ごうし栄一
【合志栄一後援会事務所】
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合志栄一スローガン
平成24年 一般質問項目
2月議会 6月議会 9月議会 11月議会
 
 
 ○2月定例県議会
東日本大震災復興支援について
 「東日本大震災復興支援、この言葉を見て『そうだ、やるぞ!』という気になった。この大災害時に、国体に打ち込んでいていいのかとの思いが払しょくされ、全力で取り組めるようになった。そして優勝することができた。国体で優勝できた最大の理由は、東日本大震災復興、この言葉が冠せられたことにある。」
昨年11月、「国体感謝の集い」が、湯田温泉のホテルで開催された時、武道競技を優勝に導いた指導者の方が、熱っぽく思いを込めて、そう語っておられました。
2万名もの多くの尊い人命が失われた未曾有の大災害、東日本大震災の勃発からおおよそ半年後に開催された昨年の山口国体は、東日本大震災復興の一語を冠することによって意義ある大会となり、本県は悲願の天皇杯獲得、総合優勝を果たし大成功裏に終了することができました。
先ずもって改めて、二井知事をはじめ関係者の皆さまのご尽力に感謝と敬意を表し、その労をねぎらいたいと思います。
そして、東日本大震災復興支援の旗印を高く掲げた本県が、国体終了後は具体的な復興支援においてその先頭に立ち貢献することを願い、この度は、本県の東日本大震災復興支援の取り組みについてお伺いいたします。
私は、先般二月中旬、宮城県庁や南三陸町役場等を訪ねてきましたが、現在被災地が復興支援ということで切実に求めていることは、災害廃棄物の広域処理の受け入れと人的支援の二つであることがよくわかりました。そこで、この二つのことについてお尋ねいたします。
先ずその一、災害廃棄物の広域処理受け入れについてであります。
ご案内のように東日本大震災は、日本における観測史上最大のマグニチュード9を記録した大地震と、それにより発生した波の高さ最大15m、遡上高最大40.5mと見られる大津波が、東日本太平洋沿岸部を襲い、特に東北地方の沿岸部には潰滅的な被害をもたらしました。加えて、この津波により全電源喪失状態となり原発事故としては最悪のレベル7となった福島第一原発事故が、更にこの震災の被害を深刻なものにしております。
言うまでもなく、この災害は被災地だけの災害ではなく日本の災害であります。そうした認識に立ち、かって私たちの父祖の世代が廃墟となった戦後の日本を復興したように、今度は今の時代に生きる我々が、震災からの新たな日本復興を実現していかなければなりません。
私は、この震災からの復興に向けて二つの「合う」が、今日の日本国民に求められていると思っています。その二つの「合う」とは、「足らざるを補い合う」と「負担を分かち合う」です。
そして、災害廃棄物の広域処理もこの二つの「合う」の精神で、本県も含め全国の自治体で受け入れが進むことを願っています。
災害廃棄物の広域処理が求められる背景には、特に津波の被害により、あまりにも膨大な災害廃棄物が生じているという実情があります。
被災三県のうち福島県の廃棄物は全部県内処理の方針ですので触れませんが、宮城県は約1569万トンで通常処理量の約19年分、岩手県は約476万トンで通常処理量の約11年分の災害廃棄物が発生していると推計されています。
宮城、岩手両県とも、県内各所に第二次仮置き場を設置して、そこで廃棄物の分別、破砕等の中間処理、焼却等も行い、可能な限り県内処理をしていく方針ですが、処理計画期限である平成26年3月までに、これを完了するには、処理能力を超えた分、宮城県では約344万トン、岩手県では約57万トンを、広域処理分として県外で受け入れてくれることを求めています。
この災害廃棄物広域処理に係る主な動きを、時系列に見ていきますと、先ず震災発生からおよそ1ヶ月後の昨年4月8日、環境省は全国の自治体に対して受け入れ可能性調査を実施しております。これへの回答では、572自治体、本県では10自治体が受け入れの意向を明らかにしております。
次に8月11日、環境省は「災害廃棄物の広域処理に係るガイドライン」を示し、8月18日には「がれき処理の特別措置法」も成立し、その推進を期します。その一方、8月30日には福島第一原発事故で放出された放射性物質により汚染された廃棄物や土壌等の処理に関する基準等を定めた「放射性物質汚染対処特別措置法」が成立します。
こうしたことを受けて、全国の自治体は改めて災害廃棄物の受け入れの可否を検討することになります。
そうした中、9月28日東京都は岩手県宮古市の災害廃棄物の受け入れを発表しました。
そして、10月11日環境省は、改めて全国の自治体に対して受け入れ処理可能量等に係る再調査を実施しました。
これに対し、本県は10月21日、県内の市町の回答を環境省に報告し、受け入れ意向のある自治体はない旨を伝えました。
全国の自治体の動向は、11月2日に公表され、受け入れ意向の自治体等は、4月調査の572から54へと10分の1以下に激減しております。しかも、その受け入れ意向の54自治体等も、ほとんどは受け入れを検討中ということで、実際受け入れが実現したのは、東京都と山形県、それに青森県の三つにとどまっています。
現時点で見られる追加の動きとしては、静岡県の島田市が受け入れに向けて試験焼却を実施しており、他に秋田、群馬、埼玉、神奈川、富山、石川、大阪の7府県が、受け入れに向けての具体的な検討を行っているようであります。兵庫県より西では、昨年11月に佐賀県武雄市の桶渡市長が、受け入れ表明を致しましたが、その後強い反対にあい、これを撤回しておりまして、それ以降、検討を行っている自治体はないようであります。
こうした現状から、これまで広域処理で受け入れを予定された量は約83万トンで、政府想定の2割にとどまっています。
災害廃棄物の広域処理受け入れが進まない背景には、言うまでもなく、放射能汚染への過剰な不安感、警戒感があります。
こうした住民の不安感、警戒感にどう立ち向かうのか、対照的な二つの事例があります。
昨年夏、京都の夏の風物詩として全国的に知られている大文字焼きは、被災地陸前高田市の高田松原の松の薪に、震災の遺族の思いが記されたもの400本を、鎮魂の思いを籠めて8月16日送り火に加えて焼くことを企画しましたが、放射能汚染を心配する世論を無視できないということで最終的には断念、集められた薪は、京都ではなく陸前高田市で8月8日迎え火として焼かれました。
一方、正月の初詣客数は明治神宮に次ぐ全国第二位を誇り、「成田山」と呼ばれ親しまれていて全国的にも著名な真言宗の寺院、千葉県成田市にある成田山新勝寺は、同様陸前高田市から、震災で犠牲になられた方々への供養のためにと送られて来た松の木を、9月25日に行われた伝統行事「お焚き上げ」で、祈願成就のための護摩木と一緒に焚き上げました。この計画が明らかになると、成田山にも「放射能汚染の可能性のあるマツをなぜ持ち込むのか。」等の抗議の声が寄せられましたが、同寺院は、放射能検査を2回行い、検出されないことを確認した上で、「問題なし。」と判断して実施致しました。
災害廃棄物の広域処理分受け入れ要請への対応として、本県も含め全国の自治体が見習うべきは、成田山新勝寺の事例なのではないでしょうか。
私は、災害廃棄物受け入れ問題で問われているのは、日本国民の意識というより、我が国の政治、行政の責任ある立場にある者のリーダーシップであると見ております。
一般国民が、災害廃棄物の放射能汚染に不安感を持ち、それを拒否したく思うのは、ある意味自然な反応で、そのことを問題視することはできません。
ただ、政治や行政の責任ある立場のある者は、漠然とした不安感等に支配されてはならず、災害廃棄物の放射能が、地域や暮らしの安全、体の健康にとって心配ないレベルであることが明確であれば、その受け入れに向けてリーダーシップを発揮すべきであります。そうした姿勢は、強い反対や批判、様々な困難に遭遇することが予想されますが、それらを乗り越えていくリーダーシップこそ、本当の意味でのリーダーシップであります。
そうしたリーダーシップが、我が国には今日の時代どれほど在るのか、そのことを、災害廃棄物の広域処理問題は問うています。
この問いに応え得る真のリーダーシップが、数多く存していれば、今日我が国は様々の困難な課題に直面しておりますが、将来に希望を持つことができます。そうしたリーダーシップが僅かであれば、今後日本が沈んでいくのは避けられないでしょう。そうならないために、二井知事に起ち上がってほしい、そういう思いで私は、この質問を行っています。
以上申し上げましたことに対しては、気持ちは分かるが、そんなこと言っても、県は災害廃棄物を受け入れる施設を持っていないので、県の判断で、その受け入れを行うことはできない。災害廃棄物は一般廃棄物扱いであり、一般廃棄物の処理は市町の事務で、その受け入れが出来る施設を持っているのは市町である。県としては、国の要請を市町に伝え、後は市町の対応を見守るしかない、との反論が返って来ることが予想されますので、そのことにお答えしておきたいと思います。
確かに、県は廃棄物の施設を持っていません。しかし、県が主体的に関与している廃棄物の最終処分場があります。それは、宇部港東見初広域最終処分場です。県は、この処分場の護岸建設を港湾整備事業の一環として行っております。最終処分場としての供用開始は、平成20年からで、県内全域から産業廃棄物を、宇部市から一般廃棄物を受け入れております。この施設の運営主体は、山口県環境保全事業団でありますが、県はこの事業団の出資者であり、関係する市や経済団体と共にそれらのまとめ役的立場で、事業団の設立から運営まで深くかかわっております。この事業団の常勤の理事長は県のOBで、4人いる副理事長の一人は県の環境生活部の審議監です。
この処分場は、現に宇部市が一般廃棄物を搬入していることから、一般廃棄物扱いになる災害廃棄物を受け入れることは、宇部市の了解があれば、事業団の判断で可能であります。その事業団の判断において、重要なのが、県の考えであります。
こういうことからして、私は災害廃棄物の受け入れについて、県は県下市町の動向を見守るだけではなく、県自身も整備・運営にかかわってきた東見初最終処分場での受け入れに向けて主体的に取り組むべきだと考えます。
ついては、災害廃棄物の広域処理受け入れへの協力要請に、本県は、どのように応えていくお考えなのかご所見をお伺いいたします。

