平成22年11月定例県議会 (4)情報通信基盤の整備について

(4)情報通信基盤の整備について

情報通信基盤の整備についてであります。
四国には、小さいけれど、きらりと光る村や町があります。その一つが高知県の馬路村であります。高知県東部の千メートル級の山々に囲まれた山間に位置する馬路村は、総人口はことしの十月末現在で千四十六人の小村ですが、ゆずジュースなどゆず加工品のブランド化に成功し、インターネットを使っての通信販売も行っておりまして、年間の売り上げは三十億円を突破しております。また、森林面積が村の96%を占める全国屈指の森の村で林業も盛んであります。林業は、木を切り出し販売するだけではなく、木のバッグなどの加工品の製造・販売に株式会社を設立して取り組んでおり、ハイクオリティー・デザインに仕立て上げられた商品は、東京、パリ、ミラノ、ニューヨークなど、世界のファッションの先端を行く都市に出展されて人気を呼んでいます。
徳島県の中部に位置する上勝町も、人口千七百七十五人の小さな町ですが、葉っぱビジネスで全国的に著名な町になりました。葉っぱビジネスを支えているのは、パソコンが使えるお年寄りですが、光ファイバー網のカバー率が100%で、家庭の86%が加入しているという上勝町の情報通信基盤が、このビジネスを可能にしていると言えます。
馬路村の場合は、役場や農協が、光ファイバーに接続していまして、インターネットを通して全世界に向け情報発信をし、馬路村ブランド品の売り込みを図っています。
本県の情報通信基盤の整備は、ブロードバンドの世帯カバー率は、現時点でほぼ100%に達しておりますが、光ファイバーによる超高速ブロードバンドの世帯カバー率は、平成二十一年三月末時点で79.3%で全国平均の90.1%より10%強低く、都道府県順位も三十二位であります。
IT推進戦略において情報通信基盤の整備は、国の政策としては民間事業者を競わせることによって推進してきたことから、投資効率のよくない中山間地域や離島が、どうしても取り残されがちになります。しかし、上勝町や馬路村の例からもわかるように、こういうところこそ本当は活性化のツールとして、超高速ブロードバンドの情報通信基盤の整備が必要なのでありまして、そのための公的な支援策が求められます。
そこでお尋ねであります。本県も情報通信基盤の整備は、次のステップとして光ファイバーによる超高速ブロードバンド通信が中山間地、僻地、離島においても可能になるよう、そのカバー率100%に向けて施策の推進を図るべきと考えます。ついては次年度予算編成において、このことにどう取り組もうとしているのかお伺いいたします。
以上で、一回目の質問終わります。
【回答】◎地域振興部長(山部哲郎君)
情報通信基盤の整備についてお答えをいたします。
県では、高速・大容量の光ファイバー網であるやまぐち情報スーパーネットワーク、いわゆるYSNを基幹網として、民間通信事業者による情報通信網の整備を促進し、ブロードバンド・ゼロ地域の解消に取り組んできたところであります。
こうした中、中山間地域では、採算性の面から、民間通信事業者による整備が進まなかったことから、YSNを開放して、市町が実施する地域イントラネットや、CATVなどの支線網の整備を促進するとともに、離島におきましては、YSNと無線技術を活用した環境整備も進めてきたところです。
この結果、本県のブロードバンド世帯カバー率は、ほぼ100%に達したところであります。このうち、お示しの、より快適に情報のやりとりができる光ファイバー網による超高速ブロードバンドの世帯カバー率につきましては、平成二十一年三月時点で79.3%となっておりますが、その後もCATVのエリア拡張などにより、着実に伸びております。
全国的にも、ブロードバンド・ゼロ地域の解消に見込みが立ったことから、国においては、二○一五年ごろを目途に、すべての世帯で超高速ブロードバンドサービスの利用を実現する構想を推進するため、現在、公的支援のあり方も含め、検討されているところであります。
今後、国における検討状況を注視していく必要もあることから、県としては当面、超高速ブロードバンドの整備に向けた新たな支援措置は考えておりませんが、中山間地域等において、情報通信サービスを活用した地域づくりの取り組みが進むよう、引き続きYSNを活用して、市町や民間通信事業者による情報通信基盤の整備を促進してまいりたいと考えております。

2010年11月30日