3. 高齢者福祉特区への取組
「デイサービスの帰りに、買い物もできるようになるといい。」「3階、4階などにお住いのデイサービス利用者を迎えに行ったとき、ゴミも受け取ってあげることができるようになると助かる人が多い。」など、介護の現場で「こういうことができるといいのに。」と思うことがありながら、介護保険制度やそれに関連する制度上のルールが縦割りで、できないことがいろいろあることを、ある介護サービスの複合施設の施設長から聞きました。そして、そうしたことを可能にするために、「山口県も、富山県のように特区の指定を受けて、高齢者福祉の全国モデルとなるような取り組みをするといいのに。」と、その施設長は語っておられました。
その富山県が、指定を受けた特区とは、平成23年に県全域を対象とする「とやま地域共生型福祉推進特区」のことと思われます。富山県は、この特区の指定を受け、新たな規制の特例措置について国との協議を経て、いくつかの特例措置等が認められました。その一つの事例を紹介いたしますと、認知症高齢者グループホームと障害者グループホームの設備の基準は、それぞれ介護保険法と障害者総合支援法で定められているため、両グループを併設する場合、例えば、1階は認知症高齢者グループホームとし、2階を障害者グループホームとして、それぞれに必要な設備を設けるなど、両グループホームを区分して併設する必要がありました。それが、国との協議により、市町村の条例で居室以外の設備(玄関、お風呂、台所等)を共用することができるよう規定することにより、事業者の判断で設備を共用するグループホームを整備することができるようになりました。これにより、例えば、障害のある子を持つ親が認知症になったとしても同じグループホームで生活できるようになるほか、共用設備の整備費用が軽減されることになりました。
こうした規制の特例措置を認めさせ、福祉の望ましい在り方を実現した富山県の特区指定は、平成31年に特区からの申請により指定解除となっています。そこで、その理由を富山県の担当課に聞いたところ、その特区によって実現した在り方が、国の施策に取り入れられ全国展開されることになったので、特区である必要がなくなったためとの説明でした。
私は、山口県も高齢者福祉の現場の人たちをはじめ関連する関係者も含めたプロジェクトチームを立ち上げ、望ましい高齢者福祉の在り方を追求し、その実現に向けて「高齢者福祉特区」の指定に取り組むことを期待します。
本県は、平成23年に光市、柳井市、田布施町と共に特区計画の作成に取り組み、「次世代型農業生産構造確立特区」ということで総合特区の指定を受け、この地域の農業生産の抜本的な改革に取り組みました。この特区は、計画の目標を達成したということで、その計画期間の期限である平成31年にその指定は申請に基づき解除されていますが、私は、農業分野における全国モデルの確立を目指し、この特区の事業に取り組まれた関係者に拍手を送るものです。そして、こういう取り組みが県政のあらゆる分野で、ことに本県は高齢化が全国に先行して進んでいることから、高齢者福祉の分野で行われることを期待する次第です。
そこでお尋ねです。高齢者福祉の介護・看護等の現場の声に応える望ましい高齢者福祉の在り方の実現に向けて、高齢者福祉の特区の指定に取り組むべきと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
→(答弁)
4. 高齢者が輝く県づくりの推進(要望)
高齢者が輝く県づくりは、高齢者が元気で働き、活躍貢献する県づくりです。私は、我が国は今後ますます65歳以上の高齢者が増えて、65歳未満の生産年齢人口が減るから大変だという考え方には、全く反対です。65歳以上の高齢者を、国や地域社会の負担とみなすのは誤りで、貴重な知識、技能、経験を持った人の宝とみなして、それを生かす施策を考えるべきと思うからです。
わが国では、現在大方の人は、特段病気でもしない限り、65歳以上になっても元気で働ける人たちです。そういう人たちは、本人が望むのであれば可能な限り働いていただき、所得を得て税金も払っていただく。即ち、国や地方において負担の側ではなく、貢献する側の人になっていただく。そういう方向に、国や地方の仕組みや制度を持っていくことが、望ましい国づくり、地域づくりの方向ではないでしょうか。
