平成29年9月定例県議会【2.ペトリオットPAC-3の配備について】

今年の3月6日に北朝鮮が行った連続4発のミサイル実験は、岩国と佐世保の米軍基地を仮想標的にしたものであったと軍事専門家は分析しています。

我が国の弾道ミサイル防衛は、イージス艦による上層での迎撃とペトリオットPAC-3による下層での迎撃を連携させて効果的に行う多層防衛を基本としています。具体的に述べますと、イージス艦により迎撃できなかったミサイルは、PAC-3が着弾前に迎撃破砕するという二段構えの多重防護システムでミサイル防衛に万全を期すということになっているのであります。

ただ問題なのは、イージス艦は3隻で我が国全域をカバー可能ですが、ペトリオットPAC-3がカバーできる範囲は、配備された地点から20キロ程の圏域にとどまるため、日本の国全域が、常時イージス艦とペトリオットPAC-3による多重防護体制にあるという訳ではないということであります。

ペトリオットPAC-3は、現在全部で34基あって、航空自衛隊管轄の28個高射隊のうち17個高射隊に2基ずつ配備されています。この高射隊は、6群に分けて全国に配置されていて、PAC-3を有する部隊は、事態に応じて機動的に移動・展開して大都市圏や重要拠点を、ミサイル攻撃から多重防護することを任務としています。このことから明らかなように、ペトリオットPCA-3の役割は、拠点防衛であります。

従って、今日のように北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が高まっている時には、そのリスクが高いと思われるところには、常時配備の措置が取られるべきであると考えます。なぜなら、北朝鮮からのミサイル攻撃が実際あるとしたら、それは突発的で前もって予測し備えることが困難な事態である可能性が高いことから、移動・展開の時間的余裕はなく、それに対応できるのは、現にPAC-3が配備されているところに限られると思われるからです。

以上申し上げたことから訴えたいことは、岩国基地に、ペトリオットPAC-3を配備すべきということであります。在日米軍の他の航空基地を見ますと、嘉手納基地では米軍自身がPAC-3の防空砲兵大隊をもっています。三沢基地は、自衛隊の航空基地があり、そこにPAC-3が配備されています。然るに岩国基地にはそういう備えはありません。PAC-3を有する高射隊がある最も近い基地と言えば北九州市に隣接する芦屋町の芦屋基地ですが、そこからの移動を待っていたのでは、突然のミサイル攻撃には対処できません。

そこでお伺いいたします。県は岩国市とともに、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威がある間は、岩国基地にペトリオットPAC-3の常時配備を求めるべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 

 

平成29年9月定例県議会【3.避難対策について】

ア.武力攻撃事態に備えることについて

武力攻撃事態に備えるには、二つの壁があります。一つは、平和主義の壁であり、もう一つは、世論の壁です。

平和主義の壁について申しますと、現実を直視しようとせず、だから現実にコミットせず、現実の重みを背負おうとしない、単なるパフォーマンスとしての自己満足的な不毛の平和主義が、今なお我が国では、一定の影響力を持っていて、武力攻撃事態に備える壁になっています。その典型的な例が、長崎市国民保護計画であります。

国民保護計画とは、平成16年に有事法制関連のひとつとして成立した国民保護法に基づき、都道府県及び市町村に作成が求められたものです。国民保護法は、万一、我が国に対して武力攻撃や大規模なテロ等が発生した時、迅速に住民の避難を行うなど、国、地方公共団体、関係機関等が協力して、住民を守るための仕組みを制度化したものであり、都道府県及び市町村は、この法の成立後、国が示した基本指針や保護計画のモデルを参考にして、我が県、我が町の具体的な住民保護計画の作成に取り組むことになりました。その際、保護計画は、武力攻撃事態を上陸侵攻の場合、弾道ミサイルによる攻撃の場合等類型化して、それぞれの場合に、どう対処し措置するかを定めることになっています。そして、その武力攻撃事態には、核兵器による攻撃を受けた場合も想定されています。

ところが、こうした国民保護計画の作成は、戦争への備えをするものであり、「戦争の放棄」を定めた憲法のもとで、戦争に備える態勢をつくらせる訳にはいかないとの理由で、平和団体、平和主義者と見られている人達による強い反対の動きがありました。長崎市ではそうした動きが、市の取組みに直接及び、その結果、市が作成する国民保護計画から「核兵器による攻撃への対処」が、削除されました。こうした平和主義の壁は、偽りの平和主義以外の何ものでもありません。