次にその二、人的支援についてお伺いいたします。
宮城県の南三陸町は、東日本大震災で津波による被害の程度が最も大きかった町です。
人口が、1万7千名余の町で死者・行方不明者793人、被災家屋は、流失・全壊・半壊以上が全家屋の6割に及び、最多時には、住民の半数以上が避難生活を余儀なくされました。
平地にあった建物は、住宅や民間施設だけではなく、町役場、警察署、公立病院等の公的施設も含め壊滅し、町職員も36名が犠牲になっています。その中には、津波に飲み込まれる直前まで避難を促す放送をし続けた女性職員もいました。
私は、この南三陸町を2月14日に、昨年の4月と10月に続いて3度目になりますが訪ねまして、復興に向けての取り組み状況や課題等について伺ってまいりました。
町役場では、総務課長や復興企画課長に対応いただきましたが、最も強調しておられたのは、用地関係の行政職員の人的応援が欲しいということでした。
南三陸町は、住まいや公共施設の高台移転を骨子とする復興10カ年計画を策定し、「復旧しながら復興する。」との考えで、復旧と復興を同時並行で進めており、通常年間予算70億円から80億円の町が、平成24年度は当初予算が350億円を超え、これまでの5年分に相当する予算規模を1年で執行することになる見通しであります。
多くの職員を津波で失った上に、復興に向けて膨大な仕事に取り組んでいかねばならない、南三陸町が人的支援を何にも増して強く求めている所以であります。
こうしたことは、南三陸町のみならず被災地の多くの自治体にとって共通する切実な課題です。
災害発生時の緊急対応としての人的支援が一段落した今日、次には、復興に向けての人的支援が求められています。
昨年12月20日、全国知事会は、被災三県の知事からの要請を受けて、各都道府県知事あてで、平成24年度における被災三県への復旧・復興のための職員派遣を依頼しております。
また、同12月26日、国土交通省 中国地方整備局長は、山口県知事あてで、特に土地区画整理事業及び防災集団移転促進事業に関し、当該分野における人的支援の積極的検討と、派遣可能人員等についての回答を依頼しております。
こうした人的支援の要請に、本県も可能な限り応えていくべきであると考えます。つきましては以下、人的支援について3点お尋ねいたします。
第一点は、東日本大震災発生後、今日までの本県の人的支援の実績についてお伺いいたします。
第二点は、被災地復興に向けた、これからの本県の人的支援の方針についてであります。国土交通省 中国整備局からの依頼にどう回答したのかも含めお伺いいたします。
第三点は、民間のマンパワーを活用する対策の提言についてであります。
災害時の自治体間の職員派遣は、今回の震災対応も含め地方自治法252条の17「職員の派遣」についての規定に基づいて行われています。
この制度は、これまでそれなりに有効に機能してきたと思われますが、今後の震災からの復興に向けての職員派遣は長期間にわたることが予想されますことから、この制度による人的支援には限界があるものと思われます。
自治体には、職員定数の縛りがあり、復興期間だけの職員採用ということも難しいと思われるからです。
一方、被災地自治体は復興に向けて、特に土地関係の専門的なマンパワーを通常時に増して数多く必要としております。
こうしたマンパワーの需給のギャップを解消する対策として、民間の力を活用する方策が考案されて然るべきと思われます。
私なりに常識的に思いつくことは、民間で土地関係の仕事をしている人達で震災復興のために働こうという方々のために、公共事業の用地関係の仕事をする際、修得しておくべき事項を教育する機関を設立して、そこから被災地へ人材を供給するということです。そこで学び、復興のために働いたことは、復興後、民間で土地関係の仕事をしていく上で役立つと思われますし、公務員の場合のように、長期派遣が終わった後の処遇の問題は生じません。
いずれにせよ被災地自治体が、復興に向けて必要なマンパワーを確保するには、地方自治法による職員派遣制度では限界があり、それを補完する民間のマンパワー活用の対策が不可欠と思われます。
つきましては、被災地復興に向けたマンパワー確保の対策として、行政の専門職員と同じように土地区画整理事業等の仕事に従事できる民間人の養成と活用を、国に提言すべきと考えますがご所見をお伺いいたします。

 
○6月定例県議会
「地域活性化への取り組みについて」
1.中心商店街活性化対策
この30年ぐらいで日本中から小さな商店街が消えていくのがよく分かりました。『男はつらいよ』シリーズの終盤の地方ロケでは、風景が寂しくならないように、シャッターを閉めた店に頼んで開けてもらわねばならなかったのですから。
今なら寅さんのロケは大変でしょうね。似合わないなあ、寅さんに新幹線、高速道路、巨大ショッピングセンターは。全然ね。
商店街は、地域に暮らす人と人とが触れ合う場所ですよね。それは日本の文化のかなり大事な部分を占めていた。