勿論、60歳を超えたら仕事を離れて、自由に好きな暮らしをしたいという人もあるでしょう。経済的事情が許すのであれば、それはそれで尊重されるべき生き方であると考えます。また、病気や障害等があり、働くことが困難な高齢者もおられるでしょう。そういう人たちの生活が成り立つためのセーフティーネットとしての社会保障の施策も大事で不可欠です。
そうしたことを認めた上で、そうとは云え高齢者の大多数は、働けるのであれば働き続けたい人たちであると思われることから、そうした思いが最大限生かされるようにしていくことが、高齢化社会の課題と考えられていることの解決につながるのではないかと思っている次第です。
ついては、「高齢者が輝く県づくり」、即ち高齢者が元気で働き、活躍貢献しているという点では日本一の県づくりを目指して、村岡知事におかれては県づくりを推進されますよう要望いたします。
1.跡地利用の目的意思について【知事答弁】
合志議員の御質問のうち、私からは、農業試験場跡地利用の目的意思についてのお尋ねにお答えします。
人口減少・少子高齢化が進む中にあって、地域の持続可能性を確保していくためには、若者が持つ新しい価値観やライフスタイルに適合し、同時に、高齢者をはじめ多様な人々が各々の個性を生かしてアクティブに活動できる、そうした誰もがいきいきと輝き、住みたくなるまちを創っていくことが重要です。
このため、私は、山口市と防府市を結ぶルート上に位置し、魅力ある県都づくりや県央部の広域的なまちづくりにつながる、大きなポテンシャルを有する農業試験場跡地を活用して、山口市のみならず、県内のまちづくりのモデルとなる「未来のまち」の構築を目指し、取組を進めているところです。
現在、地元山口市と連携しながら、基本計画を策定中であり、昨年11月に取りまとめた中間整理では、この「未来のまち」で、居住者や地域住民、来訪者など多様な主体が創造的に交わることができる空間を形成していくことを、核となるテーマに位置付けました。
そして、こうした空間の形成に向けて、潤いや豊かさをもたらす生活機能に加え、誰もが気軽に利用でき、心の安らぎや癒しにつながる機能、地域の交流を促進する機能、さらには、これからのまちに必要なデジタルや脱炭素の技術の導入など、「未来のまち」の構築につながる様々な機能を整理したところです。
これらの機能による効果を、一定の面積の中でどのように発現させるか、その具体的な手法は、今後しっかりと検討する必要がありますが、例えば、親和性の高い機能を融合し、施設を複合化・多機能化することで、土地の効率的な活用を図るとともに、賑わいの創出や多様な主体の交流促進など、様々な波及効果を生み出すこともできると考えています。
今後も、想定する機能が目指す効果を最大限発揮できるよう、サウンディング型市場調査で得られた民間企業の意見や提案等も踏まえ、幅広い観点から、検討を深めてまいります。
私は、本県の新たな未来を見据えて、多様な人々が絶えることなく集い、創造的に交わるまちを創り、これを他の地域にも波及させることで、県全体の価値を高めていくという明確な目的の下、山口市と一層連携しながら、「未来のまち」モデルの構築に向けて、引き続き取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。
2.山口ウェルビーイングパーク構想について【部長答弁】
農業試験場跡地利用についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、山口ウェルビーイングパーク構想についてです。
お示しの山口大学の構想は、人と動物との触れ合いを通して、子どもから高齢者までの幅広い世代や、多様な価値観を持つ人々が広くつながることなどにより、人と動物が共に安全で幸福に生活できるウェルビーイングを実現する社会と環境を創ることを目指すものであると受け止めています。
