者数をどう評価するかは見解が分かれるところですが、私は、世界各国のコロナ動向と比較してみるとき、日本は国もそして本県も、「よく、やってきた。」と評価していいのではないかと思っています。ことに、感染リスクの中に身を置き、心が折れそうになる辛い思いを度々しながらもそれを乗り越えコロナ診断とコロナ患者への医療看護等に当たってこられた医療従事者の皆さま、新型コロナウイルスのPCR検査を所管し、クラスター発生時などにはそのことに伴う膨大な業務を地道に根気強く徹底的に遂行し、本県におけるコロナウイルスの感染拡大阻止を成し遂げてこられた保健所関係の皆さまに心から感謝と敬意を表したいと思います。

また、国が設置した翌日の令和2年1月31日に、本県は村岡知事を本部長とする山口県新型コロナウイルス感染症対策本部を設置しました。この対策本部は、これまで先般11月25日の会議を含め述べ29回の本部員会議を開催して、コロナ対処の方針決定、県民への呼びかけ、医療提供体制の整備確保、ワクチン接種の推進などコロナ対策における総合司令塔の役割を果たしてきました。村岡知事の陣頭指揮のもと健康福祉部健康増進課をはじめとする関係部課の奮闘により、本県のコロナ対策は、国の方針とも呼応しながら本県の感染状況に応じて的確かつ着実に実施され、特にワクチン接種においては全国都道府県第一位の接種率を維持するしっかりした取り組みが図られました。このことは、高く評価されていいと思います。

村岡知事は、先日11月24日の記者会見で知事選三期目出馬の決意を表明されました。「県民の命と健康を守る」コロナ対応に優れた指導力を発揮し、これまで2期にわたり着実な県政運営を推進してこられた村岡知事が、三期目を目指されることは当然の流れであり、このことを歓迎し私も微力ですが支持協力していく所存です。

さて。年が明けて行われる知事選挙においては村岡知事の三選が確実な見通しでありますが、村岡県政三期目においても、当面はコロナ対応が最優先課題として続くものと思われます。本県では、コロナ対応は、主に感染拡大の防止、県民生活の安定、県内経済の下支えの三本柱で施策の推進が図られてきました。

私は、今回は、そのうち県内経済の下支えに関し、コロナで傷んだ経済の再生という観点から思うところを述べ、所見をお伺いしたいと思います。
ご案内のように、事業経営においてコロナの影響が深刻だったのは、観光宿泊関係、飲食関係、イベント関係でした。私は、今年の10月、11月はそれらの事業者や組合等を訪ね、実情をお聞きし、これまでの国・県・市町の支援策への評価や今後への要望を伺ってまいりました。そこで確認した、どの業種にも共通していることの一つは、雇用調整助成金の特例措置が、雇用維持や事業継続の上においては、大きな役割を果たしていることでした。また、共通した懸念の声として聴いたのは、コロナ融資等で何とか当面をしのいでいる事業者の中で、返済が始まると行き詰まる事業者が、今後数多く出てくるのではないかということでした。

岸田政権が打ち出しているコロナ対応の経済政策を見ますと、目玉の一つは、令和2年度の持続化給付金の再現ともいうべき「事業復活支援金」です。この支援金は、コロナの影響が大きい中堅・中小・小規模事業者等に地域、業種を限定せず、来年3月までの事業継続の見通しが立てられるよう事業規模に応じた給付金を支給するものです。雇用調整助成金の特例措置や政府系金融機関による実質無利子・無担保融資及び危機対応融資は来年の3月末で終了する見通しです。新型コロナ特別貸付は、見直しを行った上で来年4月以降も継続する方針が示されています。

そこでお尋ねです。新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の世界的感染拡大の兆しがみられる等、未だコロナ収束の見通しが不透明な状況が続く中において、コロナの影響を深刻に受けている本県の観光宿泊、飲食、イベント等の業種の事業者が、雇用を維持し、事業継続を図り、事業の発展を志向していくためには、当面の資金手当てや将来への投資に対して行き届いたきめ細かな支援が必要であります。こうした支援への県の取組は、国の施策に呼応しながら、あるいはそれを補完する形で実施していくことが求められますが、このことにつき、先ず県の施策の基本方針についてご所見をお伺いいたします。

→(知事答弁