令和4年11月定例県議会 (3)コミュニティ交通への支援

1.公共交通政策

(3)コミュニティ交通への支援

山口市は、歴史もあり、文化もあり、豊かな自然もありの適度に都会、適度に田舎のいい街で、転勤族で山口に住まわれた方で定年退職後、山口市に住もうという方も多いようです。ただ、山口市の難点は、車が運転できなくなると一気に不便な街になることで、これへの対策が山口市にとっては大きな課題です。

山口市における基幹の公共交通は、市内を走るJRの各線と路線バスでして、コミュニティバスやコミュニティタクシー等がこれを補完して、交通空白地の解消を図ろうとしています。県下の市町でも、ほぼ同様の取り組みがなされていると思われますので、山口市の公共交通への取組を取り上げて、交通空白地解消の一環としてのコミュニティ交通への支援につきお伺いいたします。

山口市の令和4年度予算における公共交通に関する事業費は、幹線バス運行維持事業2億1500万円、2ルートのコミュニティバス実証運行事業6600万円、徳地・阿東地区の生活バス運行事業6200万円、市内8地区でのコミュニティタクシー運行関連事業6000万円等です。これらの事業のうち幹線バス運行事業に対して県から約3000万円余の補助がありますが、それ以外は市の一般財源です。これらの事業費の80%は、特別交付税措置の対象になるとは云え、市としては財政規律を維持する観点から公共交通への支出も一定の大枠の範囲内となります。

このため、コミュニティタクシーにおいては、運行経費の7割が市の補助の限度で残りの3割は運賃収入と運行地区の企業等の協賛金そして地元負担金を充当する仕組みとなっております。ある地区では、この地元負担金が年間約100万円にもなる見通しということで、それをどう確保するか苦慮しています。

こうした交通空白地域解消に向けた取組の実情を知るにつれ、交通政策基本法において「全ての国民の交通に対する需要の充足を重視する方針」が示されているものの、そのことを実効あらしめる仕組みの構築と財源の確保は、今日においても大きな課題としてあることを感じます。

路線バスやコミュニティバス等の基幹交通が近くを運行していない交通空白地域の人たちにとって、車が運転できなくて身近に車に乗せてくれる人もいない場合は、移動手段はタクシーになると思われます。地域をきめ細かくカバーし、地域の中心地や基幹交通に接続する移動手段をコミュニティ交通と言いますが、その役割を主に担っているのはタクシーであります。しかし、通常の料金でタクシーを頻繁に利用することは過重負担になるため、公的補助によりバス運賃並みでバスの代わりにタクシーを運行するコミュニティタクシーやタクシー利用への割引券の交付などによりタクシー利用の負担軽減を図ることが、コミュニティ交通では必要となり、そのための財源確保が課題であります。

そこでお尋ねです。その1は、コミュニティ交通への県の支援についてです。コミュニティ交通を必要としている地域の多くは過疎地域であり、運賃収入は、どうしてもわずかで運行経費の大部分は公的補助になります。この公的補助に関しては、現在本県では県の補助は行われておらず、関係市町が一般財源から充当しています。この市町の補助金に対しては最大で80%が特別交付税措置の対象になりますが、県がコミュニティ交通支援のため補助した場合も、同様の措置がなされることを確認しました。ついては、県も一定の方針を定めてコミュニティ交通への支援を行い、コミュニティ交通の拡充を推進すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

その2は、ICカードの導入についての支援です。県は、ICカードの導入について、バスへの支援は行っていますが、タクシーに対しては支援がないようです。

コミュニティ交通を担うタクシーにおいても、ICカードの導入が進むことが望まれます。ついては、バス同様タクシーに対してもICカード導入への支援を行うべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

その3は、国への要望についてです。コミュニティ交通への国の補助は、既に運行しているところに対してはなく、新たに運行を始めるところに対して措置される制度となっています。このことに関し市町の関係者からは、既に運行しているコミュニティ交通に対しても国の補助があるよう、県から要望してほしい旨の声があります。ついては、このことにつきご所見をお伺いいたします。

→(部長答弁