平成30年11月定例県議会【5.公共交通の担い手対策について】

「公共交通政策について」

5.公共交通の担い手対策について
交通政策に係る主要な課題は、移動手段の確保からまちづくりに連動した交通ネットワークの形成、そしてシェアリングと情報技術の活用へと変遷してきているように思われますが、実は、これらはいずれも今日的な課題であり、交通政策の課題は、重層化してきています。
そうした中で、公共交通が直面している切実な喫緊の課題は、担い手不足であります。これへの対応策としては、先ず運転手等への処遇改善ということが考えられますが、そうしたことに加えて交通に関する制度の改革や技術の進展により、その解決を図ろうとする取組みが進行しています。
では、その解決の方向はどういうものなのでしょうか。制度の改革に関しては、公共交通を、シェアリングの方向で規制緩和していくことです。技術の進展は、車の自動運転の実現であります。いずれも政府が新成長戦略に位置付け、推進していこうとしていることです。
シェアリングは、物・サービス・場所などを、多くの人と共有して利用することで、今年の6月から施行された民泊新法は、旅館宿泊業に係る規制を、その方向で緩和したものと見なすことができます。
では、公共交通におけるシェアリングとは、具体的にはどういうことなのでしょうか。実は、先に述べた自家用有償旅客運送も、有償運送を白ナンバーの自家用車にも認めるという意味で、その方向での規制緩和と見做すことが出来ますが、典型的なのは、ウーバーと云って移動サービスの提供ができる一般の人の車とお客をスマホのアプリを使って繋ぐという配車サービスがあります。このサービスは、アメリカで始まり、現在は広く欧米に普及していますが、我が国では、有償運送には認められていません。理由としては、タクシーなどの運送事業者への影響が懸念されているからと思われます。運送事業者の存続を図ることは、地域における公共交通を持続的、安定的に確保していく上において大事でありますので、そうした規制を一概に批判することはできません。そこで、地域における持続的、安定的な公共交通の維持確保を前提にした上で、シェアリングという方向での規制緩和をどう図っていくのか、知恵を絞ることが求められています。また、宇部市で実証実験が行われることになった自動運転は、公共交通の担い手不足解消に向けた究極の解決策と目されています。シェアリングや自動運転が、本当に公共交通の担い手不足解消に繋がるのかついては、懸念もありますが、取組むべき一つの選択肢であることは確かです。
ついては、公共交通の担い手対策として具体化・実用化に向けた動きが進行している、シェアリングと自動運転に、本県が産学官連携して取組み、新たな公共交通のモデルを構築していくことを期待するものですが、このことにつきご所見をお伺いいたします。