平成26年9月定例県議会【防災対策について】(2)防災意識の向上について

(2)防災意識の向上について

2点お伺いいたします。
第1点は、防災知識の普及についてであります。
自然災害に直面した時、どういう行動を取ることが身の安全を確保することに繋がるのかということに関する知識、これを防災知識と申し上げたいと思いますが、この防災知識の普及、周知が、災害が発生した時に人の犠牲が生じないようにする上において重要であると考えます。
広島の土砂災害では、安佐南区山本地区に住んでいた小学校5年のサッカー少年と2歳の幼い兄弟2人の命が、家の一階に流れ込んだ土砂のために失われました。この兄弟は、最初は2階にいたのに、2階にいることが不安になったのでしょうか、一階に移動したため土砂に襲われてしまいました。
土砂災害に対する防災上の知識としては、家から出て避難できない場合は、「家の2階で、山の反対側の部屋にいるようにする。」、というのがあります。
このことが、この兄弟の家族において防災上の知識として共有されていれば、あるいは、小学校における防災教育で、お兄さんが教えられていれば、この二人の尊い命は失われずに済んだかも知れません。
東日本大震災の時、釜石市においては市内小中学校、全児童・生徒約3千人が即座に避難し、生存率99.8%という素晴らしい成果を挙げ、「釜石の奇跡」と言われました。この背景には、「津波てんでんこ」と言って、「津波が来るとわかったら、肉親にもかまわず、各自てんでんばらばらに一刻も早く高台に逃げて、自分の命を守れ。」という教訓に基づき、防災教育、避難訓練が徹底されていたことがありました。
こうした事実は、災害から身を守るための知識、そういう意味での防災知識を、日頃から身につけておくことの大事さを、私たちに教えています。
そこで、お尋ねです。防災対策の一環として、県民に対して防災知識を普及し啓発していくこと、また学校教育において防災知識を教える防災教育を充実していくことが重要と考えますが、これらのことにどう取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。

第2点は、災害の歴史の周知についてであります。
岩手県にある普代村は、太平洋に面した人口3000人弱の小さな村ですが、東日本大震災では、死者はゼロで住宅への浸水被害もありませんでした。高さ15.5mの水門や防潮堤が、この村を津波から守ったからです。水門や防潮堤の建設が計画された時、高さが15.5mというのは高すぎるとの批判もあったそうですが、当時の和村村長は、15m以上を譲りませんでした。明治に15mの津波が来たという言い伝えが、村長の頭から離れなかったからです。災害の歴史についての記憶が、防災計画に生かされ効を奏した顕著な例であります。
この普代村の事例から学ぶべき教訓は、災害の歴史を知っておくことの大切さです。土地、土地でどういう災害が過去あったのか、災害の歴史を知り、そのことを防災計画に生かすと同時に、住民に周知して災害に備える防災意識の向上に役立てていくことは、防災のソフト対策として大事なことであると考えます。
では、私たちは、どうして過去の災害の歴史を知ることが出来るのでしょうか。先ず思いつくのは、昔からの言い伝えや地域に残る古文書、石碑等に記されている災害の記録を通して知ることです。
それから近年、特に土砂災害においては、地層の中で土石流等の土砂災害に係る堆積物中に残された樹木の炭化物を測定して、過去の土砂災害の発生年代を知ることが出来るようになりました。放射性炭素年代測定(AMS法)により土石流等の発生年代の推定を行うもので、山口大学大学院理工学研究科・准教授の鈴木素之先生が、その方面では先駆的な取組みをしておられます。
この方法によれば、災害の記録が残っていないところにおいても過去に土石流等が発生した年代を知ることができますし、古文書等に記録があれば、それと照合して「土石流災害発生年表」などの作成も可能となります。
この度の広島土砂災害を受けて、土砂災害防止法の改正が図られようとしていますが、その改正内容は、警戒区域指定の前提として都道府県が実施する地形や地質などの基礎調査の結果公表を義務付けて、住民への危険性周知を徹底することのようです。土砂災害防止法は、元々ソフト対策であり、制定趣旨は、関係する地域住民に土砂災害発生のリスクを認識してもらい、日頃から備えておいていただこうというものでありますから、その趣旨をより徹底する方向での改正であると思われます。
ただ、私に言わせれば、この改正は何とか対応しなければならないという苦肉の策で、ほとんど実質がない小手先のものであります。住民へ危険性周知を徹底するというのであれば、現時点での地形や地質等の基礎調査だけではなく、過去の土砂災害の履歴も調査して住民に周知するようにする方向での改正が望ましいと思われます。特に、特別警戒区域に指定されたところの住民に対しては、そのことが必要なのではないでしょうか。
そこでお伺いいたします。先ず、防災意識の向上という観点から、住民へ災害の歴史を周知する取り組みが重要と考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。次に、土石流等の土砂災害については、AMS法により発生年代を調査することが出来るようになりましたので、特に土砂災害の特別警戒区域ではその調査を行い、その結果を防災計画に生かすと同時に、住民に周知するようにすることを検討すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