以上は、映画監督山田洋次さんの証言の一節で、2007年から8年にかけて朝日新聞に連星された「変転経済―証言でたどる同時代史」で語られています。
この山田監督の証言に共感する人たちは多いと思います。私もその1人で、特に町の顔とも言うべき「中心商店街の賑わいの回復」に係る政策に関心を向けて、いろいろ私なりに調べてまいりました。そのことを踏まえ、この度は「地域活性化への取り組み」ということで、先ず「中心商店街活性化対策」についてお伺いいたします。
最初に、先般県下の中心商店街を見て回って感じたことを申し上げます。
何とか現状維持で街の賑わいを保ち続けているのは、山口の中心商店街であります。
岩国、徳山の中心商店街は、いくらか空き店舗が目につきますが、賑わいの回復、商店街再活性化に向けて意欲的な取り組みがなされつつあり、それに期待したいと思います。
萩の中心商店街は、観光を取り入れた商店街づくりに活路を見出そうとしており、衰退傾向には一定の歯止めがかっているように思われます
防府、宇部、下関は、中心商店街を構成する各商店街において空き店舗が増え、シャッター通り化が進行していますが、その中で幾つか奮闘している商店街があり、その頑張りには頭が下がります。
柳井は、かって中心商店街のメインであった銀天街がなくなり、その跡はきれいに整備された道路になっていて驚きでした。
商店街の衰退は、山田監督の証言のように全国各地で起きていることですが、その背景を調べていきますと原因は明らかで二つに大別されます。その一つは都市の拡散であり、その二はモータリゼーション、車社会の進展であります。
モータリゼーションの進展は、大きな時代の変化であり社会現象であることから、その変化にどう的確に対応するかが課題でありますが、都市の拡散は、我が国の都市計画、土地利用についての政策的不備によって生じている現象であります。特に平成2年に日米構造協議の合意を受けて大店法による大型店出店規制が緩和されたこと、さらに平成10年には大店法そのものが廃止され、店舗面積等による出店規制や出店調整の制度がなくなったことは、その傾向を一層助長しました。その結果、全国各地で郊外に次々と大型商業施設が進出することとなり、既存商店街の衰退が加速化しシャッター通りが増えていったことはご案内の通りであります。
こうした事態に、地方から悲鳴にも似た声が上がり、対策を求める声が高まり、平成18年の「まちづくり三法の見直し」となります。
「まちづくり三法」は、元々平成10年に制定されたもので、中心市街地活性化法、改正都市計画法、大店立地法の三つをいいます。このうち、大店立地法は、それまで大店法がしていた店舗面積等による量的な出店規制をなくし、代わって生活環境への影響という面から規制する仕組みを定めたものです。経済的規制から環境規制へという立法措置は画期的だとの評価の声もありましたが、先ほど触れましたように結果的に大型商業施設の郊外立地を促すことになりました。
大店立地法は、謂わば大型商業施設の立地に関する規制緩和でアクセルの役割を果たすこととなりましたが、一方でブレーキの役割を期待されたのが、この時の改正都市計画法で、大型店の郊外立地を規制する必要があると市町村が判断した場合、従前の都市計画法による土地利用規制を更に強化できるようにしたものです。しかし、この改正措置は充分に機能しませんでした。
中心市街地活性化法は、市町村が中心商店街活性化に向けて「基本計画」を策定し、その計画を関係省庁・民間・地方公共団体が連携して推進する仕組みを定めたものであります。
この法の制定を受けて全国で約700の自治体が基本計画を策定しましたが、中心商店街の空洞化の進行を防ぐことはできませんでした。
このように見てきますと、「平成10年の『まちづくり三法』とは、何だったのか。」ということになります。商店街衰退の主たる原因である都市機能の拡散を助長する立法措置をしながら、商店街支援の施策を講じたとしてもうまくいくはずがありません。この「まちづくり三法」は惨憺たる結果に終わり、平成18年の見直しということになる次第であります。
平成18年の「まちづくり三法の見直し」では、これまでの都市機能の郊外化・拡散化の流れに歯止めをかけ、さらにこれを転換して、都市機能の集約を図りコンパクトなまちづくりを目指すという方向で、法・制度の整備改正が行われました。既に時期遅しなのか、どうにか間に合ったのか分かりませんが、ともかく商店街衰退の本質的原因を踏まえた対策が、法的にとられたことは評価していいと思います。
また、この見直しで、中心市街地活性化法の第三条に基本理念が新たに定められました。その前段を紹介致しますと、「中心市街地の活性化は、中心市街地が地域住民の生活と交流の場であることを踏まえつつ、地域における社会的、経済的及び文化的活動の拠点となるにふさわしい魅力ある市街地の形成を図ることを基本とする」と明記されており、商業機能の強化という観点だけではなく、広く地域住民の生活と交流の場として魅力的な市街地の形成を図ることが中心市街地の活性化につながるとの考えが示されております。私は、この基本理念は、中心市街地再生に向けて最も大事な考え方を明確にしたものとして評価したいと思います。
三法の見直しにより都道府県の役割が、都市計画の広域調整という面で強化されたことも留意しておきたい点です。
ところでこの度、中心商店街のことに取り組んでハッキリして来たことは、商店街のことに関し県が直接的に権限を持ち、県の施策としてやれることが、今日ほとんどないということでした。実際、商店街の関係者に聞きますと「相談や陳情のため市や国の機関の方に行くことはあっても、県の方に行くことはここ数年ないなあ。」という声が返って来ます。
しかし、そうとは云え県が心掛ける、また取り組むことによって中心商店街の活性化につながることは色々とあることも事実です。
そこで、この度は、「まちづくり三法の見直し」に沿う方向で、県に心掛けてほしいこと、取り組んでいただきたいことにつき数点私の考えを申し上げ、ご所見をお伺いいたしたいと思います。
先ず第一点は、中心市街地への都市機能の集積、所謂コンパクトなまちづくり、コンパクトシティという方向についてであります。
まちづくり三法の見直しでコンパクトシティという方向に沿って行われた都
市計画法の重要な改正が二つあります。一つは床面積が1万uを超える大型小売店舗などの大規模集客施設の立地は、「商業」「近隣商業」「準工業」の3種の用途地域に限定し、それ以外の地域は原則不可としたことであります。
もう一つは、これまで開発許可が不要であった県や市などの公共施設や社会福祉施設、医療施設、学校等の公益施設も開発許可を要するように改正し、公共公益施設が地価の安い郊外へ安易に立地拡散しないようにしたことです。
そこでお尋ねいたします。これは山口市に限らず県下の市町すべての県公共施設等において共通して心掛けていただきたいことですが、県公共施設及び県関連施設また県が関与している公益施設等は、コンパクトなまちづくり、即ち中心市街地への都市機能の集積という方向に沿って、今後の建設や建て替えは行っていくべきであると考えます。つきましては、このことにつきご所見をお伺いいたします。
次に第二点は、良好で魅力的な中心市街地の形成についてであります。
中心商店街活性化対策ということで、中心商店街の商業機能の強化は、政治や行政の主たる政策課題ではないと考えます。それは、基本的に商業者に委ねられるべきことであります。
政策課題として取り組むべき柱のひとつは、先に述べましたように無秩序な都市の拡散を回避しコンパクトな都市構造にしていくことであります。さらに、そのことと併せ大事なもう一つの柱は、中心商店街を含む中心市街地を住みたくなる、そして行きたくなる魅力的な街並みの市街地にしていくことであります。そうした政策課題への取り組みが結果として中心商店街の賑わいの持続と将来への展望のベースになると考えます。
中心商店街の再活性化を主たる目的とする法律の題名が「中心市街地の活性化に関する法律」とされたことの含意は、そういうところにあると見ております。
中心市街地を良好な生活環境と魅力的な街並みの市街地にしていくという政策課題への取り組みにおいて、県は道路や河川等の整備事業を通して重要な役割を果たすことができます。
そこでお尋ねです。県も道路や河川等の整備事業を通して中心商店街の活性化につながる良好で魅力的な中心市街地の形成にしっかり取り組んでいくべきであると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
第三点は、まちなか居住の推進についてであります。
平成18年に全面的に見直された中心市街地活性化法は、計画事項に「まちなか居住の推進」を新たに加えました。これは、中心市街地の活性化にはとにかく人に住んでいただくことが重要との考えからだと思われます。 
この、「まちなか居住の推進」に向けて県は何が出来るかということでありますが、本年3月に県が策定した「山口県住生活基本計画」においては、「街なか居住の推進」について、次のように述べられています。

中心市街地活性化や定住人口を確保するため、民間オーナーとの連携によ  るファミリー向けや高齢者向けの賃貸住宅の供給や、民間住宅の借上げ等による市町営住宅の供給の促進など、商業のみならず居住や公共サービスのバランスがとれた市街地を形成する街なか居住を推進します。

 この「街なか居住の推進」についての県の考えで不満に思われるのは、県営住宅のことに触れていないことです。
そこでお尋ねです。私は、県営住宅を新たに街なかに増設する必要はないと思いますが、既存の県営住宅を建て替えて更新する時は、「街なか居住の推進」に沿う取り組みとして中心市街地への立地が今後計画されていいと考えます。つきましては、このことにつきご所見をお伺いいたします。
第四点は、県の広域調整についてであります。
大型商業施設の商圏は、立地自治体だけではなく複数の市町に及ぶ広域なものでありますことから、市町が単独で用途地域の変更等で立地規制をしても、近隣の市町が受け入れれば、その影響は避けられません。
都市計画法では、市町村が都市計画決定を行う際は、都道府県知事と協議することが手続き上決められていて、都道府県知事が広域的観点から調整の役割を果たすことが期待されています。
よって、大型商業施設等の立地にかかわる市町村の都市計画決定に関しては、そうした広域調整が求められることになると思われますが、平成18年の都市計画法の改正では、その際「都道府県知事は必要があると認める時は、関係市町村に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」として、都道府県が広域的な視点から望ましい立地に向けて、より円滑に調整できるよう仕組みを強化しました。
そこでお尋ねです。中心商店街に大きな影響を及ぼす大型商業施設の立地にかかわる都市計画の広域調整を、本県はどのように行ってきているのかご所見をお伺いいたします。
第五点は、二井県政と中心商店街対策についてであります。
「住み良さ日本一の元気県づくり」を目指して推進されて来た二井県政において中心商店街活性化対策は、政策的にどう位置付けられ取り組まれて来たのか、そしてこれまでの取り組みを通して今後の中心商店街活性化対策はどうあるべきとお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

2.地方分権の推進
地域活性化への取り組みについての質問の第二は、地方分権の推進についてであります。
私は、この度中心商店街のことに取り組んでみて見えて来たことがあります。それは、国がお金も権限も持ったまま、国が準備したメニューに沿ってやるところは支援しますよという、国による一元的管理の地域活性化のやり方は駄目だということです。そして、地域活性化は国より県が、市町村と連携して色々取り組めるようにした方がいいのではないかということであります。
平成18年に見直された中心市街地活性化法は、市町村が基本計画を策定して内閣総理大臣が認定する仕組みになっております。見直し以前は、国による基本計画の認定はありませんでした。それが一気に、内閣総理大臣による認定が制度化されたところに国が最大限力を入れて取り組みますよという意図が感じられます。確かに、総理認定となった計画は、国が集中的かつ効率的に支援を行うこととされています。しかし、果たしてそれでうまくいくのか疑問であります。
本県では、山口市及び下関市がこの基本計画の総理認定を受けております。このうち山口市は5年間の事業計画期間が今年度で終了しますので、再認定に向けての動きがあり、岩国市及び周南市においては計画申請の動きがあるようです。
山口市が総理認定を受けてやった計画事業を評価できるのは、まだ先のことになりますが、私が思っているのは、このような計画の策定とそれへの支援は、国が持っているお金と権限を県が持っていて、県と市町の関係でやっていった方が、ずっとうまくいくのではないかということです。県が国より市町に近いところにいて、市町の事情が分かっているからであります。
また全国各地、それぞれの地域に独自の歴史があり、事情があり、特性があって、その全てに通用する地域活性化のメニューを国が考えることは無理と思われるからです。
国は、以前の中心市街地活性化法では、基本計画が粗製乱造になったことを反省したようです。そして見直し後は、全国の市町村に対し国の基準に則って計画を策定し総理認定を得ることができれば、しっかり国が支援しますと宣言しました。そこには、ダメな地方を国が指導するという趣があります。しかし、それでは地域は活性化しません。地域の課題は、国ではなく地域で解決する。そのための自立的な仕組みを整えること、地域の地力を涵養すること、今日国が地域活性化のためになすべきことは、そういうことであります
現在の仕組みでは、本県の市町が基本計画を策定して総理認定を得ようとすれば、経済産業省の出先機関で広島市に在る中国経済産業局を通して国に申請することになります。このことで県を経由することはなく、また県が関与することもありません。
最近、国が打ち出してくる地域活性化の施策は、だいたい同様で、国と市町村、国と地方業界団体等との直接的な関係で実施する仕組みになっていて、国の出先機関が窓口・相談業務を担うということで、県の役割が希薄になっています。
平成20年6月県議会で、私は将来の分権型国家の在り方として道州制の他に30万ないし50万人規模の基礎的自治体としての都市と中央政府という2層構造の国の在り方が選択肢として考えられることを示して、2層構造の分権型国家についての知事の考えをお伺いしました。
その時二井知事は、「基礎的自治体としての都市で処理できない広域的なことを直ちに国がやるという2層構造では、国の権限が強すぎることになって、名ばかりの分権型国家になるのではないかと危惧する。やはり、道州制という方向が適切ではないかと考える。」と答弁をしておられます。
二井知事は、2層構造は、国の権限が強くなり名ばかりの分権型国家になるとの危惧を述べておられますが、今日の国による地域活性化の取り組みがうまく機能してない理由も、その仕組みが先ほど述べたように県抜きの2層構造でやろうとしているからではないかと私は見ております。
今日進行している地方分権は、本来地域のことは地域で解決する仕組みを整えて、地域の活性化につながるものであるはずべきなのに、必ずしもそうなっていない感があります。それは、行政事務の分権化は進んでいるものの、地方が政策面の自由度を増す自立に向けた分権化が進んでいないことと併せ、基礎的自治体として市を重視する一方、県の役割が希薄化して、結果的に2層構造となり国の直接関与が強くなっている面があることが原因しているのではないかと思われます。
現在国が進めている地方分権は、将来都道府県を廃して道州制に移行することを既定路線と見做し、都道府県の役割を減らし基礎的自治体と位置付ける市を重視して、そこに極力権限を移譲するという考えに立っているように思われます。
こうした考えに対し、私は一気に道州制への移行を目指して県の役割を少なくするのではなく、むしろ現在国が地域のことに関し持っている財源と権限を可能な限り県に移譲し、地域のことに関する県の役割を強くして、県と市町村でいろいろな地域の政策課題を解決できるようにすることが、地域活性化を大いに進める分権化の方向であると考えております。
それは、決して基礎的自治体として市を重視する地方分権の流れに逆行することではありません。そのことは当然の方向として尊重し、しっかり踏まえた上で、長い歴史があり国民になじんでいる都道府県制度が現にある限りにおいては、国の出先機関よりも、特に県域においては県が市町村と連携し、また県が市町村を補完して地域の課題に取り組む力を強めていった方がいいと考える次第であります。
以上、地域活性化と地方分権の推進について私の考えを申し述べましたが、そこでお尋ねです。地方分権が進むなか、地域活性化のために県の役割は、どうあるべきとお考えなのかご所見をお伺いいたします。