危機管理のプロとして民間の立場から国民保護法の制定に協力された現参議院議員青山繁晴氏は、その必要性を、第二次世界大戦時における空襲による被害調査の分析を踏まえて明らかにしています。第二次大戦時、連合国から激しい空襲を受けたドイツと日本を比較した場合、投下された爆弾量に比しての犠牲者数は、圧倒的に日本の方が多いという事実を示し、その差は、あのナチス支配下のドイツといえども国民保護計画があったのに、日本には、それがなかったことに由るものであることを指摘して、青山氏は、戦後60年にして漸く不十分とはいえ我が国に国民保護法が成立し、国民保護計画が作られることになったことの意義を力説しています。

我々が、戦争を避け平和を求めるのは、私たちの生命、財産、生活を守るためです。そういう意味において、真の平和主義者は、国民保護法計画が、実効あるものになることを求めこそすれ、それに反対することはあり得ません。

そこでお尋ねです。国民保護法に基づき、全国の都道府県及び市町村が国民保護計画の作成に取り組んだことは、一歩前進であるとはいえ、国が示した基本指針や保護計画のモデルに沿って文書上の体裁を整えたにすぎない感もあり、実質、内実が伴った実効ある住民保護計画にしていくことが、次なる課題であります。そのためには、地方の現場からの発想で武力攻撃事態を想定して具体的に、真摯に住民保護の計画作成に取り組む必要があると考えます。ついては、本県の国民保護計画も、そういう観点から点検し、見直していく必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

武力攻撃事態に備えるには、もう一つ世論の壁があります。武力攻撃事態に備えて、避難行動の周知を図る、避難訓練を徹底する等の取組みは、かえって住民の不安をあおることになりはしないか、また本県の場合は、弾道ミサイルの脅威に備えようとすると、空母艦載機受け入れを容認した県や市の判断に対する批判が高まることになりはしないか等のことが、懸念されるところであります。しかし、世論がどうあろうとも住民保護のために、為すべきことは為していくことが政治、行政の責任であります。ついては、本県においては世論が如何にあろうとも、武力攻撃事態に対する備えについては、しっかり取り組まれるよう要望いたします。

イ.避難行動の周知について

国が定めた「国民の保護に関する基本指針」において、平素からの備えということで市町村は、武力攻撃事態に応じて複数の「避難実施要領」のパターンを作成しておくことが求められており、県は、その取組みに対して必要な助言を行うことになっています。

しかし、朝鮮半島有事の際、本県が直面するかもしれない武力攻撃事態として想定されるのは、岩国基地への弾道ミサイル攻撃であり、その被害が市民の及ぶという事態であります。こうした弾道ミサイル攻撃に対しては、「避難実施要領」のパターンをあらかじめ作成しておき、それに則って住民を避難誘導して被害を防ぐという対応は、時間的に不可能であります。

従って、弾道ミサイル攻撃から住民を守るための平素の備えとして徹底しておくべきことは、住民一人一人が、弾道ミサイルの脅威を警報等で知った時、身を守るために、どうすべきか的確に判断し行動できるよう、避難行動についての必要な知識や情報を、住民に周知しておくことであります。

そこでお尋ねです。万一弾道ミサイル攻撃があった場合、どう避難行動すべきかを住民に周知することについては、本県では特に岩国市において充分考慮されているものと思いますが、県も、岩国市に対して必要に応じて助言するというより、岩国市と一体となり、共同して取り組むべきであると考えます。

つきましては、このことにつきご所見をお伺いいたします。

 

ウ.避難施設の整備について

ミサイル攻撃からの避難のために最も望ましいのは、短時間のうちに避難できる地下施設等が、身近なところに整備されていることであります。

先般8月29日に北朝鮮が行なった弾道ミサイル発射の経緯を、時系列に整理しますと、発車時刻は5時58分で、Jアラートによる警報発令が6時2分、北海道の上空通過が6時5分から7分で、6時12分落下と見られています。

