令和3年9月定例県議会【1.デジタル化の基本認識について】

デジタル改革の推進について

1.デジタル化の基本認識について

デジタル化を進める上において大事なことは、「デジタル化とは、どういうことなのか。」についての正しい認識です。そこで先ず、私なりのデジタル化についての理解を申し上げて、デジタル化の基本認識についてご所見をお伺いしたいと思います。

デジタル化は、私たちが生きているアナログの現実世界のモノやコトから文字、映像、音声等に至るまでのあらゆる事象を、0と1で数値化した情報に変換することであります。

その0と1に数値化されたデジタル情報は、コンピュータで処理が可能となります。コンピュータの情報処理機能の中枢である論理回路は、電気が流れているオンの状態を1,電気が流れていないオフの状態を0として設計された回路の集まりであるからです。尚、この論理回路のベースにあるのは、0と1の2進法で論理の数学化が図られたプール代数です。

情報のデジタル化とデジタル化された情報のコンピュータ処理が、今日デジタル化と言われているものの実質的内容ですが、文字・映像・音声等は勿論のこと世の中のあらゆる情報は、デジタル情報にすることによりコンピュータで一元的に処理できるようになります。デジタル化が、世の中のあらゆる面において、ある意味革命的な新たな可能性の広がりを実現することになるのは、このことによります。音声だけであったアナログ通信の電話が、デジタル化されて写真や動画、音楽等も送受信できるスマホに代わっていってるのは、そのことのわかり易い事例でして、こうしたデジタル化による新たな可能性の広がりは、世の中のあらゆる面をより良い方向に変革していく可能性の広がりともなるものです。

だだ、ここで留意しておかなければならないことは、デジタル化は、あくまでもツール、手段、方法であって目的ではないということです。従って、デジタル化を進める上においては、如何なる目的のためにどのようなデジタル化を行うのかが、明確且つ具体的に設定される必要があります。先ず、行いたいことの目的や方法について人による考慮や判断があって、その後にデジタル化の具体的な実施がある。当然と言えば当然のことですが、このことは、デジタル化それ自体を目的化しないために踏まえておくべき重要なポイントであります。

以上、私なりのデジタル化についての理解と認識を申し上げました。

そこでお尋ねです。本県は、デジタル推進局を設置して全県的なデジタル化を強力に進めようとしていますが、県のデジタル化についての基本認識はどういうものなのか、先ずお伺いいたします。

→(知事答弁

 

 

 

令和3年9月定例県議会【2.デジタル化と地域課題の解決について】

デジタル改革の推進について

2.デジタル化と地域課題の解決について

今年の3月に策定された「やまぐちデジタル改革基本方針」では、デジタル化による地域課題の解決が随所に強調されています。

先ず、「改革の意義」では、「デジタル化は、企業等の生産性向上や付加価値の創出を促進し、今後の経済成長を主導するとともに、地域や社会の抱える様々な課題の解決を図り、より便利で豊かな生活を実現する上で欠かすことのできない取組である。」と書かれています。そして、さらに「デジタル化は、地方においてこそ、より大きな進展を果たさなければならない。地方にとってデジタル化は、今までにない手法で地域課題を解決し、住民の暮らしや社会経済活動を向上させ、都市部との格差を解消するとともに、現在、首都圏の若い世代を中心に、地方移住への関心が高まっていることを追い風にして、地方への新たな人の流れを生み出し、拡大させる大きな可能性を有している。」と記されています。

また、「改革の基本姿勢」として示されている5項目の筆頭は、「地域課題の解決」でして、「これまで対応が困難であった様々な地域課題について、デジタル技術を活かした、今までとは異なる視点からの発想により、新たな解決方策を生み出すとともに、こうしたソリューションをより効果的な形で具体化し、速やかな社会実装を図る。」と説明されています。
もう一つ、「目指すべきデジタル社会のビジョン」には、「デジタル化がもたらす地域課題の解決」との文言があります。