 
○9月定例県議会
岩国基地問題について
 岩国基地が県民の理解と支持のもと、我が国の安全とアジア地域の平和のために、必要な機能を確保し安定的に運用されるようにしていくことは、山口県政が果たすべき大事な役割であります。
 そのためには基地問題への県の対応が、根拠のないイメージ的な不安に基づく世論に同調するものであってはならないと考えます。
 そうした観点から、この度は「岩国基地問題について」ということで、このことに関し政策判断する上で考慮すべき数点につき、私の考えを申し上げ、県の所見をお伺いいたします。

1. 日米同盟について
日本とアメリカは、国の基本的な在り様が対照的な国です。日本は国の成り立ちが神話にまでさかのぼる自然国家ですが、アメリカは、1776年7月4日、独立宣言の日が建国の日とされる人造国家であります。
文化、文明の面では、アメリカは西洋・欧米圏に属し、江戸期までの日本は東洋・アジア圏に属していました。
国旗も、日本は日の丸で朝昇る太陽を表し、アメリカは星条旗で夜の星になっているのも対照的です。
この対照的な二つの国が真正面から衝突したのが先の大戦でした。昭和天皇は、訪米された時の御挨拶で「私の深く悲しみとするあの不幸な戦争」と申されましたが、まさしく日本民族にとって悲劇の戦いでした。
しかし戦後、日本とアメリカは一転、お互いに戦った悲劇の歴史を乗り越えて、良好な同盟関係を築き上げてきました。そこに、私は21世紀の地球社会の希望を見るものであります。
いろいろな意味で対照的な国であり、且つ世界の大国である日本とアメリカが、相提携し補完し合って同盟国としての関係を深めていくことが、世界の平和の基礎になると思うからです。
違いが多いアメリカではなく、同じアジア同士である中国との関係を強めてアメリカに対抗していこうという方向は、新たにアジアと欧米の対立の構図を生みだすのみで、世界の平和に資することにはならないと考えます。
以上申し上げましたことから訴えたいことは、日米双方共に政治に携わる者は、国政のみならず地方政治家も含め、日米同盟関係をより良いものにしていくために努力していくことが、重要な責務として求められているということであります。
そこで第一のお尋ねです。知事は、日米同盟の意義をどう認識しておられるのか、ご所見をお伺いいたします。

2. 日中関係について
次は、日中関係についてであります。アジアの隣国であり、歴史的にも文化的にもつながりの深い中国との善隣友好関係を大事にしていくことは当然のことであります。ただ、「備えあれば憂いなし」を期して、中国とは付き合っていくことが肝要であると考えます。
中国共産党政権によるチベット併合は百万人を超える人々が犠牲になったと見られており、第二次世界大戦後の世界で起きた最大の悲劇のひとつです。その悲劇の経緯を事実に即してたどっていくとき、そういう事態を招いた要因が、チベット自身にもあることが分かってまいります。
チベットにおいてチベット仏教の法王と世俗的な国王を兼ねる地位がダライ・ラマであります。現在のダライ・ラマは14世ですが、その前のダライ・ラマ13世の時代1920年代に、チベットは軍隊の近代化に取り組み軍事力の強化を図ろうとしました。ところが、この動きに仏教界は、「世俗の軍隊を強化するとはとんでもない。非暴力を旨とする仏教の原理とは相いれない。」と主張して猛然と反対します。こうした仏教界の反対は、その実、新軍隊の維持費のために仏教僧院にも課税されることを嫌ったためだと見られておりますが、ダライ・ラマ13世は、度重なる僧院の反対圧力に嫌気がさしてしまい、それまで進めてきた軍の近代化を断念してしまいます。
この結果、中共軍のチベットへの侵入が始まった1949年当時のチベットの軍隊の兵力は、兵員は将校と兵士合わせて8500名、各種大砲50門、曲射砲250門、機関銃200挺といった状態で、中国の武力併合を阻止する力は無きに等しい有様でした。
中共軍の侵略がはじまった当初、チベット政府は、イギリス・アメリカ・インド等に、中国に対しチベットへの侵略の中止を勧告するよう要請しますが断られてしまいます。また、国連に訴えますが、国連総会はチベット問題を審議に取り上げませんでした。
その時の心境をダライ・ラマ14世は、自叙伝「チベットわが祖国」に、次のように記しています。
「私たちに対する悲しむべき打撃は、国連総会がチベット問題を考慮、審議しないという決定をしたニュースであった。この知らせは私たちを仰天させた。私たちは、正義の根源として国際連合を信頼していた。」
「今や、私たちの友人たちは、正義のための嘆願提出に、私たちを助けようとさえしなかった。中国軍の大軍の中に、私たちは見捨てられたと感じた。」
平和憲法と称される我が国の現憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」との文言がありますが、そのような決意に国の運命を託することができないことは、チベットがたどった悲劇が如実に物語っています。
将来、アメリカの力が相対的に弱まり、日米同盟が脆弱化して力の空白が生じた場合、海軍も含め強大化された中国の軍事力の鉾先が、「日本解放」の名のもと日本に向けられ、チベットの悲劇が我が国で繰り返されないとも限りません。
そういう事態を招かないためには、力の空白を生じさせない不断の備えが大事であり、日米同盟はその基盤となるものであります。
徒に、中国を敵視、危険視することはあってはなりませんが、建設的な日中関係も日米同盟がしっかりしていて力の空白を生じさせない備えの上に成り立つものであることを強調しておきたいと思います。
以上、日中関係については通告していましたが、私の考えを述べるにとどめまして、

3、在日米軍基地について
私たちは、我が国に外国の軍隊米軍がいる、そのための米軍基地があるということをどう受け止めるべきなのでしょうか。
在日米軍基地の存在そのものを問題視して撤退を求める主張があります。
一つは、在日米軍を占領軍の延長と見る見方から。
もう一つは、米軍基地を、アメリカの帝国主義的世界侵略の軍事拠点とみなす見方から。
私は、こうした見方はいずれも現実に即していないと見ております。
在日米軍基地は、ご案内のように安保条約第6条「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」との規定に基づく施設でありますが、同条約はさらに第10条の後段において「この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。」と規定しております。
現在の安保条約は、昭和35年に改定されたものでありますので、それから十年を経過した昭和45年以降は、日本がアメリカに安保条約の終了を通告すれば、一年以内に在日米軍は撤退しなければならない定めになっているのです。
しかし、それから40年以上経過しておりますが、その間一度も「安保条約の終了を通告しよう。」との声は、我が国で挙がったことはありません。
日本国民の大多数は、安保条約が我が国の安全のために必要と認めている訳でして、そのことに基づいて駐留する在日米軍を占領軍の延長の如く見る見方は、妥当でないと思う次第です。
また在日米軍基地を、アメリカ帝国主義の侵略拠点とする見方は、反米の立場からのひとつのイデオロギー的な解釈であって、私はこれに同調することはできません。
今日、世界の国々の中で卓絶した経済力と軍事力をもつアメリカは、アメリカ自身及びアメリカを中心とする世界的秩序への脅威に対して、世界の何処であろうとも即応対処できる能力を軍事的に維持するとの方針のもと、世界的規模で米軍再編を進めており、その中で在日米軍基地は、一層その重要度を増す方向にあります。
このことを、アメリカの侵略意思とみなすか、平和への意思とみなすかは観点の違いであります。ただ、平和的秩序を最終的に担保する軍事力が、国連の下に置かれるようになるまでの間は、世界各地に在外基地をもち全世界規模で対応能力をもつ米軍の軍事力を世界の平和をあらしめる力として行く方向が、現実的な次善の策であると考えます。
岩国基地を含む在日米軍基地は、そういう方向の中において、特に我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安全のために重要な位置を占めております。
そこでお尋ねです。知事は、岩国基地を含む在日米軍基地の存在をどのようにお考えなのかお伺いいたします。