9月15日の弾道ミサイルは、発射時刻は午前6時57分でしたが、その後のJアラートや我が国の上空通過等の時間的経緯はほぼ同様で、時間差は1分以内です。

もし、8月29日に発射されたミサイルが北海道に着弾していたと仮定すれば、警報発令から着弾までの時間は、3分間程であり、住民は、Jアラートでミサイルの脅威を知って避難するための時間は2~3分間しかありません。Jアラート第一報では、「頑丈な建物や地下に避難してください」との指示メッセージが発されましたが、そういう事態に備えての避難施設が身近なところに整備されていなければ、咄嗟の場合、住民は、どう避難すればいいのか戸惑うであろうと思われます。

9月15日のミサイル発射に対して発令されたJアラートでは、避難についての指示メッセージの文言は、「建物の中、または地下に避難してください。」でした。8月29日のJアラートで避難先として例示されたのは、「頑丈な建物や地下」でしたが、9月15日のJアラートでは、それが「建物の中、または地下に」と改められ、「頑丈な」の文言がなくなっています。

これは、8月29日のJアラートでの避難指示の文言に対して、「頑丈な建物がない場合はどこに逃げればいいのか」「頑丈な建物を探そうと屋外に出てしまった」といった声が相次ぎ、それが見直されたからです。

こうしたことから明らかになって来るのは、我が国の国民保護計画は、ハード面の対策が伴っていないということであります。見直されるべきは、避難指示の文言が適切かどうか以上に、そういう点なのではないでしょうか。

そこでお尋ねです。岩国市のように在日米軍基地があって北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が想定されるところは、ハード面からの避難対策もしっかりしたものにする必要があります。特に、基地周辺の住宅民家、学校施設、大規模集客施設等において、地下への避難が素早くできるよう施設整備が図られるべきであると考えます。ついては、そうした避難施設の整備が早急に進むよう、県は岩国市とともに、国に対して財源措置を含めた支援の施策を強く要望すべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 

 

 

 

平成29年9月定例県議会【4.破壊活動対策について】

朝鮮半島有事の際、想定される事態のひとつに、我が国に相当数潜伏していると目されている北朝鮮工作員による破壊活動があります。

これへの備えとしては、監視活動を強化して、未然防止に万全を期すことが重要と考えますが、このことにどう取り組まれているのかご所見をお伺いいたします。

 

 

 

平成29年6月定例県議会【1.県政への位置づけについて】

水力発電は、倍増できる。我が国では、電源構成において水力発電が占める割合は現在9%だが、これを20%以上にすることができる。国土交通省の元河川局長であった竹村公太郎氏は、その著「水力発電が日本を救う」で、そう述べて、日本の将来のために水力発電の推進に取り組むべきことを訴えています。
CO2を排出しないクリーンな純国産エネルギーである水力発電を、倍増して電源構成割合20%以上を実現できれば、私たちは、日本の将来に明るい展望を持つことができます。私は、竹村氏の著書を読み、このことは取り組むに値することだと思い、先ずは、竹村氏が主張しておられることを山口県において実現していこうと考え、ここ数か月そのことに関心を向けて、県の職員のご協力をいただきながら本県のダムを数カ所視察し、また国土交通省や資源エネルギー庁、本県において独自の水力発電システムを開発した田布施町の大晃機械工業などを訪ね、担当の方と意見交換を行い、さらには、著者の竹村氏本人にも直接お会いし疑問点をぶつけるなど、私なりに水力発電について理解を深めてまいりました。
そして、わかってきたのは水力発電の適地は、ほぼ開発され、事業化されているということであります。そうした現状を踏まえて如何にして水力発電を新たに開発していくのか。このことについて竹村氏は、①多目的ダムの運用変更、②既存ダムの嵩上げ、③発電に利用されていないダムでの水力発電の実施、④砂防ダム・農業用水路などにおける1000kW以下の小水力発電、以上四つの開発の方向を示しています。注目すべきは、その中に新たなダムの整備がないことです。竹村氏は、新たにダムをつくる必要はない、河川法が改正されて河川行政のスタンスが変われば、以上四つの方向の取り組みを推進することで、眠っている巨大電力を活かすことができるようになると力説しています。
水力発電は、水の流れが有するエネルギーを電力に変える仕組みです。従って、河川の水の流れが有するエネルギーを、可能な限り電力に変えて国民の生活と産業に資していく、このことが、河川行政を担当する者の重要な責務として認識され、その認識が共有されるようになることが、これからの水力発電の新たな開発のためには不可欠と思われます。勿論、このことは河川行政における治水の重要性を軽んずるものではありません。我が国の将来のことを考える時、これからの河川行政は、治水への取組みと同等に、河川の水力エネルギーの活用、ことに水力発電への活用が図られるべきだと考える次第です。
竹村氏は、河川管理者が水力発電のメインプレイヤーなることが大切で、そのため河川法第一条の目的に「水力エネルギーの最大活用」を入れるべきだと強調しています。
そういう趣旨の河川法の改正がなされるかどうかは、国政における今後の課題ですが、本県においては、再生可能エネルギーである水力発電の推進を県政の重要課題として位置づけることで、県の河川行政の担当者が、水力発電推進の役割を果たすようになることを期待するものです。
そこでお尋ねです。再生可能エネルギーの観点からも、特に水力発電の推進を、県政の重要課題として位置づけるべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
以下、竹村氏が示しておられる新たな水力発電開発の4つの方向について、順次お伺いいたします。

