平成22年6月定例県議会 (1)地方分権の制度改革について

(1)地方分権の制度改革について

山口から日本をよくする、これが山口県政に携わる者の気概でなければならないと考えます。
県議に復帰して三年余、大小さまざまな諸課題に取り組むことを通して、県議の役割の大事さを、日々痛感いたしております。
強固な中央集権国家である我が国では、私たちの地域と暮らしにかかわることも、その根幹部分は、国が政策形成をいたします。
しかし、その政策を起案する官僚も、立法措置をする国会議員も、日ごろは地方にいません。そこで、地方の現場にあって、私たちの地域と暮らしにかかわる国の政策を現場検証することが、県政に携わる者の大事な役割であります。
そして、実情に合わないものは改めるように国に働きかけ、国ができないことは、県や市町が補完するようにして、地域と人々の暮らしがよくなるようにしていくことが、県政を担当する知事、また県議として県政に参画する県議の責務であると考えております。
今日、明治維新、戦後改革に続く第三の改革が進行していると言われています。明治維新は、薩長雄藩を中心とした地方からの変革でありました。そしてまた、今日進行している変革も、地方からの変革のうねりに基づくものであってこそ本物であると言えると思います。
それは、しっかり地方に根差し、地域と人々の暮らしをよくしていく、新しい国の仕組みをつくるものでなければならないからです。そういう意味で、地方の現場にあって政治に携わっている私たちこそ、現在進行している日本変革の担い手たらねばならないのではないでしょうか。
もちろん、本県にあってその先頭に立つべきは二井知事であります。
平成八年は、夏の知事選に熱く燃えた年でありました。当時を振り返りますと、松陰先生が言われる草莽崛起とでも言うべき盛り上がりが、二井知事誕生を実現させたように思われます。そこには、日本全国のモデルとなる山口県をつくり上げてくれるであろうとの期待がありました。
当然二井知事は、そういう思いで山口県政を担当してこられたと思いますが、その二井県政も、はや四期目後半、総仕上げの時期を迎えようとしております。私は、この二井県政の総仕上げが、山口から日本をよくする県政の総仕上げになることを望むものであります。
そこで、二井知事にお伺いいたします。
今日進行している第三の変革の方向は、言うまでもなく中央集権国家から分権国家への転換であります。この変革が、地域と人々の暮らしをよくする、地に着いた真に実りある変革となるためには、二井知事のように、国と地方の双方で地方自治行政に携わり、さらに県知事として多年重責を担ってこられた方の考えが生かされ、そういう方が主導的役割を果たすべきだと思います。
よって、二井知事には、我が国の分権国家への変革も視野に入れて、県政の総仕上げを進めてほしいと期待するものであります。
ついては、新しい国のかたちとしての分権国家のあるべき姿をどう考え、県政の総仕上げを行おうとしておられるのか、御所見をお伺いいたします。
【回答】◎知事(二井関成君)
私からは、新しい国のかたちとしての分権国家のあるべき姿をどう考え、県政の総仕上げを行おうとしているのかというお尋ねにつきまして、少し長くなりますけれども、お答えをさせていただきます。
私が知事に就任をいたしました平成八年は、第一次地方分権改革がスタートし、それ以降、順次、地方分権推進法や地方分権一括法が施行されるなど、地方分権の取り組みが本格的に始まってまいりました。
そのような中、私は、二十一世紀には、必ず地方分権型社会が到来すると考えまして、大きく二つの視点から県政を推進をしてまいりました。
一つは、県民の意識改革であります。
御承知のとおり、地方分権とは、地方のことは地方みずからが責任を持ってやるということでありますから、単に行政だけではなく、そこに住んでいる住民の皆さんが、自分でできることは自分ですると、依存から自立に向けて大きく意識を変えていくことが重要になってまいります。
私は、そのような視点に立って、山口きらら博や国民文化祭等を活用しながら、いわゆる県民力を高める努力を重ねてまいりました。
したがいまして、私は県民の意識改革の面からは、来年の「おいでませ!山口国体・山口大会」を、県民力をジャンプさせる総仕上げとして位置づけております。そして、その県民力を、二○一五年の世界スカウトジャンボリーへとつなげていきたいと考えているところであります。
もう一つの視点は、制度改革であります。
私は、地方分権の制度改革は、近接と補完の原理に基づいて行うべきであると考えております。すなわち政治行政の果たすべき責務は、まず住民に最も身近な市町村が優先して行い、市町村ではできない広域的な分野は都道府県で行い、そしてどうしても国でなければできない分野のみ国が行うということであります。
したがいまして、まずは市町村が地方分権の受け皿になれる力をつけること、すなわち市町村の行財政基盤を強化し、政策能力、行政能力を高めていくことが必要であると考えまして、そのための最も有効な手段である市町村合併に鋭意取り組んできたところであります。
今後、市や町との関係での総仕上げとしては、住民サービスの向上につなげていけるよう、県の権限をできる限り市や町に移譲していきたいと考えております。
また、私は、国の役割は近接と補完の原理に基づき、外交・防衛や社会保障、経済対策、国家的プロジェクトなどに限定し、その他は地方に権限と財源を大幅に移譲し、すべて地方に任せるべきであると考えております。
私は、それが新政権でいう地域主権国家であると理解をいたしております。したがいまして、地域主権国家が早期に実現できるように、任期いっぱい全力投球してまいりたいと考えております。
以上、二つの視点から総仕上げの方向を申し上げましたが、当然のことながら、県みずからも、来るべき分権型社会における県づくりの確かな基盤をつくり上げていくことが重要であります。
したがいまして、私はデザイン21の第六次実行計画として策定した加速化プランに沿い、総仕上げに向けた限られた期間の中、これまで以上に選択と集中の視点に立ち、真になすべきことを見きわめた上で、所要財源の見通しをつけ、可能な限りの実現に向けて取り組んでいく考えであります。こうした観点から、「財源確保対策本部」に必要な作業を急ぐよう、既に指示をいたしております。
また、真の分権型社会におきましても、次代に負担を先送りすることなく、しっかりとした行財政基盤を確立していくために、行政改革、財政改革、公社改革について確実に進めてまいります。
私は、こうした取り組みを通じて、分権国家にふさわしい山口県の確固たる基盤をつくり上げ、その成果を次なる世代に確実に引き継いでいけるように、「住み良さ日本一の元気県づくり」を進め、デザイン21の総仕上げをなし遂げられるように、全力で取り組んでまいります。
そのほかの御質問につきましては、関係参与員よりお答えいたします。

2010年6月30日