平成25年9月定例県議会(2)山口県立大学の定款変更について

(2)山口県立大学の定款変更について

今議会に提案されています山口県立大学の定款を変更する議案について、四点お尋ねいたします。
先ず第一点は、定款変更の理由についてであります。
地方独立行政法人法は、「公立大学法人の理事長は、当該公立大学法人が設置する大学の学長となるものとする。」と定め、「ただし、定款で定めるところにより、学長を理事長と別に任命することができる。」としております。この制定趣旨は、公立大学法人においては、本来理事長が学長になるのが原則であり、設立団体の意向により、別置も可能とする、というものだと思われます。
そこで、山口県立大学を独立行政法人化する時は、準備委員会で学長と理事長を一体型にするのか、別置型で行くのかの議論が行なわれまして、大学の規模や歴史からして一体型が望ましいとの考えが大方の意見となり、その旨が定款に定められました。
県立大学より規模が数倍も大きい国立大学は、基本的に理事長・学長一体型であります。また、都道府県立の公立大学が法人化した公立大学法人においては、全国41の公立大学法人のうち29大学が一体型であり、12大学が分離型であり、3分の2強が一体型でありまして、私は準備委員会で集約された意見は妥当なものであったと見ております。
法人化された県立大は、江里新理事長が学長も兼ね、様々な大学改革を実現してきました。そこに何の支障もなかったように思われます。それを、この度敢えて理事長と学長一体型を、理事長と学長別置型に変更しようとする理由は何なのか、ご所見をお伺いいたします。
第二点は、定款変更について県の考えが、大学側に伝えられた時期についてであります。
県から大学法人に、「運営体制変更」についての協力要請文書が発出されたのは、今年の8月2日です。県の定款変更の意向が文書で正式に大学側に伝えられたのは、大学が夏休み期間に入ろうとしていて、大学の先生方はお盆を挟んで、色々と行事予定を組んでいたであろう8月になってからのことでした。
定款変更について、大学側の議論や意見集約を重視する姿勢があれば、5月初旬には、県の考えを伝えるべきであったと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
第三点は、第二点の質問と関連しますが、大学内の議論と意見集約が不十分ということです。
県立大学定款変更は、大学法人の審議機関である教育研究評議会と経営審議会の議を経て、「新たな運営体制への円滑な移行に向けて協力する。」との大学法人からの回答を受けて、今議会に議案が提案されています。
定款変更のことが、大学の各学部長や研究科長等で構成される教育研究評議会に諮られたのが8月6日で、第2回目の8月26日の評議会において「新たな運営体制への円滑な移行に協力する。」との審議結果になったとされています。
大学の経営審議会に諮られたのは、8月29日で、同様の審議結果になったとのことであります。
ここで指摘しておかねばならないことは、山口県立大学が定款に定めている仕組みが、まさしく課題への対応を迅速・的確に行うことができるよう、また機能性・機動性ある大学運営ができるよう、 理事長である学長に権限を集中しているということであります。従って、大学法人の審議機関である教育研究評議会と経営審議会の構成員は、基本的に理事長の指名もしくは任命による選任になっております。
よって、理事長が強い意思で臨めば、両機関とも色々意見があっても最終的には審議結果が、理事長の意向に沿ったものになることは想像に難くありません。この度の定款変更に向けた経緯は、 手続き的には何ら瑕疵がないように思われますが、事実の経過を仔細に点検していきますと、大学内における議論、意見集約が十分であったか疑問です。
そこでお尋ねです。特に大学の在り方の根幹にかかわる今回のような定款変更の事案は、県と大学双方における合意形成に向けた丁寧な議論と意見集約のプロセスが確保されるべきところ、 それが決定的に欠けていたように思われますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
第四点は、理事長の任期についてであります。
地方独立行政法人法では、第74条において、「公立大学法人が設置する大学の学長の任期は、二年以上六年を超えない範囲内において、当該大学に係る選考機関の議を経て、当該公立大学法人の規定で定めるものとする。」 と、しております。これを受けて山口県立大学は、学長となる理事長の任期は、一期目4年とし、再選は可能で二期目の任期は2年で、最長6年間となっております。こうした定めは、学長になる理事長に権限を集中して、 様々な大学の課題に理事長が対応しやすくする一方、大きな権限を持つ地位に同一人物が長くいることによる弊害を避けようとの考えに基づくものだと見ております。
それが、今回提案されている定款変更が成立して学長と理事長は別置型となった場合、理事長は知事の任命となり、理事長の任期は4年とするも再任されることができるとなっていて、任期最長6年の制限はなくなります。
よって、現在の理事長は、県大が法人化されたとき最初の2年間特例で理事長を務めたことがあり理事長在職8年目ですが、その現理事長を任命することも可能になります。
そこでお尋ねいたします。県立大の定款変更の議案が成立した場合、新たな理事長は知事任命となりますが、知事は、理事長の任期についてどうお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎知事(山本繁太郎君)
合志議員の御質問にお答えいたします。
次に、山口県立大学の定款変更のお尋ねのうち、私からは、理事長・学長別置型に変更する理由についてお答えいたします。
県立大学は、平成十八年度に法人化いたしました。これまで理事長・学長一体型のもとで大学運営を進め、教育研究、学生支援、地域貢献活動等におきまして、順調な実績を上げてきております。私は、県内の大学をリードする高等教育機関として大きな役割を果たしていると考えております。
しかしながら、地域貢献型大学として県立大学が一層の大学改革を進めていくためには、教育研究機能の向上とともに、グローバル化に対応できる優秀な人材の確保や新たな外部資金の獲得など、経営面からの取り組みもますます重要になってまいります。
さらに、今年度から、キャンパスを統合移転する第二期施設整備に着手したところでありまして、この大規模プロジェクトを組織的・計画的に推進するとともに、これを機に、人的ネットワークを含めた大学のあらゆる経営資源を、今後、いかに戦略的に活用するかなど、長期的視点と強いリーダーシップにより、大学を運営していく必要があると考えております。
このため、私は、これらの諸課題に迅速かつ的確に対応し、厳しい大学間競争で勝ち抜く県立大学を構築するためには、理事長と学長を分離し、理事長が経営面を、学長が教学面を、それぞれ責任を持って担当する新しい運営体制を導入することが必要であると判断したところであります。
その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

【回答】◎総務部長(池内英之君)
山口県立大学の定款変更についての三点のお尋ねにお答えします。
まず、定款変更の申し入れの時期についてのお尋ねでございます。
大学法人とは、文書による正式な申し入れを行う前に、さまざまな機会を捉えて意見交換を行っており、県としては、大学法人での検討・審議に必要な時間は確保されたものと考えております。
次に、県と大学双方における合意形成に向けた丁寧な議論と意見集約のプロセスが欠けていたのではないかとのお尋ねです。
県と大学法人との意見交換に加えまして、大学法人においては、法律で設置が義務づけられております学部長等で構成する教育研究評議会と、外部委員を含めた経営審議会において、それぞれ十分議論され、新たな運営体制の円滑な移行に向けて協力するとの結論が出されていることから、県と大学法人との間の合意形成は図られているものと考えております。
最後に、新理事長の任期についてのお尋ねですが、お示しのありましたとおり、任期は四年となっており、法律上、再任も可能な仕組みとなっております。

2013年9月30日