4、基地機能の強化について
岩国基地が沖合移設されるにあたって、県は岩国市とともに国に対して「基地機能の拡大強化にならないようにされたい。」と要請されています。
この要請内容が、文字通り適用されるとしたら、おかしなことになります。我が国を取り巻く軍事環境の変化に応じて、岩国基地の基地機能の強化を図ることができないからです。
北朝鮮の核開発や弾道ミサイルの増強は、我が国の安全への深刻な脅威になっています。また、中国では、国防費が速いペースで増大しており、公表されている分だけでも過去5年間で2倍に、過去24年間では30倍の規模になっていて、軍事力の増強、兵備の高性能化が、国の重要課題として強力に推進されています。
こうした事態に対応して、抑止力としての軍事機能の強化を図ることは当然考慮されるべきことであって、その一環としての岩国基地機能の強化は、この要請によって排除されてはならないと私は考えます。
このことに関して本県がとってきた対応は、まことに賢明でした。防衛は国の専管事項であるとして基地の軍事機能の領域には直接コミットせず、「基地機能の強化」については、基地機能の変化により航空機騒音や安全性等の面で、基地周辺住民の生活環境が現状より悪化する状態が生ずるかどうかを判断基準にしてきました。
要約すれば、「基地周辺住民の生活環境を、現状より悪化させる基地機能の強化は、容認できない。」ということで、これが本県の岩国基地問題に対する基本的な対応方針でした。
私は、この対応方針については理解し、支持するものであります。
そこでお尋ねです。「基地機能の強化」についての判断基準は、これまでの考え方を踏襲するのか、ご所見をお伺いいたします。
次にその5、オスプレイについてであります。
オスプレイは、アメリカ国防省が25年もの長い歳月と莫大な経費を投じて開発したヘリと固定翼機を兼ねる輸送用軍用機であります。海兵隊用のMV−22,空軍特殊作戦用のCV−22、海軍向けのHV−22の三種類があり、沖縄普天間基地に配備されようとしているのは、海兵隊用MV−22オスプレイであります。
MV−22オスプレイは、普天間基地に現在配備されている輸送用ヘリCH−46の後継機として配備される予定ですが、これと比較して最大速度は2倍、搭載能力は3倍、行動半径は4倍となります。こうしたオスプレイの優れた機能は、緊急時における海兵隊の機動展開・即応力を大幅に向上させるもので、在日米軍の抑止力の強化に資すると見られています。
ただ、このオスプレイの配備には、試作機段階から事故が相次いだことがあり、関係自治体ではこれを危険視して強く反対する声があります。しかし、我が国は、このオスプレイの配備を拒否することはできません。オスプレイの配備は、安保条約に基づく在日米軍基地の部隊装備に関する機種変更であり、日本政府の了解を必要とする事項ではないからです。
運用上の安全確保については日米合同委員会で協議されましたが、ここでの合意事項を米軍が順守する限りにおいては、訓練飛行も含めその運用を我が国は受け入れざるを得ません。
配備が予定されているのは沖縄の普天間基地ですが、その本格配備前に準備飛行目的で岩国基地に、7月23日、オスプレイ12機が陸揚げされました。
山口県議会は、6月定例議会で、モロッコでの墜落事故の原因究明や安全性の再確認、配備先関係自治体の理解などの条件整備を行う前の先行搬入は認められないとする意見書を決議しましたが、効を奏しませんでした。
日本政府は、岩国基地に搬入されても安全性が確認されるまでは訓練飛行も含め一切我が国でのオスプレイの飛行はないとしていましたが、9月19日、墜落事故は、「人的要因が大きく、機体自体に問題はない。」とした防衛省の事故原因調査報告書と日米合同委員会での運用上の安全確保についての合意を受けて、「オスプレイについて、国内運用の安全性が十分確認された。」として運用開始を認める方針を表明しました。
オスプレイが先行搬入され、本格配備前の準備飛行の基地となった岩国基地がある山口県としては、こうした事態にどう対応していくべきなのでしょうか。
私は、オスプレイのことに関しても、これまでの本県の岩国基地問題に対しての基本スタンスである「基地周辺住民の生活環境を、現状より悪化させることは容認できない。」とする方針に基づいて対応するのが望ましいと考えます。
ただ、これまでのオスプレイに関しての本県の対応は、厚木基地艦載機移駐受け入れ判断の場合に比して、量を測って数値化するという定量的な分析がないまま、どちらかというとマスコミ報道で喚起された不安感がベースにある世論に影響された対応になっているように思われます。
航空機の安全性を示す指標として一般的なのは事故率であります。事故率とは、10万飛行時間において損害の大きい機体破損や乗員の死亡等「クラスA飛行事故」が起きた数を指します。これで見ますと、普天間配備予定のMV−22オスプレイの事故率は1.93でして、米海兵隊が保有するヘリを含む航空機の平均事故率2.45よりも低い数値になっています。
この1.93という事故率には、今年の4月に起きたモロッコでの事故も含まれています。尚、今年の6月に、南部フロリダ州で起きた事故は海軍用CV−22が起こしたもので、MV−22の事故率には含まれていません。
因みに、岩国基地に配備されているハリアーの事故率は、6.76であります。定量的に見れば、MV−22オスプレイの安全性は、従前の海兵隊保有航空機に比して向上していると言えます。
オスプレイに関する政治・行政上の対応は、こうしたことも踏まえた上のものであることが求められます。
そこでお尋ねです。MV−22オスプレイの岩国基地への駐機及び岩国基地をベースとした準備飛行は、日米合同委員会での合意が順守されたとしても、県として容認できるかどうかの判断基準である「基地周辺住民の生活環境の悪化」が生ずるとみておられるのかどうか、ご所見をお伺いいたします。
また、もし「生活環境の悪化が生ずる」と見做されるのであれば、そのことに関する定量的な説明を併せお伺いいたします。
最後は、その6、沖縄の負担軽減についてであります。
日米同盟は、日本の平和と安全の基軸となるものであり、将来にわたって堅持されていくべきものですが、そのための最大の懸案は、在日米軍基地が面積にして7割以上集中している沖縄の負担を軽減することであります。
岩国基地が、厚木基地の空母艦載機部隊と沖縄普天間基地の空中給油機KC−130を受け入れることになったのは、沖縄に関する特別行動委員会(SACO)合意や米軍再編に係る日米合意の結果でありまして、米軍再編の機会をとらえて厚木航空基地を中心とする「米軍機の騒音問題」と「沖縄の負担軽減」の解決を図ろうとする日本政府の狙いを、岩国基地は沖合移設に伴い双方とも引き受けようとしています。
厚木基地の艦載機部隊の岩国基地への移駐は、米軍再編に関する日米協議の大きな成果とされていますが、このことも沖縄の負担軽減につながることがなければ、単に厚木の騒音を岩国に移すだけのことに終わります。それでは、本県や岩国市が反対の声が未だ根強くある中で、艦載機受け入れを容認し協力することの意味は失われてしまいます。
そういうことからして私は、県や岩国市が、艦載機部隊の受け入れと普天間基地の返還はパッケージであり、普天間基地返還の見通しが立たないまま、艦載機部隊の移駐を先行して受け入れることは認められないとしていることは、理解でき、そうした方針を支持するものであります。
ただ、これからはこれまでの経緯や実情を無視した暴論と言われるかもしれませんが、私の考えを申し上げたいと思います。
私は、岩国基地への厚木基地空母艦載機の移駐は中止を求めていいと考えております。
米軍再編の中での空母艦載機の岩国移駐に関する日米合意は、米軍機による騒音訴訟の解決を迫られていた日本政府の要請を米側が受け入れたものでした。
米側にとっては、第七艦隊の空母の母港がある横須賀に近い厚木基地に艦載機が駐機できる方が望ましいとの判断は、現在も変わっていないと思われます。
岩国基地のことに関心をもって色々調べていくうちに見えて来たことは、空母艦載機の岩国移駐は、米軍の要請によるものではなく日本政府の強い意思により推し進められてきたということです。
日本政府には、多額の国の予算を投入して基地の沖合移設を実現するのだから、そして沖合に移設すれば米軍機の騒音は軽減するのだから、空母艦載機を岩国には受け入れてもらおうとの強い思いがあったのではないでしょうか。
米軍機の騒音問題は、夜間も含めた艦載機の離発着訓練の場所を確保できれば解決することで、それが実現すれば米軍側には、敢えて艦載機を厚木から岩国に移駐しなければならない理由はありません。
これまでは日米同盟を大事に思う立場から、米軍再編に関する日米合意事項である艦載機の岩国移駐には本県も協力すべきものと考えていました。しかし、現在考えが変わりまして、それは日米同盟の強化とは関係ないことで日本政府のこだわりにすぎず、むしろ岩国基地は、沖縄の負担軽減につながる方向で必要な基地機能を引き受けることにした方がいいと思うに至りました。
その方向で考えられることの一つは、空中給油機KC−130に加えて普天間基地に配備が予定されているMV−22オスプレイ数機の配備を、岩国基地が受け入れることです。そのことは、国に対し空母艦載機の岩国移駐を中止するよう求めることと引き換えであっていいと考えます。
オスプレイに関する日米合意では、負担軽減の観点から沖縄以外での運用も検討するとされたところです。
MV−22オスプレイの配備がスムーズに進捗することは、安保条約に基づく日米同盟関係が揺るぎないものとなり、我が国の防衛力を強化する上からも大事なことであります。そのため、その負担を岩国基地が沖縄普天間基地と分かち合うことは意義ある国の安全への貢献であると考えます。
繰り返しになりますが、厚木基地の騒音問題は、空母艦載機の離発着訓練場を別途確保することが出来れば解決します。そうなれば、空母艦載機を岩国へ移駐する理由はなくなります。
日本政府が、基地の沖合移設と引き換えに岩国基地を艦載機の離発着訓練の場所とすることを考えているとすれば、撤回を求めるべきです。
基地の沖合移設は、米軍機が市街地上空を飛行することによる危険を回避し、騒音等を軽減することにより、岩国基地が基地周辺住民を始めとする県民の理解と支持を得て、将来にわたり安定的に運用されるようになることを目的としたものであり、そのことが我が国を含むアジア・太平洋地域の平和と安全のために重要との判断のもと取り組まれた国策事業であると考えます。
岩国の米軍基地は、元来沖縄に駐留する米軍海兵隊の航空基地であります。その基地機能が、将来にわたり安定的に確保されるようになったことで、沖合移設の目的は充分達せられているのです。
そこでお尋ねです。以上申し上げましたことから、沖合移設された岩国基地が受け入れるべきは、厚木基地の空母艦載機ではなく、沖縄の負担軽減につながる方向で必要な基地機能であると考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。