そして、このウェルビーイングを実現する社会を創るという考え方は、農業試験場の跡地利用の検討においても、目指すまちの姿の一つとして想定しているように、県民誰もが豊かさと幸せを実感できる山口県の実現に向け、本県が取り組んでいる諸施策の大きな方向性と一致するものと考えています。
一方で、最初の御質問でもお答えしたとおり、一定の面積の中で、これからのまちづくりのモデルとなる「未来のまち」を構築するためには、山口大学の提案も含め、「未来のまち」に求める様々な機能の具体化について、総合的な観点から、その手法等をしっかりと見極めていく必要があります。
いずれにいたしましても、山口ウェルビーイングパーク構想については、今後、山口大学において、関係機関等の協力を得ながら、さらに検討が進められると伺っておりますので、県としても、その状況を踏まえつつ、大学とも連携を図りながら、対応を検討してまいりたいと考えております。
3.「未来のまち」づくりは山口市中心市街地と共にについて【部長答弁】
次に、「未来のまち」と山口市中心市街地についてです。
農業試験場跡地の利活用については、県と山口市で組織する利用検討協議会において、山口市が目指すまちづくりの方向性に留意しながら、検討を行っています。
こうした中、昨年11月に協議会で取りまとめた基本計画策定に向けての中間整理では、「未来のまち」モデルの方向性として、跡地が核となって周辺地域の価値を高め、山口市全体、さらに県央部へ好影響・好循環が波及することを目指すとしたところです。
すなわち、「未来のまち」としての跡地の利活用については、その効果が単に跡地内だけで完結するものとせず、周辺との調和やつながりを十分意識し、より広い地域に好ましい波及効果を生み出すことができる、そうした観点を重視しながら、具体化を図ることとしています。
現在、基本計画の素案の取りまとめを行っているところですが、この度、山口市の方から、既存の都市機能との新たな連動や相乗効果の発揮などの点を含め、もう少し確認や検討の時間をいただきたいとの申し出がありました。
県としては、お示しの中心市街地との関係も含め、山口市内の他の地域との連携については、まずは、市においてしっかりと検討していただきたいと考えており、その結果をどのような形で計画に反映させるかについては、改めて市と協議してまいります。
県といたしましては、今後とも、山口市と緊密に連携しながら、農業試験場跡地の「未来のまち」としての利活用について、検討を進めてまいります。
1. 跡地利用の目的意思について
平成31年1月に始まった山口県農業試験場跡地利用(以下、跡地利用)についての県と山口市の検討協議会は、基本構想の策定やサウンディング型市場調査等を経て、現在、基本計画の策定に向けて、その素案のとりまとめを図る段階、いわば最終段階にきているようであります。
ただ私は、この跡地利用についての検討協議の経緯及び関係資料をつぶさに見て、現時点で示されている内容は、跡地利用の目的意思が明確でない、跡地利用の焦点が絞り切れていないとの感を持ちました。
この跡地は、18.7haと広大な敷地であることに加え、山口市と防府市を結ぶルート上に在ることから、その跡地の利活用は山口市のみならず防府市も含めた県央部の広域的なまちづくり、ひいては山口県全体の将来像の中において位置づけられる必要があると考えます。 従って、この跡地利用の構想及び計画は、その目的意思をもっと明確にする必要があるのではないかと思う次第です。
山口市は、平成の時代に二つの大規模な土地利用プロジェクトに取り組みました。一つは、現在、山口情報芸術センタ―、NHK山口放送局、山口ケーブルビジョンが立地している中園町一帯の整備プロジェクトです。もう一つは、新山口駅及びその駅北一帯を整備開発するプロジェクトであります。
前者の中園町一帯には,元々県立体育館や市民球場そして県立山口中央高校がありましたが、情報化の進展という大きな時代の趨勢の中で情報文化都市づくりの拠点整備を図ろうとの山口市の強い意思があり、県の施策との整合性も図られ、県立体育館はその機能を維新公園のアリーナに移して解体、市民球場は宮島町にあった県設野球場とともに宮野に移転、山口中央高校は、一旦現地建て替えの計画が決定されていたのが変更されて宮島町への移転となりました。このため、宮島町にあった県設野球場は宮野移転となり、運転免許試験場は、当時の小郡駅南に移転し山口県総合交通センターとなり、その跡地が山口中央高校の敷地となりました。
