平成27年2月定例県議会【地域医療について】(2)医療圏について

【質問】(2)医療圏について

次に、医療圏についてということで、二次保健医療圏という意味においてでありますが、山口・防府医療圏についてお伺いいたします。山口・防府医療圏は、以前は山口医療圏と防府医療圏と別々でありました。それが、平成18年に一つの医療圏とされました。その背景には、平成の大合併時、山口市と防府市が、近隣市町と共に、県央30万中核都市の実現を目指して合併に取り組んだ経緯があると思われます。この合併への取り組みは、合併合意の最終確認時に防府市の反対表明があり、防府市を除く1市4町の合併となり、30万中核都市の実現には至りませんでした。
山口と防府の医療圏を一つにしたのは、実現しなかった山口と防府の合併を、医療圏において実現するものですが、現に合併が実現していないにもかかわらず、二つの市の都市規模にそう大きな差がなく、患者の動態においても二つの医療圏に分かれていたものを一つにしたことは、いろいろな面で不都合を生じているように思われます。
特に、山口医療圏からして一番問題と思われるのは、二つの医療圏を無理やり一つにした上で、一つの医療圏に一つあればいいという高次医療機能は、常に防府医療圏にある県立総合医療センターにという方向で整備が図られようとすることであります。先に紹介いたしましたように、これからは医療機能を高度急性期機能、急性期機能、回復期機能、慢性期機能の四つに分けて医療提供体制を二次医療圏ごとに整備していく協議が進められることになると思われます。その際問題となるのは、高度急性期の医療を、現在ある急性期病院のうち何処が担うのかと云うことであります。おそらく国は、高度急性期の医療を行う病院は、一医療圏に一つと云う方針を示し、それを受けて県は、山口・防府医療圏においては防府市にある県立総合医療センターを、それにしようと図るであろうことが予想されます。
こうしたことは、二つの点で問題があると思います。一つは、山口市の地域医療の充実向上が妨げられるということであります。もう一つは、県立総合医療センターの在り方の問題です。この県立の医療機関が、患者の大半は防府市民であるというこれまでの経緯からして防府市民病院的な役割を担い、防府地域における高度急性期医療を担うようになることは理解するとしても、県立の医療機関である限りにおいては、基本的に全県的な医療ニーズに応える存在であるべきであります。従って、山口・防府医療圏における高度急性期の医療機能を、県立総合医療センターに集中しようとすることは、この医療機関を、山口・防府医療圏の基幹病院に位置付けることになり、それは県立の医療機関の在り方からしておかしいと批判されても止むを得ないのではないでしょうか。
山口・防府医療圏域における、高度急性期医療の提供は、防府地域においては県立総合医療センターが担うにしても、山口市においては日赤、済生会、小郡第一の三急性期病院が、高度急性期医療を疾患別に分担して、急性期病院としての特徴化と高度化を図り、相互に連携していくというようにしていくことが、望ましい整備の方向であると考えます。
以上申し上げましたことから、仮定上の話でございますが、仮定上のこととは云え、これまでの国の考え方からして十分予想されることでありますので、そのことに備えてあらかじめ議論しておく必要があるということでお尋ねいたします。
県は、病床機能報告制度に基づく報告を踏まえて平成27年度より地域医療構想(ビジョン)の策定に取り組むことになります。その際、国はその策定に当ってのガイドラインを今年度中に示すことになっていますが、国が示すガイドラインにおいて高度急性期医療を担う医療機関は、二次医療圏に一つと云う方針を示してきたら、山口・防府医療圏は、以前のように山口医療圏と防府医療圏に分離すべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎健康福祉部長(小松一彦君)

地域医療についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、地域医療連携についてです。
限られた医療資源の中で、高齢化の進行に伴う医療需要の増大に対応するためには、地域の医療機関が連携し、地域全体で医療を提供する地域医療連携を進めていくことが重要です。
このため、県としては、医療関係者等の共通理解のもと、連携体制の構築に向けた取り組みが進められるよう、がん、脳卒中、急性心筋梗塞など疾病ごとに求められる医療機能と、その機能を担う医療機関を、医療計画において示したところです。
この計画の策定に当たっては、地域の医療機関に対し、連携体制づくりへの参画を促すとともに、必要な機能を担う医療機関の役割分担の調整等を行ったところです。
また、この計画に基づき、具体的な連携が進められるよう、複数の医療機関が診療計画を共有する地域連携クリティカルパスの導入、参加を呼びかけるとともに、かかりつけ医と中核病院が患者情報を共有する地域医療連携情報システムの構築に向けて、導入検討会議を開催するなど、取り組みの促進を図っているところです。
次に、医療機能の分化と連携における縦と横の関係についてです。
地域が必要とする医療連携体制の構築を図るためには、お示しのように、高度急性期から慢性期に至る病床機能の分化・連携といった縦の関係だけでなく、急性期における診療科の分化・連携という横の関係についても重要であると考えています。
このため、県としては、地域の医療提供体制の将来のあるべき姿を示す地域医療ビジョンを来年度から策定する中で、医療機能の縦・横双方の、分化・連携について検討してまいります。
次に、地域連携クリティカルパスについてです。
地域医療連携の推進を図る上で、地域連携クリティカルパスは重要な役割を果たしており、このため、県としても、その導入の促進を図ってきたところです。
その結果、各地域において、疾病別に導入が進められてきており、同一疾病においては、おおむね書式が統一されているところです。
しかしながら、お示しのように同一疾病で異なる書式が利用されている例もありますことから、今後、地域医療対策協議会等において、書式の統一化について検討してまいります。
次に、医療圏における高度急性期医療についてのお尋ねです。
本年度末に、国が示すこととしている地域医療ビジョン策定のためのガイドラインについては、現在、有識者からなる国の検討会において、医療需要の将来推計の方法等についての検討が行われています。
この中で、高度急性期、急性期、回復期、慢性期ごとの医療機能の必要量については、医療機関数ではなく、病床数を単位として検討が行われており、医療圏において、一つの医療機能を一つの医療機関のみが担うことは想定されておりません。

2015年3月5日