こうした記述には、何かデジタル化が図られると、自ずと地域課題は解決されていくかの如きイメージがありますが、果たしてそうでしょうか。ハッキリしていることは、デジタル化により地域課題の解決を図るには、どういう地域課題を如何なるデジタル化により解決していくのかが、具体的に想定されなければならないということです。

そこでお尋ねです。「やまぐちデジタル改革基本方針」に掲げられている「目指すべきデジタル社会のビジョン」の「デジタル化がもたらす地域課題の解決」との記述は、どういうことを意味しているのか、先ずお伺いいたします。次に、本県においてデジタル化により解決を図りたい地域課題とは、どういうものなのか。また、その地域課題は、どのようなデジタル化により解決できると考えておられるのか、これまでに具体的な実施事例があれば、そのことも含め併せご所見をお伺いいたします。

→(部長答弁

 

 

 

令和3年9月定例県議会【3.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について】

デジタル改革の推進について

3.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について

デジタル化は、三通りに分類されます。第一は、デジタイゼーションでアナログ・物理データのデジタル化です。第二は、デジタライゼーションで個別の業務・プロセスのデジタル化です。第三は、DXデジタルトランスフォーメーションで全体的、包括的、構造的な業務・プロセスのデジタル化です。

ただ、この三通りのデジタル化は、その対象や範囲によりデジタイゼーションともなれば、デジタルトランスフォーメーションともなります。学校教育を例にとれば、県下の各学校において標準化された統合型校務支援システムを導入し、校務の効率化や高度化を総合的に行うことにより、デジタルトランスフォーメーションにつながることが考えられますが、県下の各学校が、それぞれ別個のソフトやシステムの校務支援システムを導入していれば、県全体では学校教育の校務は、デジタイゼーション、或いはデジタライゼーションは出来ているが、デジタルトランスフォーメーションは未だ実現できていないことになります。

今月1日にデジタル庁が設置されましたが、このことにより国が強力に進めようとしているデジタル化の主要な柱の一つは、国全体の行政事務のデジタルトランスフォーメーションでして、そのために行政事務の標準化・共通化またオンライン化等を、全国規模で実現する取り組みを進めています。
こうした取り組みは、ことに昨年来の新型コロナウイルスへの対応で、我が国の行政事務のデジタル化の遅れが明らかになったことによるものと見られていますが、遅れているのは国においても、都道府県や市町においても、全体的且つ構造的な行政事務システムのデジタル化であるデジタルトランスフォーメーションでして、デジタイゼーション、デジタライゼーションということでのデジタル化は、個別的に結構その実現が図られていると見て間違いないように思われます。

そこでお尋ねです。本県においてもデジタル化の本丸は、デジタルトランスフォーメーションの実現であって、それは国のデジタル化の取組と整合し、而も県内市町のデジタル化を包括する形で推進していくことが求められます。ついては、そうした意味でのデジタル化、即ち本県におけるデジタルトランスフォーメーションをどう推進して行くのか、ご所見をお伺いいたします。また、そのことの実現に向けた本格的な第一歩として、課題の設定及び工程表の作成に取り組むべきと考えますが、併せご所見をお伺いいたします。

→(部長答弁

 

 

 

令和3年9月定例県議会【4.デジタル人材の育成と確保について】

デジタル改革の推進について

4.デジタル人材の育成と確保について

「やまぐちデジタル改革基本方針」の「施策の3つの柱」その③に「デジタル・エリアやまぐち」の形成として「光ファイバー網や5G等による高度なブロードバンド環境を確保するとともに、デジタル人材の育成を加速し、県内での活躍を促進する」と記載されています。

今日のデジタル化が本格的に進んだのは、アメリカのアップル社が、2007年に発売した「iphone」が契機となり進展したと言われています。つまり、本格的なデジタル化の歴史は、まだ13年ほどしか経過していないと言えます。しかし、この短い間ではありますが、その進展は目を見張るものがあります。今日では、私たちの暮らしやビジネスの中で不可欠な存在となっています。まさにデジタル化がとんでもなく進んだのです。それも高度に。そして正に、デジタル改革というよりデジタル革命というのが相応しいトータル且つ構造的なデジタル化による変革、即ちDX(デジタルトランフォーメーション)が、世の中のあらゆる面で進められようとしています。

