令和7年6月定例県議会 食の安全への取り組みについて(1)

 1. 有機農業の推進について

食の安全を確保し、県民の健康な体づくりに寄与し、農業の持続可能性を増進していくために、有機農業を山口県政の重要な政策の柱の一つに位置付け、その推進を図るべきだと考えます。

これまで農業は、時代の要請に応じて主要課題が変遷してきています。戦後は、食糧の増産が求められ、農薬や化学肥料を活用した近代農法が推進されました。それが、1970年代になると農薬事故や残留農薬が生態系、環境に及ぼす深刻な影響が問題となり、安全重視の農業が追及されるようになりました。安全重視の農業は、一つは有機農業へとなり、もう一つは慣行農業における農薬使用を、安全が確保される範囲内に低減化していく方向へとなりました。国の農政は後者の慣行農業を推進しまして、それが我が国農業の主流となり現在に至っていることはご案内の通りです。

そして地球温暖化への対応が世界的課題になっている今日、環境負荷を低減し地域内資源循環を促す持続可能な農業の確立が求められています。そういう時代の要請に応える農業の目指すべき姿として、農林水産省は令和3年に、「みどりの食料システム戦略」を策定し、2050年までに我が国の耕地面積の25%を、有機農業の取組面積にすることを提示しました。

しかし、「みどりの食料システム戦略」が目指す姿を実現する具体的な道筋は、何等見えていません。本県の場合、現在の耕地面積は4万2900haですのでその25%を有機農業の耕地にするとすればその面積は6330haとなります。しかし、本県の現在の有機農業取組面積は135haで、これを2030年度までに200haにするとの目標が設定されています。この2030年度の目標が達成されたとしても、その後2050年までに有機農業の耕地面積を6330haまで30倍強も拡大することは全く見通せず、夢のまた夢みたいな話です。

しかし、「みどりの食料システム戦略」が目指す農業の姿は、これからの農業が進むべき方向であることは間違いなく、そのことを夢物語に終わらせてはなりません。ただ、慣行農業がほとんどであった我が国の農業において、これから有機農業の割合を高めていくためには、政治の強力なリーダーシップが必要と思われます。先に、有機農業を山口県政の重要な政策の柱の一つに位置付け、その推進を図るべきと申し上げましたのは、そういう意味からです。

有機農業を、重点政策に位置付けて推進している県のひとつに群馬県があります。令和7年度の群馬県当初予算では、重点施策の三番目の柱が、「持続可能な成長の促進」であり、サキューラーエコノミー(肥料・飼料の地域内循環)ということで有機農業の推進が、1億7618万円措置されています。また、令和7年度の主要事業一覧を見ますと、農業を所管する農政部関係の筆頭事業が、有機農業の推進です。こうしたことは、山本一太(いちた)群馬県知事が、有機農業の推進に力を入れているからだと思われます。

(1)有機農業推進の政策への位置づけについて

本県においては、村岡知事が有機農業の推進においてリーダーシップを発揮され、これからの農業の地域モデルを実現していかれることを期待します。
そこでお尋ねです。先ず、有機農業の推進を、山口県政の重要政策に位置付け、その実現を図っていくべきだと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

→(答弁

(2) 農業普及指導員の育成確保について

次に、有機農業を実際に指導推進する県庁人材の育成が必要です。現在、県庁職員で農業普及指導員として現場指導を行っている者は107名ですが、有機農業の指導推進を担当する農業普及指導員の計画的な育成確保に取り組むべきだと考えます。ついては、このことにつきご所見をお伺いいたします。

(3) 農業大学校における有機農業の講座について

次に、本県の農業大学校の教育において、先ずは有機農業の講座を設けることから始めて、順次その充実を図っていくべきだと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

→(答弁