平成29年2月定例県議会【4.新規就農者と有機農業】

お尋ねの第四は、新規就農者と有機農業についてであります。

山口市では新規就農しようとする若い人たちの8割は、有機農業を希望しているとの話を耳にしたことがあります。全国的には、新規就農希望者の3割近くが、有機農業を希望しており、慣行農業者の5割近くは条件が整えば有機農業に取り組みたいと考えているとの調査結果が公表されております。

いずれにせよ新たに農業をやろうという人たちの中で、有機農業を志す人たちの割合が高いことは明らかです。また、先に述べましたように農林水産省も環境保全型農業の中に有機農業を位置づけ、その推進を図っています。

しかし、新たに有機農業に取り組もうとする人たちに対する、技術・経営などでの指導・支援の体制は、都道府県や市町によってバラつきはあるのでしょうが、概して弱く十分ではないようであります。本県もそうだと思われます。

今回、私が有機農業に関心を向けて関係者の話を聞いていった時、幾度か訴えられたのが、新規就農者に、年間150万円を5年間給付する支援を、有機農業をやろうとする者にも認めてほしいということでした。この給付金を受けるには、新規就農後の農業経営計画が、実際成り立っていく見通しが確認される必要があります。それが有機農業の場合、そのことを困難視されてなかなか認められないようです。こうしたことが、農業をやろうとする若い芽を潰してはいないのか気になります。

ある有機農業経験者の方は、「有機農業は高い技術力を要するから、最初から有機農業に取り組むということには賛成できない。慣行農業も有機農業も両方経験し学んだ上で有機農業を目指すのがいいと思う。」と語っておられました。

確かに、その通りであろうと思われます。そこで、最初から一挙に全て有機農業ではなくても、段階的に有機農業の夢実現に至る道筋を示すことができる農業指導員の存在が、有機農業をやろうとする若い芽を育てるためには必要と思われます。そういうことを含め、栽培技術・農業経営の両面から有機農業をやろうとする人たちを指導支援する体制の整備が必要なのではないでしょうか。

そこでお尋ねです。山口県は、農業の担い手支援日本一を標榜しています。であれば、新たに就農しようとする若者に希望が多い有機農業の担い手支援においても日本一であってほしいと願うものです。ついては、そのことに向けて新規就農で有機農業を希望する人たちに対する、指導・支援体制の整備充実を図るべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】

新規就農者と有機農業についてです。

お示しのとおり、新規就農者が増加傾向にある中、条件が整えば有機農業に取り組みたいと考える若者も増えています。

新規就農者が担い手として定着するためには、技術の習得と所得の確保により、早期に経営安定を図ることが何よりも重要であり、特に、高い技術力を要し所得の確保が不安定な有機農業は、栽培経験を重ねるなど、段階的に取り組むことが必要です。

このため、実践を通じた豊富な栽培経験を有する有機農業生産者から、経営や販売のノウハウ等を学べるよう、先進事例の調査研究や研修生の受入れ、生産者のネットワークづくりを進めるなど、有機農業関係団体や指導機関等と連携しながら、技術・経営の両面から指導・支援に努めてまいります。