2. 農業を守る施策の推進について
(1)生産基盤の整備について
「国の基(もとい)」としての農業は、農業者だけではなく非農業者も含めて国民全体で守っていく、そういう時代にわが国はなってきているのではないか、そういう認識のもと、本県の農業を守っていくために必要と思われる施策の推進についてお尋ねいたします。
その1は、農業の生産基盤の整備についてです。
令和6年、「食料安全保障の確保」を、基本理念に明記した「食料・農業・農村基本法」の改正法が成立し、翌令和7年にその改正法に基づく「食料・農業・農村基本計画(以下、基本計画)」が、閣議決定されました。その基本計画は、その冒頭において、農業者の減少・高齢化が著しく進展していて、基幹的農業従事者は、2000年の240万人から2024年には111万人と半減し、その年齢構成のピークは70歳以上の層となっていること。農地は、わが国人口1億2千万人分の国内需要を賄うに必要な面積の三分の一程度しかない状況であることを指摘しています。そして、「農地、人や生産資材等の資源を確保し、それらと、農業生産基盤の整備・保全、先端的技術の開発・普及とが効率的に組み合わされた農業構造へ転換し、土地生産性及び労働生産性を向上させることにより、食料自給力を確保する。」旨の基本的な方針を示し、スマート農業に対応した50a以上若しくは1ha以上の大区画農地の整備を推進しようとしています。ただ、「食料・農業・農村基本計画」や、それを踏まえて策定された「土地改良長期計画」を見ましても、国全体としての定量的な農業生産基盤確立の計画目標や具体的デザインは明らかでありません。
国は、令和5年に施行した改正農業経営基盤強化促進法により、市町村に、農業者・農業委員会・農地バンク・JA・土地改良区等の関係者による話し合いを踏まえて地域計画を策定することを求めていまして、地域の農業の将来ビジョンと10年後の農地利用の明確化を通じて①将来にわたる適正な農地利用の確保、②農地の集約化の推進による生産性の向上を図ることを促しています。本県では、和木町を除く18市町が、その地域計画を策定しています。
こうしたことから伺えるのは、国は農政に関しては進むべき方向を示して、具体的、個別的取り組みは都道府県や市町村に委ねるという姿勢なのではないかということです。
そこで農業生産基盤の整備ということで2点お尋ねいたします。
第1点は、区画整理事業(圃場整備事業)についてです。
山口県の田畑の整備状況を1区画の面積から見ますと、30a以上が52.9%、50a以上が6.7%、1ha以上が1.7%です。また、本県の耕地の約67%は中山間地域にあります。そこで、スマート農業に対応した区画整理事業を推進するにしても、そうした本県の特性に適合したものでなければなりません。それから、本県の区画整理事業で圃場整備された耕地面積の推移ですが、昭和50年は650haで0.9%であったのが、平成元年は8446haで13.4%となり、平成20年は22381haで44.1%、令和6年が23769haで55.4%となっています。やまぐち農林水産業振興計画の最終年度である令和8年度達成目標が23900haですので、この目標は、ほぼ達成されています。
そこで、私は新たに20年後を見通して本県の区画整理事業の計画目標を、県内の市町の地域計画との整合性を図りながら設定して取り組みを開始する必要があると考えます。区画整理事業は、関係する農業者の発意に始まり完成に至るまでには、通常15年以上要すると思われるからです。
ついては、県は今後、本県の区画整理事業に、どう取り組んでいくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。
生産基盤の整備に関しての2点目のお尋ねは、圃場の水利施設の補修・更新、保全管理についてです。
昨年9月に策定された土地改良長期計画では、農業生産基盤の脆弱化ということで、基幹的な農業水利施設については、標準耐用年数を超過した基幹的施設数の割合は、2007年から2023年にかけて42%から58%に増加している。こうした、老朽化が進行しているとみられる基幹的な農業水利施設については、機能診断、健全度評価、劣化予測等を行い、あらかじめ、補修・更新の工法や時期を定め、計画的な対策を行っていくことがより一層重要と指摘しています。因みに、水路の標準耐用年数は40年のようですが、本県でも圃場整備されて40年以上の水田もあり、そういう水田でコメ作りをしておられる農業者からは、水路があちこち痛んでいて対応に苦慮する。そうした状況を県や市の農業担当者は、調査点検して把握し、適切に補修・更新する措置を計画的に行ってほしい旨の声を聞きます。こうした声に応えることも、農業の生産基盤を保全していく上において大事なことと思います。