山口情報芸術センターは、その建設を巡って市民間で大きな賛否の議論がありましたが、そのプロセスを経て建設され、今日では情報文化都市やまぐちを象徴する施設として意欲的な企画に取り組み発信して、内外の注目を集め続けています。山口中央高校の現地建て替えの計画変更がなければ、今日の中園町一帯の整備は実現していなかったと思われることから、一旦県の教育委員会が決定したことであっても、山口市が情報文化都市づくりという明確な土地利用の目的意思をもってその計画変更を働きかけて実現し、目的に沿った拠点整備を成し遂げていったことは評価されていいと思っています。
後者の、新山口駅及びその駅北一帯の整備開発は、新山口駅ターミナルパーク整備ということで事業化が図られました。その目的意思は明確で、交通の要衝であるといった立地特性を生かし、新山口駅を含めた交通結節点の機能を高める基盤整備を行うとの考え方のもと事業は推進されました。
新山口駅は、表口・新幹線口の駅前広場が県の玄関にふさわしい景観デザインに配慮した整備が行われ、交通結節点としての機能向上が図られました。また、通行機能だけではなく賑わい、交流、たまりなどの機能を魅力的に装置した南北自由通路が整備され、駅南北の移動の円滑化と一体感の創出に加えて、快適な都市空間が形成されています。さらに、駅北地区には、展示・コンベンション・イベントの3つの機能を併せ持つ多目的ホールとしてのKDDI維新ホールが建設され、地域高規格道路山口宇部道路の長谷IC と新山口駅を結ぶアクセス道路も完成しました。こうした、「交通結節点機能の強化」という明確な目的意思の下に構想・計画され推進されている「新山口駅ターミナルパーク整備」は、山口市及び山口県の振興において交通の要衝地が担う役割を的確に実現しています。
では、農業試験場跡地は、どういう目的意思のもと整備されようとしているのでしょうか。令和5年3月に策定された山口県農業試験場跡地利用基本構想(以下、基本構想)は、サブタイトルが~新しい「未来のまち」モデルの構築に向けて~となっていまして、18.7haの敷地に新しい「未来のまち」のカタチを具体的に実現し、それを核として県下の他市町に波及させ、本県における未来のまちづくりを推進していこうとの目的意思が読み取れます。基本構想は、「やまぐち未来のまち創造プロジェクト」の実施ということで、「みんなで紡ぐ 幸せのまちづくり」をコンセプトにして、1.生涯活躍のまちづくり、2.スマートシティの実現、3.脱炭素化の推進の3つの政策テーマに取り組み、多世代共生、地域交流、子ども、安らぎ・憩い、学・遊・楽、チャレンジ・しごとを構成要素としてゾーニングし、「未来のまち」モデルを実現しようとしています。
私は、そうした「未来のまち」のカタチの実現を目指そうとすること自体を否定する者ではありません。ただ、「未来のまち」のカタチの全体像を、モデルとしてこの跡地において実現しようとすることには、根本的な疑問を持つ者です。18.7haの敷地は、「未来のまち」の特定の役割や機能を担うところとしては充分な広さを有していると思われますが、様々な機能をトータルして「未来のまち」としてのカタチを実現して示すには充分でないというより全く狭く、そのためには幾数倍もの広さが必要と考えるからです。この跡地において、「未来のまち」のカタチをモデルとして示すという土地利用の方向、即ち目的意思は、この跡地の広さと適合していません。その結果、現時点で示されている跡地利用の内容は、「未来のまち」のアイデアが網羅的に語られていますが、まとまりを欠いています。私は、先ずそのことを指摘してお尋ねいたします。
