平成29年6月定例県議会【5.小水力発電の推進】

最後にその4、小水力発電の推進についてお伺いいたします。

竹村氏が、これからの新たな水力発電の開発で、大きな可能性があると示しておられるのが、1000kW以下の小水力発電であります。しかし、本県における小水力発電への取組み状況を見ていきますと、小水力発電を伸ばしていくのは容易ではないことが窺えます。

本県は、平成24年度に策定した再生可能エネルギー推進指針において、中小水力発電は、平成32年度までに新たに9箇所設置し、発電能力を1119kW伸ばすとしていますが、これは太陽光発電の伸びの224分の1、風力発電の伸びの95分の1であります。

水力発電は、天候に左右される太陽光発電や風力発電と比べて安定的、持続的な電力供給が可能という点から、再生可能エネルギーの中で、もっと大きく伸ばすことが図られていいはずですが、そうなっていません。それは、小水力発電が、今後の水力発電の新たな開発の中で主役の役割が期待されているにもかかわらず、実際に民間事業者が取り組もうとすると、困難な課題が様々あり、事業として成り立っていく見通しが立たないというのが実情であるからです。

そうした中、本県では県企業局が「小水力発電導入ガイドブック」を作成すると共に、自ら先導的役割を果たすべく、平成26年5月に相原発電所を、平成28年4月には宇部丸山発電所を設置して、小水力発電の運転を開始しております。そして、今後小水力発電の開発に携わろうとする者の一助になればと言うことで、それぞれの発電所の計画から運転開始までの一連の流れを、冊子にまとめています。

また、農林水産部は、小水力発電を農業用ダムを利用して行うということで、水利権などの諸手続きを調整した上で発電事業を、民間事業者に委ね、発電で得られた利益の一部は、ダムがある地域に還元するなどの取組みを行っています。

こうした県の小水力発電への取組みが、固定価格買取制度もあるのに、なぜ民間事業者にまで広がって行かないのか、このことに関心を向け続けていく中で見えてきたのは、電力の送配電に係るシステム上の問題であります。具体的には、50kW以上の発電の高圧連系に伴う問題です。

発電設備を、送配電の系統に接続する場合、発電出力50kW未満の場合は、低圧連系ということで200V標準の送電線への接続となりますが、発電出力が50kW以上の場合は、6000Vの高圧送電線への接続、即ち高圧連系になります。

そこで、二つの問題が生じます。その1は、本県の場合、高圧連系に空き容量がほとんどないということであります。その2は、高圧連系のために変電設備等が必要となり、多額の費用負担が生じることであります。

こうしたことは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー全般に共通する問題でありますが、特に、小水力発電を大きく伸ばすという観点から、対応策が国において講じられるべきものと考えます。

以上申し上げましたことを踏まえ、4点お伺いいたします。

ア.事業として成立発電出力について

第1点は、再生可能エネルギー固定価格買取制度のもと、小水力発電が事業として成立っていくには、一般的にどれほどの発電出力が確保される必要があると見ておられるのかお伺いいたします。

イ.高圧連系問題について

第2点は、小水力発電を推進していくためには、50kW以上の発電の高圧連系に伴う問題の解決が不可欠と考えますが、県は、このことをどう認識しておられるのか、ご所見をお伺いいたします。また、こうした問題の解決は、国において図られるべきものであることから、県は、そのことをしっかり国に要望すべきと考えますが、併せご所見をお伺いいたします。

ウ.50kW未満の小水力発電について

第3点は、現状の中で推進していくことが可能なのは、発電出力が50kW未満の小水力発電でありますが、このことにどう取り組んでいかれるお考えなのかお伺いいたします。

エ.山口県再生可能エネルギー推進指針における導入目標について

第4点は、色々困難な課題が多いことは分かりますが、本県の再生可能エネルギー推進指針の中に示されている中小水力発電の導入目標は、平成23年度に比して目標年度である平成32年度までの伸びが、わずか1%であり少ないと思います。水力発電推進の重要性に鑑み、もっと高い目標を掲げて推進を図るべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。