 

 

平成29年6月定例県議会【2.多目的ダムの運用変更】

その1は、多目的ダムの運用変更についてであります。

多目的ダムは、治水と利水の二つの目的のために整備されたダムです。治水の目的は、洪水予防が主ですが、利水の目的は、工業用水、水道用水、農業用の灌漑用水の供給及び水力発電などがあります。ところで、治水と利水は、それぞれがダムに求めることが相反しています。治水のためには、大雨や集中豪雨時に、雨水をダムにため込む容量、これを治水容量あるいは洪水調節容量と申しますが、これが大きい程いい訳で、そのためにはダムの水位を下げて、空き容量を大きくしておくことが求められます。一方、利水のためには、ダムには多くの水があった方が望ましい訳で、ダムの水位は出来るだけ高く保って、ダムの空き容量を少なくすることが求められます。

多目的ダムは、この治水、利水の相反する双方の求めを共に満たすために、治水容量と利水容量を合わせた規模のダムとして整備することが求められます。この場合ダムの水位は、ダムの治水容量及び利水容量が確保される水位に設定されることになります。従って、多目的ダムの場合、通常の水位は、水を実際ためることができる満水時の最高水位よりも、治水容量分ほど低く設定されています。この水位を常時満水位と言っていまして、この水位の時の水量が、ダムの利水容量であります。

また、ダム建設地の地形に係る制約等から年間を通して治水容量と利水容量の双方を満たす規模のダム整備が困難な場合、梅雨や台風などで大量の雨が降ることが予想される時期、即ち6月半ばから9月末頃までの洪水期の期間は、治水容量の確保を優先して、常時満水位より低く水位を設定し制限する、このことを制限水位と申しますが、その制限水位を設けることで治水、利水双方の目的を果たしている多目的ダムもあります。

このように多目的ダムでは、年間を通して、あるいは洪水期の数か月余、洪水予防の目的で治水容量が確保されていますが、その治水容量は、確率的に数十年に一度の大雨に対応できるマックスの空き容量であります。

こうした多目的ダムの水位の運用は、今日の発達した気象予報を活用することで、治水機能をしっかり確保しつつ、利水の機能を向上させる方向に改めることができるというのが、竹村氏の見解であります。

このことを水力発電で見てみますと、水力発電は、一般的に水量が多いほど発電量が増え、また同じ水量の場合、水位が高いほど電力は大きくなります。要するに、水を多く貯めれば水位も高くなり、より多くの発電が可能になるのであります。然るに現状は、数十年に一度の大雨に対応する治水容量を、年間を通して、あるいは洪水期の数か月余、固定的に確保する水位設定になっていまして、その分ダムが有する発電能力が、減じられる結果となっております。

大雨が予測される時、治水容量を確保して洪水の予防を図ることは、多目的ダムの最優先の役割であることは、論をまたないところであります。ただ、気象予報が発達した今日、年間を通して、あるいは数か月余、固定的に治水容量としてマックスの空き容量を確保しておく必要があるのかは、見直しの余地があるのではないでしょうか。このことは、洪水期とされる6月半ばから9月までの期間の中で、梅雨明け以降は、渇水期となり工業用水や上水等の確保に苦労して、度々節水を求める事態になる地域への対応という点からも考慮されていいと思われます。

現在、国では「既存ダムを有効活用するダム再生の取組をより一層推進していく」ため、「ダム再生ビジョン」の策定を進めており、先月5月17日に開催された第3回検討会では、「ダム再生ビジョン」の案が示されております。

