やまぐち食の安心・安全研究センター訪問記

「次世代のために、食の安全を!」

次世代のために食の安全というテーマに関心を向けていまして、朝田の流通センター内にある一般社団法人やまぐち食の安心・安全研究センターを訪ね、同センターの片山事務局長から説明を受けましたので、その概要をご報告いたします。

 

やまぐち食の安心・安全研究センターとは

食の安全に関し、貴センターがやっておられることはどういうことでしょうか。

片山事務局長

本センターは、コープやまぐちとJAグループ山口が共同して2005年に設立されました。JA農産物やコープ食品の残留農薬検査・微生物検査を、出荷前と流通の2つの段階で行っています。2024年度の実績では、微生物検査の検体数は1805、残留農薬検査の検体数は2331の検査を実施しました。こうしたことを通してJA出荷の農産物、コープ流通の食品の安全を担保し、消費者信頼の確保を図っています。

県内の食の安全は確保されているか

貴センターの検査対象は、JA農産物とコープ食品ですが、その他県内を流通する食品全般の安全を確保するための検査として、県の保健所が行う収去検査が実施されています。このことにより県内の食の安全は確保されていると見ていいでしょうか。

片山事務局長

基本的に県内流通の食品の安全性は確保されていると見ていいと思います。ただ、食品は工業製品と異なり全量を検査するわけにはいかないので、検査による食の安全の確保には限界があります。従って、食品の生産、流通のプロセス各段階において食の安全に関するリスクを生じさせない仕組みづくりが重要と考えています。

 

県の保健所による検査が減っているが大丈夫か

県の保健所による収去検査の年間検体数は、平成の時代は3000以上だったのが、令和になり現在は1000程と3分の1に減っています。この検体数で食の安全が確保されるのだろうかと不安になりますが、大丈夫なのでしょうか。

片山事務局長

県の保健所が、収去検査の検体数を減らして、それに要するマンパワーをHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の周知徹底という方向に向けたとすれば妥当な判断と思います。先に述べましたように、検査による食の安全の確保には限界があります。食品の生産、流通にかかわる事業者が、食品の安全確保に向けた世界標準であるHACCPに沿った衛生管理を徹底するように図り、検査に頼らずとも食品の安全が担保されるようにしていくことが望ましいと考えています。

HACCPとは

HACCP(ハサップ)とは、Hazard(危害)Analysis(分析)Critical(重要)Control(管理・制御)Point(点)の頭文字をとった言葉で、食品の安全を確保するための衛生管理手法を示します。安全を阻害する要因を特定し、原材料の入荷から製造・出荷へと続く各工程の中で、危害の防止につながるポイントを継続的に管理して、食品の安全を確保する方法です。わが国では、平成30年6月に食品衛生法が改正され、令和3年6月から、原則すべての食品等事業者は、「HACCPに沿った衛生管理」が義務付けられました。

2025年7月10日