山口県農業試験場の跡地利用は、ここに「未来のまち」モデルを構築するというのではなく、山口市の未来のまちづくり、更には山口県の未来の県づくりに向けてどういう役割を担うところとしてこの跡地を利活用するかという観点から具体的に問い、利活用の目的意思を明確にすべきであると考えます。よって、農業試験場跡地利用の計画策定に向けた取組は、改めて目的意思を明確にすることから再スタートすべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(知事答弁)
2. 山口ウェルビーイングパーク構想について
山口県農業試験場跡地の利活用について、山口大学から「山口ウェルビーイングパーク構想」という提案があり、谷澤学長から村岡知事や柳居議長さらに伊藤山口市長には直接説明も為されたように伺っております。私は、この提案書に目を通しまして、その構想は跡地利用を検討する上において有力な選択肢になり得るものと受けとめました。
この構想が、どういうものか知っていただくために提案書の冒頭に記されています構想概要を、先ず紹介いたします。
山口県庁、山口大学、商業施設に隣接した広大な敷地には、県民が集い、学び、交流できる施設を設置することが最適と思います。県民が心身共に健康で幸せを実感できる場所(ウェルビーイングパーク)を作ります。ここは、動物と人が触れあい、子どもから老人までが幸せを実感し、命を知ると共に感染症の脅威(動物との付き合い方)も学べる場所とします。
このパークは、大きく「学びゾーン(管理研修棟)」、「癒しゾーン(ふれあい動物園)」、「交流ゾーン(ドッグラン)」からなり、それぞれ異なる機能を有しますが、全体を通して多世代共生、多文化共生ゾーンとなります。また、一部の施設(学びゾーン)は、災害時のペットシェルターとして活用することで、犬や猫の避難場所とします。これにより、飼い主が安心して自分の災害救助を受ける(人の避難所へ行く)事ができます。
ウェルビーイングパークの運営は県または市が行いますが、山口大学ワンウェルフェアセンターが全面的にバックアップします。また、全体的な活用施策については、山口大学・山口県立大学・山口芸術大学の有識者から構成する「山口シンクタンク」と意見交換を行う事で、パークの利用促進を図ります。また、各大学の学生力を活用することで、学生の山口愛を育み、卒後の山口市定住化の一助になります。特に、山口大学のおもしろプロジェクトやサークル活動により、飼育動物の世話、イベントの実施、セミナーの実施が容易になります。
近年、学校での飼育動物が減少するなどの理由から、子どもが動物と触れあうことが難しくなってきています。山口市には動物ふれあいの場が身近になく、試験場跡地は保育園、幼稚園、小学校が隣接することから、飼育動物を活用した情操教育モデルケースともなります。
概要は、以上の通りです。人、動物、環境の健康は一つにつながっているというワンヘルスの考えをベースに、「身体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態の幸福」を意味するウェルビーイングを実現するところとして農業試験場跡地を整備するという方向は、目的意思も明確であり、働き方改革を進めている今日の我が国の時代の要請にも沿うものです。地元大学の知的資源の総力を結集して取り組むことになれば、全国の大学でも数少ない獣医学部があるという優位性もあり、県民のウェルビーイングを実現する拠点として世界水準の全国のモデルとなる「ウェルビーイングパーク」にしていくことも可能と思われます。
提案された構想の内容は、今後検討を重ねるプロセスにおいて必要に応じて修正すべきは修正し、ブラッシュアップして完成度を高めていけばいいと思いますが、この構想が目指す基本的な方向に、私は賛同し、その実現を期待しています。将来に向けた県づくりにつながる夢のある挑戦と思うからです。
そこでお尋ねです。県は、山口大学提案の「山口ウェルビーイングパーク構想」をどのように評価し、受けとめておられるのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
3. 「未来のまち」づくりは山口市中心市街地と共について
私は、農業試験場の跡地利用基本構想にある「未来のまち」は、山口市中心市街地(以下、中心市街地)と共に実現していくことを提案したいと思います。