それによりますと、「水力発電の積極的導入」として、「発電機能を低下させることなく治水機能を向上させる手法、治水機能を低下させることなく発電機能を向上させる手法、治水と発電の双方の能力を向上させる手法の検討に着手する。」「例えば、洪水後期に通常よりも放流量を減量してダムの貯留を続け発電に利用するなど、洪水調節容量の一部を活用するための操作ルール化に向けた検討を今年度中に実施する。」と明記されています。

そこでお尋ねです。竹村氏の指摘や国の「ダム再生ビジョン」策定への取り組みなどを踏まえ、本県の多目的ダムにおける水力発電を含む利水機能の向上を図るため、水位設定に係るダム操作規則の見直しなど運用変更の検討に着手すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

 

 

平成29年6月定例県議会【3.木屋川ダムの嵩上げ】

その2は、既存ダムの嵩上げですが、このことについては木屋川ダムの嵩上に関してお伺いいたします。

竹村氏の著書では、「ダムの嵩上げも、水力発電の潜在的な力を引き出す重要な手段である」と指摘して、「100mから110mに10%嵩上げすることにより、発電量は70%も伸びる。」と述べておられます。

本県では、木屋川ダムが平成41年の完成を目指してダムの嵩上げ工事を実施する予定になっていまして、この工事によるダムの嵩上げは10mであります。現在の木屋川ダムの堤高(ダムの高さ)は、41mですので、10mの嵩上げで伸びる発電量は、70%をはるかに上回ることは明らかであります。

従って私は、この嵩上げによって、木屋川発電所の発電量も大きく伸ばす計画になっているものと思っていましたが、そうではなく、この整備は、主に洪水予防のため治水容量を増やすためのものであることから、嵩上げした部分は水を貯めず常に空けておくことになり、嵩上げしても木屋川ダムの発電能力は変わらない旨の説明を受け、ある意味驚いた次第です。

木屋川水系では、治水事業として昭和30年に木屋川ダムが完成した以降も、度々洪水被害が発生しており、近年では平成22年7月に県西部が局地的な集中豪雨に見舞われたとき、木屋川の河川氾濫があり、浸水被害が生じたことは記憶に新しいところであります。

このように木屋川ダム完成以降も、数度にわたり洪水が発生している経緯からして、洪水調節機能強化のためのダム嵩上げ事業の実施は、当然優先的に行われるべき公共事業として理解し、速やかな事業の進捗と完成を願うものです。

ただ、私がこの事業に対して思うのは、ダムの嵩上げを利水面にも生かす、特に水力発電の能力向上に繋げるような運用を検討すべきではないかということであります。理由は簡単で、400億円もの巨額を投じて行われるこのダム嵩上げ事業は、洪水調節機能の向上と併せて、水力発電を大きく伸ばすことができるのに、それをしないのは勿体ないからです。

地球温暖化対策にも資するCO2を出さないクリーンで安定的な純国産エネルギーである水力発電を伸ばしていくことも、洪水調節機能の向上と同様に大事な将来の世代のための投資であります。また、先ほど紹介しましたように、国土交通省は「治水と発電の双方の能力を向上させる手法の検討」にも着手する旨、「ダム再生ビジョン」案に明記しています。

そこでお尋ねです。木屋川ダムの嵩上げは、洪水調節機能の向上と併せて、発電能力の向上を図るようなダムの運用を検討すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

平成29年6月定例県議会【4.未利用ダムの活用】

次に、未利用ダムの活用ということで、水力発電に利用されていないダムでの発電の実施についてお伺いいたします。

本県には、建設中の平瀬ダム等を含め土木建築部が所管するダムが24ダム、企業局が所管するダムが4ダムと、他県に比べ豊富なダム群を擁しておりますが、現在、水力発電の施設のないダムは半数近くに上っております。

ところで、平成29年2月に公表された資源エネルギー庁の「水力発電の開発・導入のための調査報告書」によりますと、本県の土木建築部が所管する発電未利用ダム12について、その発電ポテンシャルは最大出力で合計836kWと報告されております。

さらに出力100kW以上の地点が全国で32箇所あり、そのうち4つが本県内にあると報告されております。具体的には、柳井市の黒杭川上流ダム、周南市の川上ダム、岩国市の中山川ダム、山口市の荒谷ダムの4箇所であります。