(再質問)
県民が不安に思うから、県民の不安は払しょくされていないと言うだけでは、県としての役割を果たしているとは言えないと思います。
県民の不安解消の責任は、国とともに県も共有していると考えるからです。
平成11年に成立した地方分権一括法による地方自治法の大改正は、国と自治体は「対等」の原則を定め、機関委任事務の廃止等、我が国の地方自治法制を一新しました。
地方分権が進展し、国と自治体との関係が対等とされたことは歓迎すべきことであると考えますが、そのことに応じて自治体も、特に国の存立に係る防衛について、国と共に責任と課題を共有する姿勢が求められると考えます。
そういう姿勢が伴わないまま、地方分権だけが進んでいって、果たして国の将来は大丈夫なのか、危惧の念が生じます。
防衛は国の専管事項であるとしても、地方自治体の協力は不可欠です。役割の違いはあれ、防衛も国と地方との共同作業で成り立つものだからです。
国の存立があって地方がある、地方栄えて国栄える、政治・行政の面でも国と地方とは役割の違いはあっても不可分一体であることは、国の官僚として一身を捧げ、古い言い方かもしれませんが「お国のために奉公」してこられた山本繁太郎知事が、最も身を持って感じておられることであると思います。
また地方分権の意義を、最もよく理解しておられるのも山本新知事であると考えます。
その山本知事が、防衛のことに関して国と共に責任と課題を共有するとの姿勢を、全国に先駆けて明確にされることを期待します。
在日米軍基地が在ることによって生じている問題も、全国の自治体の首長が、そういう姿勢で協力しなければ解決しないと思うからです。
厚木基地の騒音問題を解決するために、空母艦載機の離発着訓練場所として、現在、鹿児島県種子島の西方12kmの海上にある無人島馬毛島が有力な候補地になっているようですが、このことが我が国の防衛上重要であることを踏まえ、鹿児島県知事には是非その実現にご尽力いただきたいと願っています。
そうなれば、山口県は岩国市の理解を得て、岩国基地に艦載機ではなく、オスプレイのことも含め沖縄の負担軽減という方向で必要な基地機能の受け入れに協力するという展開があってもいいと考えます。
要は地方分権が進行する中、国の防衛には広域自治体であると都道府県を含む地方自治体も、責任と課題を国とともに共有して協力すべきであると考えますが、このことにつき知事のご所見をお伺いいたします。

(再々質問)
オスプレイの安全性に関し、再々質問をいたします。
私は、MV−22オスプレイは安全だと見ております。それは、絶対安全だという意味ではなく、運用される上において求められる安全上の水準を確保しているという意味においてであります。
私たちが日常生活で使っているものも、絶対安全のものはありません。如何なるものも、いくらかのリスク、危険性を包含しております。ただ、そのリスク、危険性が確率上、無視してもかまわない程度のものが、安全と見做されて使われているというのが実情であります。
私が、MV−22オスプレイを安全と見做すのは、一つは、先ほど触れましたように事故率が1.93と低く、定量的に見れば安全水準は確保されており、すでに運用されている海兵隊の航空機に比して安全性は向上していると見られること、もう一つは、オスプレイの安全に最も真剣なのは米軍それ自体であって、安全上の問題があれば運用されるはずがないと思われるからです。
オスプレイは、イラク戦、アフガン作戦には実戦配備されて運用されており、また、議会や政府の要人を運ぶ輸送手段としても活用されています。
要は、安全かどうかの問題は、安全と見做し得る安全上の水準を確保しているかどうかということであります。
オスプレイは、福田岩国市長が懸念したように、試作機段階の事故の映像を繰り返し放映して不安をあおるようなマスコミ報道によって、危険のイメージ、世論が作り上げられてしまった感があります。
しかし防衛に関する政治・行政上の判断は、こうしたイメージ、世論に影響されるものであってはならず、合理的な根拠に基づくものでなければなりません。
そこでお尋ねです。知事が、MV−22オスプレイは安全性が確保されていないと見做されるのは、如何なることに基づいてなのか、また、どういうことが明らかになれば安全と見做し得るとお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

(導入)
新政クラブの合志です。
先ず、山本知事、知事選ご当選、そして知事ご就任おめでとうございます。
山本知事誕生を強力に推進された方が、「山本繁太郎さんは、日本一の知事になる人だ。」と強調されていました。私もそう思います。
21世紀の日本の地域モデルを山口から創っていく。そして、山口から日本をよくする。
そういう方向での山本繁太郎新知事の、これからのご奮闘に期待し、通告に従い一般質問を行います。
尚、通告しておりました日中関係についての質問は、私の意見の開陳にとどめることにしましたので、あらかじめお断りしておきます。
 
○11月定例県議会
産業政策について
 山本知事が、県政運営に当たって最も力を入れておられる産業政策についてお伺いいたします。
 山本知事は、知事選出馬を決意されてからは、何よりも本県の産業力の再生強化に取り組むことを第一番に訴えてこられました。その結果、多くの県民の支持を獲得し期待を担って見事当選を果たされました。そして、第46代山口県知事に就任されるや、最優先課題として産業力強化に取り組む姿勢を明確にされ、担当副知事を議会の同意を得て任命され産業戦略本部準備室を立ち上げられました。
こうした山本知事の産業力強化に向けた取り組みは、来年四月に予定されている産業戦略本部の設置で本格稼働になるものと思われます。
そこで、そのことに向けて準備段階にある現在、この戦略本部が正式に発足したら直ちに有効に機能するよう、少し辛口になりますが大事と思われる数点につき議論を提起いたしたく今議会での質問を行うものであります。

その1は、産業戦略本部についてであります。
さて、私は山本知事の産業力強化に向けたお考えを知るべく、選挙戦で訴えられたこと、知事就任後の議会や記者会見で発言されたこと等を、つぶさに見てまいりました。そこからは、確かに山本知事の産業力強化に向けた意気込みや熱意は伝わってまいりますが、その内容は総論、一般論であり、各論も常識的な列挙の域を出ていません。しかし、産業強化のために必要なのは、本県の現状と課題を正確に認識した上での実践を前提とした各論であり、具体的な対応策であります。
産業戦略本部は、産業分野の取り組みを統括的・総合的に進める中核組織と位置づけられていますが、往々にしてこうした組織は、立派な計画を作ることや、そのために委員会を設けて審議することが主たる役割となり、実践面が充分伴わないケースが見受けられます。然るに、この産業戦略本部は、そうではなく何よりも実践組織として、とにかく本県の産業力の強化につながることは、何でもドンドンやる、担当副知事を置いて部局横断的に取り組むことができるので、縦割り行政の弊を排して課題の解決や必要な事項の実現がスピーディに進むようになったというようにならなければなりません。
取組みの目標や方向を明確にする上での計画作りは必要でしょうが、それも、あくまでも具体的な行動の指針としてのものであるべきだし、委員会も課題解決の取り組み実践を通して必要性が見えてきたことに関して設ければいいと考えます。
以上の考えから産業戦略本部について第一のお尋ねです。先ずは、当面する課題の解決にドンドン取組むことが産業戦略本部の役割であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
また、同様の考えから来年4月に正式に産業戦略本部が立ち上がった時には、本県産業強化に向けて取り組むべき各論、具体的な対応策が明確になっておくことが必要と考えますが、このことにつきご所見をお伺いいたします。
それから、10月の記者会見で知事は、産業戦略を諮問できるような有識者会議の設置の準備を進める旨のお考えを述べておられますが、有識者会議を設けるのであれば、それは準備室の段階で、産業戦略本部が立ち上がるまでに会議を開催して産業戦略を諮問し確定するというスケジュールであるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
産業戦略本部についてのお尋ねの最後は、「次世代周南コンビナート形成基本戦略」の扱いについてであります。
山本知事が、本県の産業力強化ということで繰り返し言及しておられるのは、瀬戸内沿岸部の産業集積を生かすということであります。
この瀬戸内沿岸部の中央地域において基幹産業として産業集積を実現している周南コンビナートの将来に向けた戦略をまとめた報告書が、「次世代周南コンビナート形成基本戦略」であります。
平成19年3月に策定されたこの基本戦略は、将来のあるべき周南コンビナートの姿として、「東アジア最強の次世代型化学コンビナート」を目指すとしており、現状の認識や取り組むべき課題が切迫感を持って述べられており、県商工労働部も含めこの基本戦略策定にかかわったメンバーの熱い思いが伝わってくる内容となっております。
そこでお尋ねです。私は「次世代周南コンビナート形成基本戦略」は、瀬戸内沿岸部の産業集積を生かすということで産業戦略本部が取り組むべき課題と方向を具体的かつ的確に示していると見ております。よって、この報告書の内容は、産業戦略本部が今後取り組みを進める上において大いに生かすべきものと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