そこで問題となってくるのは、そのDX(デジタルトランスフォーメーション)を担う人材の育成と確保であります。

経済産業省が2016年6月に公表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査」によれば、IT需要が今後拡大する一方で、我が国の労働人口(特に若手人口)は減少が見込まれ、IT人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、需要が供給を上回り、2030年には、最大で約79万人に拡大する可能性があると試算されています。

経済産業省は、その後また新たに「IT人材需給に関する調査」を、みずほ情報総研株式会社に委託し、その調査報告書が、それから3年後の2019年3月に公表されています。この調査は、ITの需要の伸びだけではなく、IT人材の生産性の向上も考慮に含めていること、IT人材を従来のIT需要に対応する「従来型IT人材」と、AIやビッグデータ、IoTなどの先端IT技術を担う「先端IT人材」に分けて分析を行っていること等から、より精度の高い調査となっていると考えられます。

その調査報告書が、明らかにしている重要な指摘があります。それは、2030年に、予想されるIT人材の不足は、実質的には先端IT人材の不足になると考えられるとの指摘です。この報告書は、IT需要の伸びが3~9%の高位でIT人材の生産性向上が0.7%、従来型IT人材から先端IT人材へのスキル転換が1%固定の場合、2030年のIT人材不足は全体で78万7千人で、そのうち73万7千人は先端IT人材との試算結果を示しています。

ITには、アナログ技術もありますのでIT=デジタルではありませんが、AIやビッグデータ、IoTなどの先端IT技術は、DXデジタルトランスフォーメーションを担う技術そのものでありますので、先端IT人材の不足は、そのままデジタル人材の不足と見做していいと考えられます。

そうした我が国の将来のデジタル人材不足を、どう解消していくのかは大きな問題でありますが、このことは基本的には国の教育政策に係る問題であると思われます。では、県としてはデジタル人材の育成と確保には、どう取り組むべきなのか。以下、そのことに関し3点お伺いいたします。

ア.産学官の連携について
第一点は、産学官の連携についてであります。本県におけるデジタル人材の育成と確保に係る課題を共有し、産学官が連携してその課題解決に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

→(部長答弁

イ.県庁におけるデジタル人材の育成と確保について
第二点は、県庁におけるデジタル人材の育成と確保についてです。デジタルに関する外部人材の活用は当然あっていいと思いますが、県庁職員に自前の優れたデジタル人材がいることも大事です。そのため、県庁職員を大学や研究機関、企業等に一定期間派遣してデジタルに関して本格的に学び研修することを可能にするとか、県職員の採用に当たり、デジタル化に関し一定の専門的知識とスキルを持った人材の採用枠を設ける等のことが考えられますが、そういうことも含めて、県庁におけるデジタル人材の育成と確保にどう取り組まれるのか、ご所見をお伺いいたします。

→(部長答弁

ウ.デジタル化を担う企業の育成支援について
第三は、デジタル化を担う企業の育成支援についてです。このことに関しては、二つの面からの県の取組が求められます。一つは、融資や補助による育成支援です。もう一つは、デジタル化の事業、即ち仕事の発注による育成支援です。デジタル化の事業について全国大手や県外有力企業への発注を全く排除するわけではありませんが、県としては、県内企業の育成を図る観点からの発注を基本とすべきと考えます。ことに、新たなデジタル技術を事業化したようなベンチャー企業に関して、そういう姿勢が求められます。

いずれにせよ、本県においてデジタル関連の企業が育ち集積していくことが、デジタル人材が豊かになり確保されることにつながります。ついては、以上申し上げましたことも含め、デジタル化を担う企業の育成支援にどう取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。

→(部長答弁

 

 

 

令和3年9月定例県議会【5.光ファイバー網の整備について】

デジタル改革の推進について

5.光ファイバー網の整備について

「やまぐちデジタル改革基本方針」は、その将来像を「3つの維新」に沿って産業維新、大交流維新、生活維新ごとに掲げていますが、その「3つの維新」に共通することとして、「離島や過疎地域を含めた県内全域に、誰もが利用できる高度なブロードバンド環境が整っている。」との将来像を示しています。

