平成28年9月定例県議会【知事の政治姿勢について】

私は、村岡知事に、大きな期待を寄せております。是非、知事は5期やっていただきたい。そして、山口県を立派な県にし、その後は日本をよりよい国にするために働いていただきたい、そう願っております。
今回は、厳しい指摘も致しますが、そういう期待と願いを込めまして、「知事の政治姿勢について」ということで一般質問をいたします。

1.知事の立ち位置について
お尋ねの第一は、知事の立ち位置についてであります。
1991年の4月から12月にかけて全8回にわたり「NHKスペシャル}枠で物理学者アルベルト・アインシュタインをテーマにしたドキュメンタリー番組「アインシュタイン・ロマン」が、放送されました。その内容は、全6巻の本として出版されていますが、それを読みますと、「天動説と地動説」に関して、我々の一般通念を否定する記述があります。先ず、その部分を紹介いたします。

天動説の誤りをガリレオが命をかけて正しい地動説に置き換えようとした、という見方がある。しかし、これは現代の「科学史」という学問の分野では否定されている。つまり、天動説はそれ自体完結した一つの体系であって、その中にいる限り、間違っていない。地動説に比べて大変複雑な計算を必要とするが、惑星の運航を天動説でおおむね正しく予言することはできるからである。地動説の体系ももちろん正しい。しかもより単純な公式で宇宙を理解できる。つまり、ある集団にとって正しい理論から別の集団にとって正しい理論への交代、一つのゲームのルールから他のルールへの変更と考えるのが現代科学史の潮流である。こう記されています。

天動説も地動説も、共に正しい。ただ、地動説のほうが天動説に比べてより単純な公式で宇宙を理解することが出来ることから、宇宙理解において正しいとされる理論が、天動説から地動説に交代したのであるとの指摘です。
関連して、科学的に見た自然の実態ということについて、「雪の結晶」の研究で世界的に著名であった物理学者中谷宇吉郎の言葉を紹介します。彼は、その著「科学の方法」において、次のように述べています。

科学は自然の実態を探るとはいうものの、けっきょく広い意味での人間の利益に役立つように見た自然の姿が、すなわち科学の見た自然の姿なのである、と。

この見解からすれば、天動説より地動説のほうが、人間の利益に役立つので、地動説で見た宇宙の姿が、科学の見た宇宙の姿として受け入れられたということになります。
つまり、厳密な客観性が求められる自然科学の世界においても、様々な観点からの自然理解のうち、広い意味で人間の利益に役立つ見方が、科学が見た自然の姿として受け入れられ、正しいとされていくのであります。まして、このことは、社会科学の世界、特に政治の世界において一層顕著であると思われます。
こうした見方を踏まえ、私は、県政に関する正しい理解、認識とは、広く県民を利する政策形成や政策判断につながる理解であり認識であると考えます。そして、そのような理解、認識は、それをもたらす観点、立場、立ち位置と不可分であることから、どのような観点、立場、立ち位置からの県政に関する理解や認識が望ましく、広く県民を利する政策形成や政策判断につながるのかということが、問われることになります。
そこで第一のお尋ねです。知事は、県政に関しどのような観点、立場、立ち位置に基づき政策判断をしておられるのか、ご所見をお伺いいたします。

2016年11月28日