【回答】◎総務部長(渡邉繁樹君)
防災対策についてのお尋ねのうち、防災意識の向上についてお答えします。
まず、防災知識の普及についてです。
災害から身を守るためには、県民一人一人がみずからの命はみずからが守るという自覚を持ち、平常時から災害に対する備えを心がけるとともに、発災時には的確な行動がとれるよう、正しい防災知識を身につけることが重要です。
このため、県では、ハザードマップによる危険箇所や避難場所の把握等、日ごろの備えや二階への垂直避難など、災害時の具体的な行動や心構えを示した防災ガイドブックの作成を初め、防災シンポジウムや出前講座の開催、住民参加型の防災訓練の実施など、市町とも連携し、防災知識の普及啓発に取り組んでおります。
また、避難の判断に参考となる気象情報など、リアルタイムの防災情報についてもホームページで提供していますが、このたび県民が情報を入手しやすくなるよう、ホームページの改修を行ったところです。
県としましては、今後とも、実際の災害時に県民の自主的な避難行動につながるよう、こうした取り組みの充実強化に努めてまいります。
次に、災害の歴史の周知についてです。
お示しのように、防災意識の向上を図るためには、過去、地域において発生した災害を正確に理解し、防災計画などに生かしていくとともに、後世に伝えていくことは非常に有効です。
県内でも、周防大島町における津波の襲来に係る伝承や、過去、水害で被災した岩国市美川地域で到達水位を標示している例などがあり、県としては、こうした過去に発生した災害の教訓を、市町と連携し、専門家の知見も得ながら、収集して事例集等に取りまとめ、広く県民へ周知するとともに、防災対策や防災教育等において活用してまいります。

【回答】◎教育長(浅原司君)
防災意識の向上のお尋ねのうち、学校における防災教育の充実についてお答えいたします。
自然災害から子供たちの命を守るためには、お示しのように、子供たちが災害についての正しい知識をもとに状況を的確に判断し、主体的に行動できる力を身につけていくことが重要であります。
このため、県教委では、災害についての知識や適切な避難行動、家族の避難方法等の確認の必要性などを示した防災教育テキストを全ての児童生徒に配付し、学校と家庭が連携して防災教育に取り組むとともに、災害現場の写真等を見ながら、子供たち自身が危険を予測し、回避する方法を考え、話し合う危険予測学習を積極的に推進しているところです。
さらに、災害から身を守るための知識が行動に結びつくよう、実際の災害に即した避難訓練や、大学教授、気象台職員等の専門家による防災出前授業の実施など、実践的な防災教育に努めています。
今後は、学校と家庭、地域が一体となって防災教育の取り組みを推進する中で、防災知識の共有と定着を図り、子供たちの安全をより確かなものとしていくことが必要でありますことから、各学校のコミュニティ・スクールにおける学校運営協議会にも働きかけ、過去の災害の状況や教訓を踏まえつつ、それぞれの地域で想定される災害への対応を総合的・実践的に学ぶ防災訓練を実施するなど、子供たちが家庭、地域の方々と防災知識をともに学び、共有する機会の拡充に努めてまいります。
県教委といたしましては、子供たちのかけがえのない命を守るため、災害から得られた教訓を決して無駄にすることなく、今後とも、市町教委と一体となって、学校、家庭、地域の緊密な連携のもと、防災教育の一層の充実を図ってまいります。

2014年9月30日