平成29年9月定例県議会【2.ペトリオットPAC-3の配備について】

今年の3月6日に北朝鮮が行った連続4発のミサイル実験は、岩国と佐世保の米軍基地を仮想標的にしたものであったと軍事専門家は分析しています。

我が国の弾道ミサイル防衛は、イージス艦による上層での迎撃とペトリオットPAC-3による下層での迎撃を連携させて効果的に行う多層防衛を基本としています。具体的に述べますと、イージス艦により迎撃できなかったミサイルは、PAC-3が着弾前に迎撃破砕するという二段構えの多重防護システムでミサイル防衛に万全を期すということになっているのであります。

ただ問題なのは、イージス艦は3隻で我が国全域をカバー可能ですが、ペトリオットPAC-3がカバーできる範囲は、配備された地点から20キロ程の圏域にとどまるため、日本の国全域が、常時イージス艦とペトリオットPAC-3による多重防護体制にあるという訳ではないということであります。

ペトリオットPAC-3は、現在全部で34基あって、航空自衛隊管轄の28個高射隊のうち17個高射隊に2基ずつ配備されています。この高射隊は、6群に分けて全国に配置されていて、PAC-3を有する部隊は、事態に応じて機動的に移動・展開して大都市圏や重要拠点を、ミサイル攻撃から多重防護することを任務としています。このことから明らかなように、ペトリオットPCA-3の役割は、拠点防衛であります。

従って、今日のように北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が高まっている時には、そのリスクが高いと思われるところには、常時配備の措置が取られるべきであると考えます。なぜなら、北朝鮮からのミサイル攻撃が実際あるとしたら、それは突発的で前もって予測し備えることが困難な事態である可能性が高いことから、移動・展開の時間的余裕はなく、それに対応できるのは、現にPAC-3が配備されているところに限られると思われるからです。

以上申し上げたことから訴えたいことは、岩国基地に、ペトリオットPAC-3を配備すべきということであります。在日米軍の他の航空基地を見ますと、嘉手納基地では米軍自身がPAC-3の防空砲兵大隊をもっています。三沢基地は、自衛隊の航空基地があり、そこにPAC-3が配備されています。然るに岩国基地にはそういう備えはありません。PAC-3を有する高射隊がある最も近い基地と言えば北九州市に隣接する芦屋町の芦屋基地ですが、そこからの移動を待っていたのでは、突然のミサイル攻撃には対処できません。

そこでお伺いいたします。県は岩国市とともに、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威がある間は、岩国基地にペトリオットPAC-3の常時配備を求めるべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。