令和7年6月定例県議会 専修学校への支援について

専修学校は、昭和51年に新しい学校制度として創設されたもので、学校教育法の中で専修学校は、「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」ことを目的とする学校であるとされています。専修学校の設置には都道府県知事の認可が必要で、授業時数・教員数や施設・設備などが一定の基準を満たしていることが求められます。

本県では現在、看護・福祉・理美容・情報ビジネス等多方面に渡る私立の専修学校が33校あり3600名ほどの生徒がいまして、その96%は10代、20代の若者です。注目すべきは本県の場合、令和6年度にこの専修学校を卒業して就職した人たちの73%は県内に就職しているということです。同年度本県の大学卒業者の県内就職率は27%ですので、専修学校が、本県の産業と県民の生活を支える人材を育成しつつ、若者定着にも貢献しているということは、大いに評価されていいのではないでしょうか。

そうした専修学校への公的な支援がどうなっているかに関心を向けてわかってきたことは、運営費補助がなきに等しいという現状です。令和7年度の県予算ではどう措置されているかを見ますと、専門課程を設置する専修学校を専門学校と呼び、高等学校等卒業者を対象としていますが、この学校の場合、運営費補助は、生徒1人当たり年間792円です。それから、高等課程を設置する専修学校を高等専修学校と呼び、中学校卒業者を対象としていますが、この学校への運営費補助は、生徒1人当たり年間462円です。この高等専修学校であっても、卒業者に大学入学資格が付与される学校であれば、生徒1人当たり年間98000円の補助がありますが、本県でそれに該当する専修学校は、2校しかありません。大学入学資格の付与あるなしでの公的補助の格差が大きいことに愕然とします。

さらに、専修学校で学ぶ生徒を年代別に見ますと10代が最も多いので、同世代の高校生が通う私立学校に対する運営費補助と比べますと、本県の場合令和7年度は私立高校生徒1人当たりの運営費補助は、366500円でありますので、専修学校の生徒1人当たり年間462円若しくは792円の運営費補助は、先に申しましたように無きに等しいと言っても過言でありません。

専修学校で学ぶ生徒への修学支援事業は、授業料等の減免など、世帯の教育費負担の軽減が図られており、そのことは評価されていいとしても、学校への運営費補助が、大学入学資格付与のない多くの専修学校においてはほとんどなきに等しい現状は、先ほど申しましたように専修学校が県政において果たしている役割に鑑み、改められるべきだと考えます。

ご案内のように、私立の高校においては、令和8年度からは生徒の授業料は無償化される方向で負担軽減が図られる見通しであります。また、私立高校は学校経営に対して手厚い運営費補助があり、それは当然継続されることから、いわば、生徒の負担軽減と学校経営への運営費補助の両面から私立の高校は支えられ、学校存続が図られていると言えます。このことに関しては、現在私立高校の経営に携わっているものとして深く感謝しています。

ただ思いますことは、専修学校に対しても、生徒の負担軽減だけではなく、学校経営への運営費補助も含めた両面からの支援があっていいのではないかということであります。

今後、経営上行き詰まって閉校になる専修学校が生じて、そこで学ぶはずの若者たちが県外に流れるような事態は避けなければなりません。むしろ、専修学校への運営費補助を充実することにより、本県の専修学校のレベルアップを図り、県外の若者を呼び込むことに繋げていくことを期待したいと思います。

ついては、本県の専修学校への支援は、運営費補助の面においても充実強化が図られるべきだと考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

→(答弁