ついては、県は、圃場整備されてから年数を経て機能低下や劣化が進み、手当が必要と見られる水路等の農業水利施設の補修・更新、保全管理に、どう取り組んでいくお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
(2)農地の集積について
次に、農地の集積についてです。農業を守っていくためには、農地を守り、農地の生産性及び農業の労働生産性の向上を図っていかなければなりません。このために、農業の生産基盤を整備していくことと同様に重要なのが、認定農業者や集落営農法人等の担い手への農地集積であります。
このことのために、国は平成26年に農地バンク(農地中間管理機構)を創設し、担い手への農地集積を促進してきました。その結果、国全体としては農地バンクスタート時50.3%であった担い手への農地集積率は年々上昇を続け、令和6年は61.5%になっております。これを、都道府県別の担い手への農地集積率で見ますと、山口県は、平成26年は24.6%であったのが令和6年は34.4%となっており10%近く上昇しておりますが、国全体の集積率と比べますと27.1%と3割近く低い集積率となっています。
ついては、農地の集積に関し3点お伺いいたします。
第1点は、現状分析についてです。本県における担い手への農地集積率が、全国の集積率に比して3割近く低い現状を、どう分析しておられるのかお伺いいたします。
第2点は、取組方針についてです。担い手への農地集積率を高めていくことは、本県農業の将来に向けて重要な課題であると考えますが、このことへの県としての今後の取組方針をお伺いいたします。
第3点は、農地集積率の目標設定についてです。国は、令和12年(2030年)に向けて、担い手への農地集積率を全国で7割にまでもっていくことを重要目標にしています。ついては、本県でも同様に令和12年に向けて担い手への農地集積率の目標を設定して取り組みを進めるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
(3)多様な農業の労働力補完について
農業は、種まき前の土づくりから収穫後の片づけまで、様々な作業が必要です。また、植え付けした後も収穫まで、病害虫の対策や施設・設備の維持管理、栽培地周辺の管理なども不可欠です。
以前は、主に家族で農業を営んでいましたが後継世代が家を離れることなどが多くなり、今は、地域で農業経営を行い、農地を守る形態に変化してきました。しかし、地域全体の高齢化が進む中、地域の方たちだけで農業を行うことも難しくなってきています。特に、中山間地域において、そうした傾向が顕著です。
今日、スマート農業の導入などにより、昔に比べて作業時間・労力は短縮されて来ていますが、農業には機械に頼れない様々な作業もあり、そのための労働力確保が、地域として農業を守っていく上においても大きな課題となってきています。
思うに、こうした課題解決のためには、地域の農業者以外の人たちの力も含めて、農業を継続し、農地を守っていく必要があるのではないかと考えます。
そこでお尋ねです。農業者の高齢化が進む中、本県農業を守っていくため、多様な労働力の確保・補完が必要と考えますが、県としてどのように取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)
(4)農業経営への支援について
最後に、農業経営への支援についてお伺いいたします。
農業は、技術プラス経営である。これは、ある意味農業に牧歌的なイメージを持っていた私が、県の農業大学校の社会人講座に1年近く通って学んだことです。
個人の農家であれ、法人の農業経営体であれ、今日、農業を営んでいくには経営を無視することはできず、農業を続けていくためにはそのために必要な利益が確保される農業経営を求められます。
そのことを当然の前提にしたうえで、それでも経営努力だけでは乗り切ることが出来ない不可抗力的な天候の異常や経済環境の変動、更には農業に関する政策や制度の変更などにより農業者の農業経営に、大きな打撃が生じた場合、農業者が農業継続の意欲を失うことがないよう、適宜適切な支援を行っていくことが農政には求められます。
最近では、中東情勢等による燃油・資材価格高騰等が、農業経営を圧迫しているのではないかと懸念されます。また、本県で、加工米の生産に取り組んでいる農業法人が、例年、コメ新市場開拓促進等事業の適用により反当たり3万円の交付金補助があったのが、今年はその事業採択が認められず、水田活用の直接支払い交付金による反当り2万円の補助となったため、反当り1万円の交付金減額となり、法人としては1000万円ほどの収入減になるところもあり、経営支援を求める訴えがあることをJA関係者から聞きました。
そこでお尋ねです。農業に係る環境や政策が変動していく中にあって、本県農業の担い手が、個人経営においても法人経営においても農業を継続していくためには、経営規模に応じた農業経営への支援が、必要に応じて適切に行われることが望まれますが、ご所見をお伺いいたします。
→(部長答弁)