また、この基本方針は、改革の基本姿勢5項目のひとつに、「デジタルデバイド(情報格差)の排除」を取り上げ、「情報通信基盤の整備状況等に起因する『地域間のデジタルデバイド』や、デジタルリテラシーの違い、あるいは、デジタルサービス自体のアクセシビリティの問題等による『個人間・集団間のデジタルデバイド』を徹底して排除し、誰一人取り残さないデジタル社会を目指す。」と説明しています。

こうした離島や過疎地域を含め県内全域において、誰一人、そしてどの地域も取り残すことなく高度なブロードバンドを利用できる環境を整え、情報格差のないデジタル社会を実現していくとの方向は妥当なものですが、そのためには、その基盤となる情報通信インフラとして光ファイバー網を、整備していく必要があります。

令和2年版情報通信白書は、第五世代移動通信システム(5G)を、withコロナの時代における「新たな日常」の構築に不可欠の基盤と位置づけ、5Gについての記述が主な内容になっていますが、5G整備と光ファイバーの関係については、次のように指摘しています。

「移動通信システムのネットワークのうち、基地局と端末を結ぶアクセスネットワークは無線で構成されているが、基地局から先のコアネットワークは、その大半が有線によって構成されている。5Gによって4G以上の超高速通信を実現するためには、より高速の有線回線、つまり光ファイバーの整備や増強が不可欠である。」「5Gネットワークの全国展開にあたっては、5G基地局の整備と光ファイバーの整備を一体的に行っていくことが、5Gのメリットを最大限に活かすためにも重要である。」と。

その光ファイバー網整備への本県の取組についてですが、「やまぐちデジタル改革基本方針」には、「ブロードバンド環境の確保」ということで、「離島や過疎地域を含め、県内全域に光ファイバー網がくまなく整備されるよう、引き続き、市町や通信事業者に整備促進を働きかけるとともに、国に対し、支援制度の継続・拡充と、今後における設備等の維持・拡充・更新に係る安定財源の確保に向けたユニバーサルサービス化を強く求める。」と記されています。

私は、正直に申し上げてこの記述には、県が当事者意識をもって主導的に光ファイバー網の県内全域整備を進めていくという強い意志が感じられず、そういう姿勢でいいのかとの思いを持ちます。令和2年3月末時点における光ファイバー整備率(世帯カバー率)は、全国で99.1%ですが、山口県は94.4%で47都道府県中整備率が低い方から長崎、島根、宮城に次いで4位であります。離島が多い県が整備率が低いという面はあるのでしょうが、そうだからこそ県がしっかり主導して整備に取り組む必要があるのではないでしょうか。

そこで、お尋ねです。県は、光ファイバー網の県内全域整備に向けて市町や情報通信の民間事業者との協議会を設け、年次目標を設定した事業実施計画を立てて取組を推進すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

→(部長答弁

→【要望

 

 

 

令和3年9月定例県議会【要望:光ファイバー網の整備について】

デジタル改革の推進について

【要望】光ファイバー網の整備について

それぞれご答弁いただきましたが、光ファイバー網の整備について、要望をしておきたいと思います。

光ファイバー網の整備、条件不利地域、離島や過疎地域等における条件不利地域での整備につきましては、基本的に国の補助制度を利用して、市町が実施する、あるいは民間の事業者や第三セクター等が実施するということでありまして、そういうことに対して働きかけや、要請を県は行っていくというのが今の県の姿勢でありますよね。

私は、もう一歩踏み込んで、県もいくらかそのために補助を行う、助成を行う、条件不利地域の光ファイバー網整備が進んでいくためには、県もそれなりの助成・補助を行っていくという姿勢があって良いと考えるものです。