跡地利用の基本構想は、繰り返しになりますが「未来のまち」のコンセプトを、「みんなで紡ぐ 幸せのまちづくり~誰もがつながり合い、共に活躍し、心豊かな生活が続いてゆくまち~」としていまして、「スマートシティの実現」を取り組む政策テーマの一つに位置付けています。
一方、中心市街地活性化基本計画は、第3期目が令和3年から9年を計画期間として現在進行中ですが、全体テーマを、「『まちを、楽しむ。』~日常を豊かにするまちづくり~」としていまして、そのことに向けて、デジタル技術を活用した先端的サービスの導入等により、中心市街地におけるスマートシティの取組を推進する旨表明しています。そして、「人々のつながりや関係性を基盤に、質の高いライフスタイルが実現できるまち』と「現在から未来に向けて、地域への愛着、誇り、まちとしての価値を紡いでいけるまち」の二つを中心市街地の将来像として示しています。
これら跡地利用基本構想と中心市街地活性化基本計画の二つを見比べて思いますのは、将来に向けて推進しようとするまちづくりの方向や、実現しようとするまちの姿は、その基本的なところにおいては共通しているということであります。
このことを更に、昨年11月に発表されました跡地利用の基本計画策定に向けての中間整理(以下、中間整理)で見ていきますと、「未来のまち」の姿 ① が、「多様な人々の共創で豊かな暮らしを支える」となっているのは、中心市街地活性化目標 ② が、「交流と創造による来街機会の創出」を掲げ、「多様な主体が集まり、新たな価値創造を生む場の提供に取り組む」としているのと通じています。
同「未来のまち」の姿 ② は、「周囲と呼応した魅力的な活動が連鎖する」ですが、パークロード、美術館、市民会館、市役所等がある亀山ゾーンや、春は桜、初夏はホタル、秋はアートフルな催しで賑わう一の坂川一帯、また大内文化を今日に伝えている大殿地区等が周囲にある中心市街地においてこそ、その姿は内容豊かに実現できます。
同「未来のまち」の姿 ③ は、「山口版サード・プレイスを具現化する」です。サード・プレイスとは、自宅や学校、職場でもない、居心地の良いカフェ等の第三の場所のことですが、それは、「居心地が良く歩きたくなるまち」を基本方針としてウォーカブルな街並みの形成による活性化に取り組んでいる中心市街地においてこそ実現すべきまちの姿です。
同「未来のまち」の姿 ④ は、「子どもとともに成長する」です。「子どもをはじめ、多世代が学ぶことができ、交流の契機ともなる場を創ることで、地域が子どもの成長を支える、子育て世代を惹きつける『まち』を目指します。」との説明があります。中心市街地には地域子育て支援拠点施設「てとてと」やほっとさろん中市「まちのえき」と言って高齢者や障がい者も集いやすい交流サロン等があり、既にそういった「未来のまち」の姿を実現しつつあります。
同「未来のまち」の姿 ⑤ は、「新たな技術を取り込み暮らしの価値を高める」で、「企業や行政、地域など、多様な主体が連携し、新たな技術やサービス等を柔軟に取り込んでいくことで、将来にわたり新たな価値を生み出していく『まち』を目指します」との説明があります。中心市街地は、JR山口駅と市役所・県庁を結ぶ軸線上にあり、中心商店街アーケードと百貨店等の商業施設を含め、銀行・放送局等の事務所、裁判所等の行政機関、病院等の医療施設、高等学校、保育園、子育て支援施設及び高齢者ディサービス施設等の教育・福祉施設など都市機能が集中しており、「未来のまち」の姿 ⑤ が目指す方向は、当然に中心市街地が目指すべきまちづくりの方向であります。
私は、先に農業試験場跡地は、「未来のまち」を実現するには狭く適合していないと指摘しましたが、76haの広さを区域とする中心市街地を含めての取組となれば、広さは十分であり、「未来のまち」を実現するにふさわしい要素を兼ね備えた理想的な適合地になると見ています。