荒谷ダムや県庁のすぐ裏にあります五十鈴川ダムは、実地に見に行きましたが常に一定量の水量と落差がありますので、発電可能ではないかと思います。

企業局では、昨年4月に運転を開始した宇部丸山発電所以降、現在、平瀬発電所の建設を進めておられますが、それ以外、新たな発電所の建設は表明されておりません。

先月示された国土審議会の答申において、今後の水資源政策のあり方として、これまでの需要主導型の「水源開発の促進」からリスク管理型の「水の安定供給」へ進化を図るべきとされ、また現在、国土交通省が策定に向けて検討を進めている「ダム再生ビジョン(案)」では、「ダム再生の発展・加速に向けた方策」として「水力発電の積極的導入」が謳われるなど、水力発電の新たな開発に向けた期待が高まりつつあります。

ただ水力発電のために新たなダムをつくることは、有望地点のダム化は、ほぼやり尽くされている今日、事実上困難と思われることから、現実的な取組みとして考えられるのが、既存ダムで水力発電をやっていない未利用ダムの活用であります。

そこでお尋ねです。本県は、水力発電を行っていない未利用ダムを多数擁しておりますが、こうしたダムにおいても発電への取組みが図られるべきと考えます。つきましては、このことにつきご所見をお伺いいたします。

 

平成29年6月定例県議会【5.小水力発電の推進】

最後にその4、小水力発電の推進についてお伺いいたします。

竹村氏が、これからの新たな水力発電の開発で、大きな可能性があると示しておられるのが、1000kW以下の小水力発電であります。しかし、本県における小水力発電への取組み状況を見ていきますと、小水力発電を伸ばしていくのは容易ではないことが窺えます。

本県は、平成24年度に策定した再生可能エネルギー推進指針において、中小水力発電は、平成32年度までに新たに9箇所設置し、発電能力を1119kW伸ばすとしていますが、これは太陽光発電の伸びの224分の1、風力発電の伸びの95分の1であります。

水力発電は、天候に左右される太陽光発電や風力発電と比べて安定的、持続的な電力供給が可能という点から、再生可能エネルギーの中で、もっと大きく伸ばすことが図られていいはずですが、そうなっていません。それは、小水力発電が、今後の水力発電の新たな開発の中で主役の役割が期待されているにもかかわらず、実際に民間事業者が取り組もうとすると、困難な課題が様々あり、事業として成り立っていく見通しが立たないというのが実情であるからです。

そうした中、本県では県企業局が「小水力発電導入ガイドブック」を作成すると共に、自ら先導的役割を果たすべく、平成26年5月に相原発電所を、平成28年4月には宇部丸山発電所を設置して、小水力発電の運転を開始しております。そして、今後小水力発電の開発に携わろうとする者の一助になればと言うことで、それぞれの発電所の計画から運転開始までの一連の流れを、冊子にまとめています。

また、農林水産部は、小水力発電を農業用ダムを利用して行うということで、水利権などの諸手続きを調整した上で発電事業を、民間事業者に委ね、発電で得られた利益の一部は、ダムがある地域に還元するなどの取組みを行っています。

こうした県の小水力発電への取組みが、固定価格買取制度もあるのに、なぜ民間事業者にまで広がって行かないのか、このことに関心を向け続けていく中で見えてきたのは、電力の送配電に係るシステム上の問題であります。具体的には、50kW以上の発電の高圧連系に伴う問題です。

発電設備を、送配電の系統に接続する場合、発電出力50kW未満の場合は、低圧連系ということで200V標準の送電線への接続となりますが、発電出力が50kW以上の場合は、6000Vの高圧送電線への接続、即ち高圧連系になります。

そこで、二つの問題が生じます。その1は、本県の場合、高圧連系に空き容量がほとんどないということであります。その2は、高圧連系のために変電設備等が必要となり、多額の費用負担が生じることであります。

こうしたことは、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギー全般に共通する問題でありますが、特に、小水力発電を大きく伸ばすという観点から、対応策が国において講じられるべきものと考えます。

以上申し上げましたことを踏まえ、4点お伺いいたします。

ア.事業として成立発電出力について

第1点は、再生可能エネルギー固定価格買取制度のもと、小水力発電が事業として成立っていくには、一般的にどれほどの発電出力が確保される必要があると見ておられるのかお伺いいたします。