恐らく、これに関する国の交付金は、これからも数年続くと思われますし、そういうものを当てることも私は考えられると思います。

そういうことも含めて、県もこの光ファイバー網の県内全域整備に向けて、必要な負担・助成も行って、そして早期の県内全域整備、1人も取り残さないブロードバンド環境を整備すると、デジタル改革の基本方針には明記されておりますので、それをただ明記しただけに終わらせず、それを実現していく、その姿勢を、県もそれなりに負担し補助するということによって示していただくことを要望いたしまして、私の一般質問を終わります。

 

 

 

 

答弁【1.デジタル化の基本認識について】

デジタル改革の推進について

1.デジタル化の基本認識について【知事答弁】

合志議員の御質問のうち、私からは、デジタル化の基本認識についてのお尋ねにお答えします。

もとよりデジタル化は、それ自体が目的ではなく、目的を達成するための手段の一つですが、私は、デジタル技術の効果的な活用によって、今までにはない手法で地域課題を解決し、新たな価値を生み出し、県民の暮らしや社会経済活動を飛躍的に向上させることができるものと考えています。

これを具現化していくことが、まさにデジタル化の目的であり、県民誰もが希望するサービスやライフスタイルを自由に選択でき、これまで以上の豊かさと幸せを実感できる社会、その実現を目指して、「やまぐちデジタル改革」を推進しているところです。

解決すべき課題や創造したい価値は、既に「やまぐち維新プラン」や「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げているとおり、県政のあらゆる分野に数多く存在します。

それらに対し、どのようにデジタル技術を活用していくのか、その方策を見いだし、確かな成果に結びつけていくことは、幾度もの試行錯誤を伴う難しい挑戦になろうと思います。

しかし、私は、コロナ禍から生じた社会変革の中で、時代が大きく変わろうとしている今だからこそ、県政各分野にわたって、失敗を恐れることなく、この挑戦を重ね、活力に満ちた山口県の未来を切り拓いていかなければならないと考えています。

そうしたデジタル改革の取組を強力に、そしてスピード感を持って進めていくため、今年1月、全庁組織である「デジタル改革推進本部」を立ち上げるとともに、4月には、お示しの「デジタル推進局」を新たに設置いたしました。

また、改革の推進に当たっては、市町はもとより、企業や関係団体、大学など、多様な主体と連携・協働し、それぞれが持つ知見やノウハウ等を結集していく必要があります。

さらに、様々な環境にある全ての県民の皆様に、デジタル化の意義と効用を分かりやすく伝え、これを実感してもらい、デジタル社会に主体的に参加していただけるよう取り組んでいかなければなりません。

そのためには、本県が目指すべきデジタル社会のビジョンや将来像を共有することが重要であり、今年3月に策定した改革の基本方針において、その具体的なイメージを示すとともに、様々な主体が改革に参加するための体制整備や仕組みづくりを進めているところです。

私は、この体制等の下、県民の皆様があまねくデジタル化の恩恵を享受し、これまでよりも豊かで安心・安全に暮らすことができる山口県の未来を目指して、引き続き、全県を挙げた「やまぐちデジタル改革」を推進してまいります。

その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

 

 

答弁【2.デジタル化と地域課題の解決について】

デジタル改革の推進について

2.デジタル化と地域課題の解決について【部長答弁】

まず、デジタル化と地域課題の解決についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。

本県では、人口減少や少子高齢化等を背景に、県政の各分野で様々な地域課題に直面しています。

具体的には、産業分野においては企業の生産性向上や人手不足対策、交流分野では二次交通の確保や移住・定住の促進、そして、生活分野では地域医療の確保や結婚・子育て支援の充実などであり、これらの課題解決にデジタル技術を活用したいと考えています。

お尋ねの「デジタル化がもたらす地域課題の解決」とは、デジタル改革の基本方針策定に当たり、急速に進展しているデジタル技術を活かし、今までにはない手法で地域課題の解決を目指す、そうした県の決意を「目指すべきデジタル社会のビジョン」に掲げたものであります。

既にその幾つかは取組が進んでいるところであり、例えば、産業分野では、中小製造業の生産性向上や労働者不足の解消を図るため、AIの予測技術とセンサーを活用した工作機械の異常検知・予知保全システムの構築など、スマートファクトリーモデルの創出に向けた実証実験が行われています。