そこでお尋ねです。 農業試験場跡地利用の基本計画策定に向けては、「Well-Beingにあふれる質の高い『まち』を目指す」との考えも示されていますが、私は、ワンヘルスの考えに基づいて県民のウェルビーイング実現の役割を担うところとして農業試験場の跡地利用は行い、その他の「未来のまち」の姿、機能、役割等は、山口市中心市街地においてその実現を図るというのが、現実に即した実効ある施策であると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
2.上関原発建設計画に関する事情の変化について【要望】
(ア)事情の変化はないとの認識について
3.水素先進県づくりの方向での上関原発建設計画の変更について【要望】
上関原発のことに関しまして、担当理事のほうから、上関原発に巡ることでの事情の変化はないという答弁があったところであります。
事情の変化があるかどうかの議論は水掛け論になりますので、それは避けますが、一つの行政のあり方、あるいは行政で取り組む職員の意識のあり方に関わることとして、参考までに申し上げたいと思います。
それはいわゆる思考の欠如、思考の停止ということが、真摯に現実に向き合って考えていくという姿勢が欠如しているんじゃないかという、そういうことの問題点であります。
20世紀を代表する政治学者の一人に、ハンナ・アーレントという女史がおられます。彼女はいわゆるユダヤ人の虐殺、いわゆる収容所のほうにユダヤ人を送る役割を果たしたアイヒマンが、戦後亡命しておったのが逮捕されて裁判にかけられたのを取材して、そして『エルサレムのアイヒマン』という書を出しました。そこにおいて彼女が示したのは、いわゆる何百万人ものユダヤ人を虐殺したその張本人のアイヒマンは悪逆無動の悪人であったということではなくて、平凡な一凡人で役人であったと。ただ、彼の場合には思考が欠如していた。そのために、それほどの大きな罪を犯すことになったと。いわゆるアイヒマンが、いやいや、ハンナ・アーレントが訴えたかったのは、いわゆる悪の凡庸さ、平凡な人間が真剣に考えることを欠如することによって犯す罪の大きさであります。
私は、上関の原発のことも含めまして、本県の職員の皆さん方は現実にしっかり向き合い、そして、県民の立場に立って真剣に考え、そして、なすべき役割を果たしていく。そういう県政の執行に取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
2.上関原発建設計画に関する事情の変化について【理事答弁】
(ア)事情の変化はないとの認識について
3.水素先進県づくりの方向での上関原発建設計画の変更について【理事答弁】
水素先進県づくりと上関原発建設計画の変更についてのご質問のうち、事情の変化はないとの認識と、水素先進県づくりの方向での計画の変更についてのお尋ねに、まとめてお答えします。
お示しの石炭ガス化複合発電などの次世代の高効率石炭火力発電は、国のエネルギー政策において、その役割や重要性が位置付けられているところです。
原子力については、国は、本年2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」において、地域の理解を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを具体化していくとしています。
そして、その他の開発・建設については、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していくとしています。
こうした中、上関原発については、国から、重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されており、国のエネルギー政策上の位置付けは、現在も変わっていないと認識しています。
また、地元上関町は町議会の議決を経て原発誘致を決定し、町長が中国電力に対し、原発誘致の申入れをされ、今日に至っており、原発立地によるまちづくりを進めたいという地元上関町の政策選択は、変わりありません。
このように、上関原発建設計画については、国のエネルギー政策上の位置付けや地元上関町の政策選択に変わりがないことから、県としては事情の変化がないと認識しているところであり、その変更を中国電力に対して勧告することは考えていません。