イ.高圧連系問題について

第2点は、小水力発電を推進していくためには、50kW以上の発電の高圧連系に伴う問題の解決が不可欠と考えますが、県は、このことをどう認識しておられるのか、ご所見をお伺いいたします。また、こうした問題の解決は、国において図られるべきものであることから、県は、そのことをしっかり国に要望すべきと考えますが、併せご所見をお伺いいたします。

ウ.50kW未満の小水力発電について

第3点は、現状の中で推進していくことが可能なのは、発電出力が50kW未満の小水力発電でありますが、このことにどう取り組んでいかれるお考えなのかお伺いいたします。

エ.山口県再生可能エネルギー推進指針における導入目標について

第4点は、色々困難な課題が多いことは分かりますが、本県の再生可能エネルギー推進指針の中に示されている中小水力発電の導入目標は、平成23年度に比して目標年度である平成32年度までの伸びが、わずか1%であり少ないと思います。水力発電推進の重要性に鑑み、もっと高い目標を掲げて推進を図るべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

平成29年2月定例県議会【有機農業の推進】

有機農業の推進についてお伺いいたします。先ず、なぜ有機農業の推進なのか申し上げます。それは、有機農業は、これからの農業が目指すべき方向であると考えるからです。その思いを深くしたのが、先般2月18日、東京ビッグサイトで「日本の元気をとりもどす―有機農業・自然農法から広がるまちづくり」と銘打って開催されたシンポジウム自然農法全国大会でした。

この催しは、農林水産省が後援しており同省の農業環境対策課長が挨拶を兼ねて有機農業に関する現状と課題を説明した後、現場からの事例報告や提案等がありました。その中で、特に印象深かったのは昨年開催されたリオ・オリンピックで日本女子卓球を銅メダルに導いた村上監督の記念講演とその村上監督がアドバイザー役を務めていて「未来のアスリートを目指す子供達を、食の面から支えていこう」との目的で設立されたワンラブコーポレーションという会社社長の報告でした。

私は、このひと月、県内で有機農業に取り組んでいる人達、また農薬の仕事に携わっている方々、JA関係者などを訪ねて色々教えていただき、意見交換をしてきました。そしてその間、特に関心を向けたのが「食の安全」と農薬のことで、そのことに関する本も数冊読みました。要は、農薬は、農のクスリなのか、それとも毒なのかということですが、私なりの結論は、農薬は、文字通り農のクスリとみなした方が、農業上の多様な課題に柔軟に対応できていいのではないかということです。従って、正しく使うことが大事で、それを完全排除する必要はない。ただ、人間の場合も、薬を飲まないで健康に暮らせるのであれば、それが一番いいように、農薬を使用しないでやれるのであれば、それが農業の在り方としては望ましく、そういう意味において、化学合成の農薬や肥料を使わないことを基本とする有機農業は、これからの農業が目指すべき方向であると思う次第であります。

ご案内のように、農業は、時代の推移の中で求められる課題が変わり、それに応じて農業の在り方も変化し進化を続けています。戦後、我が国の農業に求められたのは食糧の増産で、農薬や化学肥料を活用した近代農法は農業の生産性を高め、このことに大きく貢献しました。

1970年代になると、我が国の農業は安全重視に大きく舵を切ります。その背景には農薬事故が相次いだこともありますが、特に影響が大きかったのは、残留農薬が生態系、環境に及ぼす深刻な被害を告発したレイチェル・カーソン女史著「沈黙の春」が喚起した世論の高まりでした。

安全重視の農業という方向は、二つの流れとなって今日に至っています。一つは、農薬の使用そのものをやめるという有機農業の流れです。化学合成の農薬は使用せず、自然が本来持つ力を活かした農業を、ということで日本有機農業研究会が、1971年に発足しております。

もう一つは、安全が確保される範囲内で農薬の使用を認めるという方向です。具体的には、毒性が低くて人や環境への影響が少ない安全性重視の農薬の開発や食品の残留農薬への規制強化などの取り組みです。我が国の農業は、基本的にこの方向で安全重視の要請に応えてきたと言えます。

ことに、平成18年にはポジティブリスト制度が導入され、国民の健康保護の観点から一定の基準量を超えて農薬が残留する食品の流通・販売は、すべて禁止されることになりました。その農薬の残留基準量は、ADIといって一日許容摂取量、即ち人間が生涯毎日その量を摂取しても、健康に影響がないと推定される量以下に設定されています。かくて、農薬の使用はあるものの、我が国において生産され流通する農産物の食の安全は確保されている、というのが我が国農政の基本的な立場であります。