交流分野では、AIにより運行ルートの最適化を図るアプリを使った移動サービスの提供やタクシーツアーの運行など、新たなモビリティサービスの実証事業を進めています。

また、生活分野では、県立総合医療センターと中山間地域の病院を5Gでつないだ遠隔診断支援の実証に取り組んでいるほか、やまぐち結婚応縁センターにおいては、AIによる新たなマッチングシステムの運用を開始したところです。

県としては、今後も試行錯誤を重ねながら、こうしたデジタル技術の活用による新たなソリューションの創出と、その社会実装に取り組み、県政が抱える様々な地域課題の解決を図ってまいります。

 

答弁【3.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について】

デジタル改革の推進について

3.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について【部長答弁】

次に、DX、デジタル・トランスフォーメーションの推進に関する2点のお尋ねにまとめてお答えします。

お示しのように、新型コロナウイルスへの対応において、特に行政分野でのデジタル化の遅れが浮き彫りとなり、これに迅速に対処するとともに、住民の利便性向上や業務の効率化につなげていくことが求められています。

このことを踏まえ、国においては、新たに設置されたデジタル庁を中心に、徹底した利用者目線により、国・地方を挙げた行政のデジタル化を推進するとされているところです。

このうち、地方自治体のDXに向けては、昨年12月に国が策定した「自治体DX推進計画」の中で、組織体制の整備や具体的な取組事項、スケジュール等が示されています。

本県としても、これに即応し、デジタル化を梃子とした行政の構造改革に取り組むとともに、市町と一体となって、県全体の行政のデジタル化、「デジタル・ガバメントやまぐち」の構築を進めていくこととしています。

このため、今年1月には、県と全市町で構成する連携会議を設置し、特に、国の計画で重点取組事項とされた情報システムの標準化・共通化、行政手続のオンライン化及びAI・RPAの利用促進については、ワーキンググループも設けて検討を進め、順次実行に移しているところです。

このようなことから、現時点において、本県独自の課題設定や工程表の作成は予定しておりませんけれども、今後も国が示した目標年度等をにらみ、適切な進行管理に努めながら、業務全体のあり方やプロセスの見直しも含めた行政のデジタル・トランスフォーメーションを計画的に推進してまいります。

答弁【4.(ア)産学官の連携について】

デジタル改革の推進について

4.デジタル人材の育成と確保について

(ア)産学官の連携について【部長答弁】

次に、デジタル人材の育成と確保に関する御質問のうち、産学官の連携についてのお尋ねにお答えします。

AIやデータ活用等に関するデジタル技術を有し、それを使いこなすことのできるデジタル人材は、全国的に不足しており、本県においても、行政分野だけでなく、産業界、特に中小企業から人材を求める声をお聞きしています。

一方、大学をはじめとする教育機関においては、これからのデジタル社会のニーズに応える人材教育の充実が強く求められています。

こうした状況を踏まえ、県では、産学官で課題意識を共有し、連携を図りながら、デジタル人材の育成・確保に向けた取組を進めているところです。

具体的には、県と山口大学が連携し、県内企業の技術力・研究開発力の強化に向けたデータサイエンスの専門講座を開催しているほか、教育委員会においても、高校生を対象としたデータサイエンティスト育成講座を実施しています。

また、来月下旬には、高校生・大学生等が企業の若手社員と協働し、先端のデジタル技術を活かしながら、地域課題の解決に向けたソリューションの創造等に取り組むアイデアソン・ハッカソンの開催も予定をしております。

この他、企業や学生、行政職員等が参加する官民協働フォーラム「デジテック for YAMAGUCHI」でも、AI人材育成プログラムの提供を行うなど、産学官の連携による様々な人材育成の取組を展開しているところです。

人材確保の面では、プロフェッショナル人材育成拠点を活用した中小企業とデジタル人材のマッチング支援などに取り組んでおり、県としては、今後も、こうした産学官の連携を一層進め、本県のデジタル社会を創り支えるデジタル人材の育成と確保に積極的に取り組んでまいります。