次に、その2.中小企業対策についてお伺い致します。
総務省が、平成21年に行いました経済センサス―基礎調査によれば、本県の中小企業数は46,307で、県内企業の99.9%は中小企業であります。事業所数でみれば66,948箇所の事業所が中小企業で割合は98.9%、従業者数で見れば491,197人が中小企業で働いており、その割合は80.7%であります。
このように、本県においても産業経済活動を担う企業のほとんどは中小企業であります。
よって産業力の強化は、イクオール中小企業の企業力の強化であるといっても過言ではありません。しかし、本県も含め我が国の中小企業は、特に平成初頭のバブル経済崩壊後、失われた20年とも称される経済の停滞状況が続く中で苦闘の経営を強いられております。そうした経済情勢は今日も変わっておらず、明るい展望が持てない景況にあります。
今年の7月から9月間の県内中小企業景況調査によれば、この前期と比べて、業況判断、売上、経常利益及び資金繰りの全ての指標において、マイナス幅が拡大しております。
企業経営が黒字か赤字かという点で、県の商工会議所連合会が県内中小企業の景況調査を行っておりますが、これによりますと同様今年の7月から9月までの間で黒字と答えたところが15.4%、トントンと答えたところが50.2%、赤字と答えたところが34.4%となっております。
この企業経営が黒字か赤字かということに関し、地元の金融機関がどう見ているかを聞きますと、その見方は一層厳しく中小企業の7割から8割は赤字と見ています。
こうした中小企業の厳しい経営状況は今後改善される見通しはなく、むしろ中小企業を取り巻く経営環境は、一層厳しさを増す方向にあります。
金融機関に貸し付け条件の変更などを制度として促し、企業が資金繰りに行き詰まらないよう措置した金融円滑化法は、来年3月で終了いたします。
中小企業への緊急雇用安定助成金は、今年の10月に支給を抑制縮小する方向で支給の要件が変更されました。
今年の8月に成立した社会保障制度改革推進法は、短時間労働者に対する厚生年金や健康保険の適用を拡大する内容になっており、このことに伴い企業負担は増大することが予想されます。
加えて、消費税の増税が予定通り実施された場合、中小企業の企業経営にどう影響するのか懸念されるところであります。
そこでお尋ねです。こうした厳しい状況だからこそ政策の真価が問われることになります。私は、産業力の強化に総力を挙げて取り組もうとしておられる山本知事が、大胆な中小企業対策を打ち出されることを期待するものですが、本県の中小企業が明るい展望を持てるようにするためにどう取り組もうとしておられるのかご所見をお伺いいたします。

次に、中小企業対策ということで広報活動や研究・技術開発への支援についてお伺いいたします。
私は、中小企業対策としては、「育てる」という視点が重要だと考えるものです。産業力強化の可能性を持った企業の芽を育てるには、県がしっかりした広報戦略や研究・技術開発支援の方針を持つことが求められます。
具体的な事例を紹介しようと思いますが、山口市にK製作所と言って戦前から主に葉たばこ乾燥機の開発・製造・販売を社業としてきた会社があります。
近年葉たばこの生産が減少して来たことから新たな事業展開を模索する中で、長年培ってきた乾燥技術を生かして、野菜や果物の乾物を作る機械の開発に成功しました。
乾物と言えば水産物が一般的で、野菜や果物では干し大根とか干しブドウとか乾物に出来るものは限られていたのが、K社が開発した機械は、どんな野菜や果物でも、元の風味を損なわないで乾燥し乾物に出来るという点が、特筆さるべき性能であります。
この機械で作られたスイカとか梨とかの乾物が道の駅で販売されて好評を博しているということがローカルニュースで報道されたこともありますので、見られた方もあるかもしれません。
生鮮食品としては捨てられていたものも、乾物にすれば生かせるし、賞味期間、保存期間も長くなり、乾燥したものは粉にしやすくパウダーとしての用途は大きく広がり、輸出食品に育てていくことも夢ではありません。また、農業の6次産業化という方向にも沿うものであり、中山間地域の活性化にも活用が期待されており、テレビ産業、自動車産業といった意味での乾物産業形成の可能性も展望されるところであります。
山口市は、そういったことに着目してK社と共同企画で「山口から“Kanbutsu”を発信」プロジェクトを立ち上げたところ、これが総務省認定事業として採択され、併せて6次産業化支援の実績により「ニッポン新事業創出大賞」の受賞となりました。
山口市が、このプロジェクトでやったことの一つは、フェイスブックに山口市役所乾物部を登録したことです。現に乾物部が山口市役所にあるわけではありませんが、乾物事業の情報発信拠点として活用すべくフェイスブックにそういう名称で登録したという次第です。
自治体が、一民間企業と組んでそこまでやるということに対しては、公平性の観点から批判があるかもしれませんが、私はこういうことは大いにやるべき、「山口市はよくやった。」と評価するものであります。
山口市がやったことは、広報面からK社の技術や製品を育てる支援ということができると思うわけですが、私は、広域自治体である県も、同様に広報活動を通して県内企業を支援する取り組みがあっていいと考えます。
企業は、どんなにいい製品を創り出しても、最終的にはそれを売ることによって経営が成り立つものであることから、市場、販路を開拓するマーケッティング活動が重要であります。県や市町の広報面からの支援というのは、そうした企業のマーケッティング活動を後押しし、強化する支援であるとも言えます。
勿論そこには、企業が開発した技術や製品が持つ可能性、本県の産業や地域経済への波及効果、県が推進しようとする政策との整合性等の観点から選択があるのは当然のことで、産業力強化に向けて県内中小企業を育てる選択的広報戦略の確立と推進が必要と考えます。
そこでお尋ねです。県内中小企業を広報面から支援する施策が、産業力強化の一つの柱として重要と考えますが、このことにどう取り組まれるのかご所見をお伺いいたします。

次に、研究・技術開発支援についてお伺いいたします。
このことで私が申しあげたいことは、県内の一民間企業が持つ製品や技術であっても、それを育てることが一企業の利益にとどまらず地域経済を豊かにし、産業振興につながると思われるものは、県の施策としてしっかり研究・技術開発支援が行なわれていいということであります。
先ほど紹介しましたK社が開発した機械でつくられた野菜・果物の乾物は、乾燥した場合の栄養価の変化に関する分析が明らかになれば、学校給食や病院食にも取り入れられる可能性が出てきますし、さらにパウダーにした場合の分析があれば用途は一層多方面に広がり、先ほど述べましたように農業の6次産業化にも大きく寄与するのみならず、乾物を通しての産業形成も展望できるところであります。
唯そうした栄養分析を、産業化を展望したレベルで本格的に行うことは、一民間企業の研究委託では限界があるようで、県が産業振興に係る研究事業として取り組むことが検討されていいケースだと考えます。
今年、日本国民を勇気づけた最も明るいニュースの一つは、山中伸弥教授のノーベル賞受賞でした。ご案内のように山中教授は、iPS細胞の研究開発で受賞したのですが、この研究に対し科学技術振興機構が、2003年から5年間にわたって3億円の研究費支援を行ったこともノーベル賞受賞につながる研究成果を上げる上で大きかったと思われます。
そこでお尋ねです。科学技術振興機構の支援が、山中教授の研究を大きく育てノーベル賞という大輪の花を咲かせることになったわけですが、私は、県内の中小企業が取り組んでいる研究・技術開発のなかで産業力強化という観点から有望と思われるものは、これを県の施策として支援し育てるという取り組みがあっていいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。

(3) 林業再生への取り組みについて
産業政策についての質問の第三は、林業再生への取り組みについてであります。
先月11月13日、NHKクローズアップ現代で放送された「眠れる日本の宝の山―林業再生への挑戦」は、大変示唆の富む内容の番組でした。
見られた方もあると思いますが、私なりに我が国の林業を考える上において大事なポイントと感じたところを、先ず紹介したいと思います。

