『上関には石炭ガス化複合発電所の建設を』-エネルギーの未来へ!-

『上関には石炭ガス化複合発電所の建設を』-エネルギーの未来へ!-

私・合志栄一は、先の三月定例県議会において一般質問に立ち、上関原発建設計画は、「石炭ガス化複合発電所」の建設計画に転換することを検討すべき旨、提言いたしました。
3・11福島原発の過酷事故を経て、原子力発電を将来に向けてゼロにするかどうかはともかく、原発依存を減らしていくことは、国民的なコンセンサスになっており、そのことは今年の四月に閣議決定されたエネルギー基本計画にも、明記されています。
私は、そうした原発依存を減らしていくという国のエネルギー政策の基本方向に、上関原発の建設はあり得ないことを指摘して、石炭火力発電への計画転換を提言した次第です。
石炭火力発電は、一般的にC02の排出量が多いということで、地球温暖化への影響が懸念されています。
ところが現在、石炭火力の発電効率を上げてCO2の排出量を減らし、究極的にはCO2の排出をゼロにするという地球温暖化対策にも適合した石炭火力発電の実用化に向けた実証実験の事業が行われています。
この事業に取り組んでいるのは、広島県大崎上島町にある大崎クールジェン株式会社で、中国電力と電源開発株式会社が折半出資で設立した会社であります。私は、先般この会社を訪ね、大崎クールジェンプロジェクトと称して取り組まれている事業概要の説明を受け、建設中の実証試験施設を視察してまいりました。
このプロジェクトは、第1段階が平成三十年度までで、石炭ガス化複合発電(IGCC)の実証実験を行います。
現在、石炭火力のほとんどは、石炭を破砕して微粉炭にし、これを燃焼させる微粉炭火力発電方式ですが、IGCCは、石炭をガス化してガスタービンによる発電を行うとともに、その排熱を利用して蒸気タービンによる発電を複合して行うことにより高効率の発電を実現するものであります。
このガス化複合発電で、従来の石炭火力発電では発電効率が36%程度であったものが、48%まで高められる見通しです。
IGCCには、石炭ガス化炉に酸素を吹き込む方式と空気を吹き込む方式の2種類ありますが、ここでは酸素吹IGCCの実証試験を行います。
第2段階は、第1段階の酸素吹IGCCに、C02分離・回収設備を追設して、C02ゼロエミッション発電の基盤となる実証試験を行うものです。
期間は平成二十八年度から三十年度までの予定です。
第3段階は、酸素吹IGCCに、石炭ガス化で生じた水素を燃料とする燃料電池を組み合わせた発電、これを石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)と申しますが、このIGFCによる発電をC02分離・回収型で行おうとするもので、究極の高効率発電とC02ゼロエミッションを目指す実証試験であります。
発電効率は、さらに55%まで高められる見通しであり、実証試験の期間は平成三十年度から三十四年度までの予定です。
中国電力は、この実証試験を経て実用化の見通しが立ったならば、旧来の石炭火力発電所を、このIGCCもしくはIGFCの石炭ガス化複合発電所に更新していくことを計画していると思われます。
そこで私は、この石炭ガス化複合発電所を、実際上計画実現が困難となった上関原発の建設予定地に建設することを検討すべきだと考え、本県がそのことを中国電力に要請するよう一般質問で求めました。
商工労働部長からの答弁は、「電力事業者である中国電力自らが判断すべきことであり、県として要請する考えはない。との見解で、前向きのものではありませんでしたが、上関原発建設問題の現実的な解決に向けて、一石を投ずる質問を行うことが出来だのではないかと思っています。
現在も、世界の電源の主力は石炭火力であり総発電量の4割を占めています。
しかも、石炭は、人類社会の需要に向こう百年以上応え得る埋蔵量があると見做されていることから、CO2分離回収型で高効率の石炭ガス化複合発電の実用化は、地球温暖化対策とエネルギーの安定供給の両立を実現するものであり、21世紀の人類社会に希望と光明をもたらすものであります。
上関町が位置する瀬戸内海は、世界の人々を感動させる美しい自然環境を保全しつつ近代産業の集積発展を実現している、日本が世界に誇っていいモデル地域であります。
上関町は、記紀万葉の時代から、その瀬戸内海の交通の要衝地として栄えてきた歴史を有しています。
私は、そのような上関町が、石炭ガス化複合発電所の立地により「21世紀の希望の地」として、新たな振興発展の歴史を刻んでいくようになることを願っています。

260715-3

2月21日大崎クールジェン㈱視察

(合志 栄一)

 

2014年7月15日