農林水産省は、この基本的立場を堅持しつつ、今日、有機農業を環境保全型農業の中に位置づけ、その推進を図りつつあります。1980年代末頃から地球温暖化のリスクが一般に認知されるようになり、世界的な枠組みでの温暖化対策への取り組みが本格化する中、農業も、生産性の向上、安全性の重視に加えて環境保全型への転換が求められています。我が国の農政は、食の安全というより、そのような環境保全という時代のトレンドに沿うものとして有機農業を評価しその意義を認め推進しようとしているのであります。

農業において環境保全ということで求められることは大別して三つあります。その1は、環境負荷の低減、その2は、自然循環機能の増進、その3は、生物多様性への配慮であります。こうした環境保全型農業への転換は、今日の時代が求める農業進化の方向であると共に、我が国の農業それ自体を持続性あるものとし、食料の自給率向上に資する施策の方向であると思われます。農林水産省が、農業環境対策課を設け、有機農業担当を置き、有機農業を含む環境保全型農業を推進しようとしているのは、そういう認識に基づくものであると私は見ております。

【回答】

合志議員の御質問のうち、私からは、有機農業の推進についてのお尋ねにお答えします。

農林水産業は、食料の安定供給をはじめ、県土や自然環境の保全など多面的機能を有する産業であり、食の安全・安心や環境保全に十分配慮し、振興を図ることが重要です。

本県では、堆肥等の有機質資源の利用や化学農薬・化学肥料の削減により、環境負荷を低減する農業を推進しており、農薬などの削減割合に応じた段階的な取組を進めています。

その中で、化学農薬などを100%削減するエコやまぐち農産物「エコ100」や有機JASなどの有機農業は、最も環境負荷の低減効果が高い農法と位置付けています。

このため、私は、平成26年度に改定した「山口県有機農業推進計画」に基づき、農業者の主体的な取組を推進しており、その結果、有機農業の面積は平成27年度には前年度から21ha増加し83haとなり、その取組が着実に拡大しています。

今後においては、平成30年度目標の100haを早期に超えられるよう、生産・消費の両面から取組を強化する必要があると考えています。

まず、生産面では、有機農業は、病害虫の異常発生による収量の減少などのリスクがあることから、天敵を利用した害虫防除などの新たな技術開発をはじめ、先進事例の活用や農林事務所における相談活動など、技術的な指導・支援に努めてまいります。

また、消費の面では、地産・地消の取組の中で、有機農業の生産者と消費者の交流会や学校における食育との連携、有機JAS等の適正表示の普及などを通じ、有機農業で生産された農産物の需要拡大にも取り組むこととしています。

私は、今後とも、有機農業生産者で組織する団体や市町・JA等と連携しながら、食の安心・安全への県民・消費者のニーズを踏まえ、有機農業の推進に努めてまいります。

その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。

平成29年2月定例県議会【1.有機農業の位置づけ】

そこでお尋ねの第一です。私は、有機農業を、本県の農業の柱の一つに位置づけ、その推進を図るべきだと考えますが、ご所見をお伺いいたします。また、そのための具体的措置として、農林水産部農業振興課に有機農業担当を置く、県農林総合技術センターに有機農業普及課を設ける、県立農業大学校に有機農業専攻科を設ける等のことを検討すべきと考えますが、併せご所見をお伺いいたします。

【回答】

有機農業について、数点のお尋ねにお答えします。

まず、県立農業大学校への有機農業専攻科設置等についてです。

お示しの各機関の現状については、

①まず、農林水産部農業振興課では、農薬の適正な使用など多岐にわたる複数の業務を担当する中で、有機農業の業務を担当しています。

②次に、農林総合技術センターでは、複数の研究室が連携して、有機農業を含む農業生産や化学農薬・化学肥料の低減技術など多岐にわたる研究に従事しています。

③次に、県立農業大学校では、学生や研修生に有機農業を含めて、生産から販売流通まで多岐にわたる知識・技術を学修させているところです。

今後の本県農業における有機農業の重要性については、十分に認識していますが、本県の農業全体に占める有機農業のウエイトを考慮し、また、生産面積が着実に拡大しておりますことから、当面は、現行体制を維持しつつ、今後の振興拡大に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えています。