政府肝いりの林業再生プランが施行されたが、この国を挙げた取り組みが逆にせっかく切り出した木材の価格暴落を引き起こした。消費者側のニーズを把握しないまま、供給側の事情で生産を拡大した故の悲劇だった。
戦後の一斉植林が収穫期を迎え、産業として自立できるかの正念場を迎えている日本林業。潜在市場規模は数十兆円とも言われながら、外材に後れをとってきた。
今回明らかになった課題は、川上から川下まで情報を繋ぐ「コネクター」不足と体制の不備。
林業を基幹産業に生まれ変わらせんことに成功したヨーロッパ。
ITで新たな需要を掘り起こし、自動車産業に匹敵する雇用の創出を実現しています。
国の再生プランがモデルの1つに掲げたのがドイツの林業です。
森林面積は日本の半分ながら木材生産量は3倍。
この10年で林業を経済をけん引する先端産業に生まれ変わらせてきました。
そのキーマンともいえる存在が森林官と呼ばれる専門家です。
政府の認定を受け、一定面積の森ごとに全国に配置されています。
(森林官が)手に持つのはIT端末  木材1本1本の長さや太さ品質など、すべての情報をその場で打ち込んでいきます。
このデーターをもとにインターネットで各地の製材業者らと随時、入札などを行うなど、木材取り引き全般を大幅にスピードアップしました。
森林官 ゲオルグ・シューマンさん
「木材の需要を把握し、それに応じた伐採、生産を進めるのが私たち森林官の仕事です。」
木材は生産地の近くにある製材所に最短経路で運び込まれます。製材加工の現場は徹底的な自動化と規格化を進めています。
これで品質の向上とコストの低減を同時に達成。
分刻みのスケジュールで木材が到着するラインは先端工業並みの精密さです。
ドイツでは、木材の伐採から製材所などの第1次加工、さらにそれを利用するハウスメーカーや家具メーカー、バイオマス企業など木材に関わるあるゆる事業者が地域の中に複合しています。

国産材生産の現場では技術や設備への投資が後手に回り、輸入される外材に比べて、乾燥や加工の精度にばらつきがあります。

梶山恵司(富士通総研 上席主任研究員)コメント
(ドイツの林業のように)システムがきちんとできて、マーケティングができるということは、その前提として、要するに木材を伐採して出す林業用の道が整備されているということが大事です。
地産地消、林業はおのずからできるはずなんです。
丸太というのは重くてかさばるわけですから、できるだけ地域で加工するというのが鉄則です。
ヨーロッパの場合ですと、大体半径50キロ圏内が製材工場の立地となります。

岡山県西粟倉村 森の学校 代表取締役 牧大介
総面積の95%を森林が占める山あいの村
牧さんが目指したのは生産から1次加工、2次加工そして販売まで一貫して村で手がける総合的な木材産業でした。
牧さんは、最大の問題は村の木材生産が買い手の望む品質レベルを実現できていないことだと考えました。
牧さんは水分を抜く乾燥機や精度の高い工作機械を国の再生プランにもとづく助成などを利用し、はじめて村に導入しました。
さらに重要なのはニーズの把握です。
牧さんたちは市場を知るため販路の開拓をみずから行なうようにしました。
牧さんから伝えられた市場ニーズをもとに適切な木を計画的に伐採。
無駄な切り捨てや売れ残りを出すこともなくなり今年、生産量3割のアップを実現しました。

梶山研究員コメント
今、日本全国でこういう取り組みが始まっておりまして、具体的な事例も出てきているんですが、まだ点なんです。
これを面レベルにしていかなければなりませんし、できれば県単位でこういうふうにして行きたいというのが、今の基本的な構想です。
戦後、苦労して植えた木が、今ようやく本格的に利用できる段階になっています。でも、今手をつけなければ、これは将来的にはごみになってしまいます。
宝の山にするか、それともむだにしてしまうか、今、その瀬戸際です。
これをきちんと将来につなげることができれば、本当に地域は再生していくことができるということです。
今、その瀬戸際にいるということを、われわれは認識しなければならないです。

以上、少し長くなりましたが番組内容を紹介致しましたのは、山本知事に是非、山口県の林業を基幹産業にする取り組みに挑戦していただきたいとの思いからでして、この番組がその可能性や取り組むべき方向、課題を明確に示していると見たからです。
山本知事は本県産業の再生と強化に取り組もうとしておられるわけですが、産業再生のターゲットとすべきは林業ではないでしょうか。
そして、このことにはしっかり腰を据えて取り組んでいただきたいと考えます。先ほど、私は産業戦略本部の役割は、先ず実践だと申し上げましたが、林業再生への取り組みについては県域全体としてのシステム改革、構造改革が必要と思われますことから、産学公連携のプロジェクトチームを設けて、数年かかってもいいからドイツ等国内外の林業先進地視察等も行い、国の政策との整合性も図りながら本県の実情も踏まえて議論と検討を行い、本県林業を基幹産業にするためのしっかりしたプラン作成に取り組むことを提案するものです。
先ほど紹介したことですが、ドイツは10年かけて林業を経済をけん引する先端産業に生まれ変わらせました。
林業再生には、それくらいの時間はいるものと思われます。よって、本県の林業再生プランも、それくらいのスパンで構想されていいと考えます。
林業を基幹産業、先端産業に生まれ変わらせる取り組みは、日本全国の各地域に希望と光明を与えるものであり、かって内閣官房で地域活性化統合事務局長をしておられた山本知事に、是非このテーマに取り組んでいただきたいと期待するものであります。
つきましては、産業政策として林業再生にはどう取り組まれるお考えなのか、ご所見をお伺いいたします。

(4) 観光力強化について
 産業政策についての質問の第4は、観光力の強化についてであります。
先月11月12日の記者会見で、山本知事は「輝く、夢あふれる山口県」の実現に向け、「『5つの全力』関連要望」として、「産業力・観光力の増強」「人財力の育成」「安心・安全力の確保」「県民くらし満足度向上」に関する15項目を国に要望したことを発表されました。その中で最重要課題と形容詞をつけて「産業力・観光力の増強」を挙げておられます。
 観光は、広い意味で産業の中に含めていいと思われるものを、敢えて「産業力・観光力の増強」と表現しておられるところに、山本知事が、特に観光に力を入れて取り組もうとしておられることが伝わってまいります。

さて、日本では、明治維新以降、産業を興して国を富ますことを最優先とし、国を挙げてさまざまな工業を興し「産業力」を高め豊かな国を実現してきました。その際、「産業力」を高める施策の実施や検討のために、国や地方自治体・経済団体の統計データが長年にわたり整備蓄積されてきていることはご案内の通りであります。そして、そうした「産業力」を数値化した統計資料は、多くの国民の納得のいく精度の高い政策の実現に役立てられてきましたし、国だけでなく、山口県の産業政策についても、いろいろな角度から議論し検討することを可能にしています。

ところが、「観光力」はいかがでしょうか。
何をもって、観光の「力」とされているのでしょうか。

平成15年2003年小泉内閣が観光立国への取り組みを重要政策と掲げ、外国人観光客数を2010年までに1000万人に増やす目標が掲げられたことは記憶に新しいところです。そして、平成18年2006年に、昭和38年に制定された旧「観光基本法」の全部を改正し、「観光立国推進基本法」が国会の全員一致で採択され、平成19年2007年1月1日に施行されました。それを受けて、平成20年2008年10月1日に国の観光庁が設置されました。
観光庁設置の大きな目的について、ホームページに掲げてあります。
「観光は、わが国の経済、人々の雇用、地域の活性化に大きな影響を及ぼすものであり、21世紀のリーディング産業となるものです。中でも訪日外国人旅行者の増加は、国際相互理解の増進のほか、我が国における旅行消費の拡大、関連産業の振興や雇用の拡大による地域の活性化といった大きな経済効果をもたらすものです。したがって、自然環境、歴史、文化等観光資源を創造し、再発見し、整備し、これを内外に発信することによって、我が国が観光立国を目指していくことが重要となっています」
ここに示されている「観光を21世紀のリーディング産業にしていく」という観光庁設置の目的は、観光が持つ多様で大きな可能性に着目したもので、成熟した日本の経済社会の将来を展望する時、望ましい方向と思われます。私は、そういう意味で、山本知事の「観光力」増強の取り組みに、大いに共感するものであります。

そこで大事と思われるのが、その観光の「力」をどのように数値化して表現するか、納得のいく数値で県民に示すかということではないでしょうか。提示される観光の「力」を示す数値をもって、他の観光地との比較や経年での変化をとらえ、検討してこそ、有効な観光政策が実現できると考えます。

山口県では、前知事のもとで平成21年2009年10月から推進している「山口県年間観光客数3千万人構想実現アクションプラン」があります。成果については、報告書等で示されている通りです。
しかし、そこで扱われているいくつかの数値、観光客の動向に関する数値の意味と実態には、客観的な評価の観点から疑問が持たれています。包括的な体系が構築されていない、基準が統一化されていないため地域間比較が不可能で、標本数が少なく分析に必要な精度が確保できないなど、いくつかの問題点があるからです。

観光庁においては、観光地の開発や活性化、外国人観光客誘致のプロモーションが活発に行なわれています。しかし、その一方で、政策の基本となる観光統計の整備も実施しています。観光庁設置後、承認統計として「宿泊旅行統計調査」と「旅行・観光消費動向調査」が実施されています。

そこでお尋ねです。今後、山口県が観光力の増強を実現するためには、観光に関する客観的で有効な統計数値の把握が重要であり、これを効果的に活用し、より実態に則した政策が立案・実行・検証され、より質の高い観光政策の実現と各地域における魅力ある観光地づくりが推進される必要があると考えますが、ご所見をお伺いいたします。