1. よりよい地域医療の実現について
(1)新たな地域医療構想について
現場の実情や実際上の要請を無視した一般論、理想論による改革ほど有害なものはない。私は、長年地方政治に携わってきてそう確信しています。そして、これから、国が進めようとしている新たな地域医療構想の策定に向けた取組方針は、まさしくそういうものではないかと危惧しています。以下、そう思う理由を申し上げます。
新たな地域医療構想(以下、新構想)は、その団塊世代の子ども即ち団塊ジュニア世代が全て65歳以上になり、全人口に占める65歳以上の高齢者の割合が35%に達すると予測される2040年を見据え効率的かつ効果的な医療提供体制を構築しようとするものです。因みに、現在の地域医療構想は、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年を目途に策定されたものです。
新構想は、医療機関の機能を、急性期拠点機能、高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、専門等機能に分類し、各医療機関が2040年に向けて担う医療機関機能を、2028年度までに決定するとしています。この決定は、都道府県が医療構想策定の主体としての役割が求められていることから、都道府県が運営する地域医療構想調整会議の協議を通してなされることになっています。
この地域医療構想調整会議(以下、調整会議)は、県内の各保健医療圏ごとに設置されるものと思われますが、その調整会議で、果たして各医療圏内の医療機関の分類を決めることが出来るのか疑問です。それは特に、急性期拠点機能は、人口20万人から30万人の単位で一つ確保することを基本とする旨の考えが、「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」(今年の3月10日に開催された『地域医療構想及び医療計画等に関する検討会』で了承)に示されているからです。
山口・防府保健医療圏の人口は、令和7年国勢調査速報値によれば山口市が190438人で防府市が109723人ですので合計300171人で、わずかに30万人を超えていますが、2040年に向けては、じきに30万人を切って20万人から30万人の間に落ち着くことは明らかです。そうであれば、この保健医療圏では急性期拠点機能を受け持つ医療機関は一つで、萩・美祢・津和野等他地域からの流入が多いということで特例的に二つ認められたとしても、防府市の県医療センター、山口市の日赤病院、済生会病院、第一病院と、現在急性期病院が4つある中、そのうちの二つを急性期拠点機能を有する病院にするというのは、調整会議における合意形成が極めて困難であることが予想されます。それは、フルセットの急性期拠点機能を、県医療センターが有することには大方の異論はないにしても、もう一つの急性期拠点機能を有する医療機関をどこにするかは、日赤病院、済生会病院、第一病院のいずれもが、現在同格の急性期病院として医療機能を担っていて、どの病院も出来れば急性期拠点機能を有する医療機関として医療機能の充実を図りたいと考えるのは当然と思われることから、その中の一つを急性期拠点機能の病院にするというのは、合意形成が極めて困難と予想する次第です。
ただ、この問題は、急性期拠点機能を三つの病院に分化して連携するということが可能であれば解決します。具体的には、急性期の医療機能は、脳外科関係、循環器関係、消化器関係、産婦人科関係、整形外科関係あるいはガン診療関係等に分けることができますので、三病院が、それぞれ得意とする急性期 医療機能関係において急性期拠点機能を分担するということで、急性期拠点機能の分化を行うことが認められるのであれば、調整会議での合意形成は充分可能と思う次第です。
以上、山口・防府保健医療圏で予想されることをシュミレートしましたが、問われるのは、「新たな地域医療構想」は、急性期拠点機能の分化を認めるのかということです。これまでの地域医療構想におけるキーコンセプトは、医療機能の分化と連携でした。このことは、本県が平成28年に策定した「山口県地域医療構想」が、「地域のおける医療提供体制の将来のあるべき姿を示し、地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携の推進を図る。」としていることからも明らかです。ところが、「新たな地域医療構想」の実現に向けて強調されているのは、連携・再編・集約化であって分化が抜けていまして、集約化に力を入れようとしている感があります。私が、「新たな地域医療構想」の実現に向けて国が示している方針を、現場の実情や実際的な要請を無視した一般論、理想論ではないかと見て危惧する理由は、そういう点があるからです。
そこでお尋ねです。都道府県は、地域医療構想の策定や推進の主体としての役割を求められています。ついては、本県における「新たな地域医療構想」の策定に向けて、県はどう取り組んでいくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
(2)医師確保の現状と課題について
次に、「新たな地域医療構想」においては、急性期拠点機能を担当する医療機関には、フルセットで急性期医療機能を集約する方向で考えられているように思われますが、その急性期拠点機能を複数の医療機関に分散して連携する、即ち急性期拠点機能の分化と連携も認めるべきと考えます。ついては、地方の医療現場の実情を踏まえた声として、そのことを国に対して求めるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(知事答弁)