令和2年11月定例県議会【3.農業のデジタル化について】

3.農業のデジタル化について

本年、コロナ禍の中で明らかになったことは、我が国の行政面におけるデジタル化の遅れであります。9月に発足した菅政権は、かかる現状を改めるべくデジタル改革担当大臣を置き、デジタル庁を設置して我が国の行政面でのデジタル改革を一気に進めようとしています。

こうした国の動きに呼応して本県も、県政の様々な分野でデジタル化を進め、デジタルトランスフォーメーションを推進することを、先般10月に策定した「『コロナの時代』に対応するための施策推進方針」において明確にし、村岡知事は、今議会初日の議案説明において来年度当初予算は、この方針に基づき編成していく旨の考えを表明されました。

そうしたデジタル化に向けた県の動きを了としながら、指摘しておきたいことがあります。それは、農業分野におけるデジタルトランスフォーメーションに、県は体制を整え総力を挙げて取り組むべきだということであります。

トビイロウンカ被害の実情を知るべく農業者の方々を訪ね歩く中で、訴えられたことがあります。それは、普及指導員などによる農家等各戸への病害虫などに関する情報提供や防除の技術的指導などの周知徹底が、人員の面から難しいのであれば、スマホやタブレット端末などでそうしたことが出来るシステムの構築に取り組むべきではないかということでした。

私は、そういう旨の訴えを聞いて、「確かにそうだな。農業こそデジタル化のメリットが大きい分野ではないだろうか。トビイロウンカ被害は、農業分野におけるデジタル化の遅れを明らかにした面があるな。」との思いを持つに至りまして、農林水産省におけるデジタル化への取組に関心を向けました。そして同省が、昨年10月に事務次官直結の推進組織であるデジタル政策推進室を設置し、本年8月にはこの推進室を大臣官房参事官を長とする大臣官房デジタル戦略グループに発展させていて、菅政権が看板政策としてデジタル化を掲げる前から、本気で農業のデジタル化を推進しようとしていることを知りました。その背景には、農業の担い手の高齢化等が進む中において農業を守り、これを成長産業化させていくには、農業のデジタルトランスフォーメーションを推進していくしかないとの危機意識があり、今日、様々な試みが行われ農業現場への実装が進められているスマート農業は、そうした取り組みの一環であることを理解しました。

思うに、これまで農業の成長産業化ということは、常に強調されてきましたが、実際のところ掛け声だけに終始してきた感があります。その最大の理由は、成長産業化を実現する具体的なツールと方法論が伴っていなかったことにあると思われます。それが、今日ではツールとしてはデジタル技術があり、適切な戦略的方法論のもとそれを活用すれば、農業の成長産業化は実現可能であります。そして、その農業の成長産業化に向けたデジタル化の推進では、国や県・市町等が担う公的役割が大きいと考えられます。それは、第一次産業である農業は、第二次・第三次産業である商工サービス業と比べて公的関与の度合いが高いからです。ついては、本県が、JAともしっかり連携して、農業の成長産業化に向けたデジタル化に本格的に取り組んでいくことを期待するものです。

そこでお尋ねです。本県農業のデジタル化、即ちデジタル技術を活用した農業のデジタルトランスフォーメーションに、県は今後どう取り組んでいくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

(部長答弁)